ハロウィンの夜/スランプからの脱出(前編)
ハロウィンの夜にあった仮装パーティで事件は起こった。目撃者である青年からベテラン刑事が事情を聞くが……。
【CONTENTS】
- テーマからの発想
- 発想からのキーワード選出
- POINT1:タイトル
- POINT2:書き出し
- POINT3:ユーモア
- POINT4:前半のストーリー
- POINT5:展開〜オチ
- 総合的なポイント
- コラム/スランプからの脱出(前編)
テーマからの発想
テーマは「ハロウィン」。あれ、「コメディ」じゃないの? きっとそう思われたに違いありません。
そうです。実はこの作品、これまでに書きためていたストック中の一つで、今回の応募に際してテーマに近そうな物を選出した訳です。そんな事情で創作時のテーマは「ハロウィン」なのです。
ハロウィンと言えば、最近は参加する人がどんどん増えてますね。でも、これって、そもそも子供達が仮装して近所の家をまわって、「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ」っていうのじゃなかったですかね? 最近は大人のコスプレパーティーみたいになってきて、しかもハロウィンに関係なさそうな仮装で。
結構過激な人もいる様で、そんな違和感は物語のネタになると考えました。
発想からのキーワード選出
ハロウィン、仮装、メイクの進歩、コスプレ、無関係な仮装、事件
POINT1:タイトル
「ハロウィンの夜」
ショートショートに限らず、小説の状況設定は早い方が良いのは言うまでもありません。
タイトルわずか七文字の中に「時期」、「時間帯」、「何についての話」という情報が入っており、しかもこれは本文の文字数に含まれません。このコンテストは二千文字という制限がありますので、文字は有効に使う方が良いでしょう。
POINT2:書き出し
「すると、君もその男性が仮装をしていると思ったって事なのかな?」
この台詞で分かる事
「君」に話しかけている人
「君」と呼ばれている人
仮装していたと思われていた男性
いかに早く読者を物語の世界に案内するかが、作家の腕の見せどころです。
POINT3:ユーモア
「仮装? いやいや、君が仮装してない事ぐらい見れば分かるさ。普通のスーツ姿なんだから、会社帰りのサラリーマンだろう?」
「違います。仮装ですよ、仮装! 僕は普段の仕事が現場ばかりだから、いつも作業服なんです。通勤だって普段着だから、頑張ってスーツ着て来たのに……」
本編を少し脱線をして、話をユーモアのある方向に導くのも面白いでしょう。
仮装とは無関係と思われた目撃者が、実はこのイベントの参加者だったと言う事実。そして、ここではあえて刑事とのやりとりを、少し長めに取っています。
それは、後に訪れる少しシビアな話へのステップとして、緊張の前にあえて緩和を入れた訳です。そうしてメリハリをつけることによって、より作品を引き締める効果を狙ったものです。
POINT4:前半のストーリー
夜にハロウィンの仮装イベントがあり、事件に巻き込まれた怪我人が会場に紛れ込む。周囲は怪我人ではなく仮装している人と思い込み、病院への搬送が遅れて、結果的に男性は死亡してしまう。
起
刑事と目撃者が現場の状況について話している。
承
事件の状況が徐々に明らかになり、それが異常なものであったことがわかる。
POINT5:展開〜オチ
転
目撃者は自分も何か罪に問われることを心配するが刑事は大丈夫だと言う。
話を聞き終えて、目撃者の青年と別れる。
結
話を聞いていた刑事も実はコスプレで偽物だった。
総合的なポイント
オチがシンプルなことに加え、場面転換がありません。したがって、書き始めからオチまでの間は、読者をずっとミスリードしている訳です。
だってこの人、刑事じゃないんだから
ですから、その間いかに楽しんでいただくかがポイントになります。
ミスリードはオチをひた隠すのではなく、作家自身もリードされている方向の話を信じ込み、その世界を楽しむと良いと思います。
今回の場合は、現場での状況を徐々に明らかにしてゆく訳ですが、オチの直前までそれを続けています。対話型にする事によって、不自然にならず話が進められる訳ですね。
ショートショートよりも長い小説で、このようにセリフの多い文章を書いたとすれば、それは読者が疲れる小説になってしまいますが、ショートショートの場合は事情が違ってきます。
作品のタイプにもよりますが、セリフの割合が半々の物や、本作と逆ぐらいの物、どちらかに百パーセント近く偏っている物など様々です。
私がここで意識するのは、小説のリズムです。書いたものを自分で読んでみて、そのリズムがどうか。
二千文字の中でも、その緩急は必要だと思いますし、何より読者の方が退屈しないのは勿論の事、どんどん先を読みたくなるような文章にしなければなりません。
今回は二人の会話によって状況が明らかにされる構成です。
コラム/スランプからの脱出(前編)
小説を書いた事がある方で、スランプを経験していない方は殆ど居ないのではないでしょうか。
期間の長さや症状の重さは個人差があると思いますが、重度のスランプから私が抜け出せた経験について書かせていただきたいと思います。
出版後の活動
電子書籍を出版した私は、第二作の出版に向けて新作を書き進めていたのですが、出版社より新刊書籍(紙媒体)の案内があり、他の作家数名とトライアルを受ける事になりました。
声がかかっていた人の約半数だけが残る事になっていました。
原稿枚数換算で三十枚程の短編でしたが、ショートショートしか書いていなかった私にとっては長い物でした。
結果は選に漏れ掲載には至りませんでした。
長編への挑戦
小説で今以上に収入を得るためには、新作を出さなければいけない訳ですが、執筆に関する書籍などでもよく聞くお話ですが、やはり長編も書けた方が良いのではないかと言う考えに至りました。
長編シフトへの実際
結論を先に申し上げると、当たり前の事ですがショートショートと中編や長編の小説はまったくの別物です。
作品中で描く期間の長さはもちろんのこと、構成やリズムといったものが全て違うのです。
書けなかった長編
構成がうまくいかなかった長編は、細切れの文章がいくつか出来ただけで、結果としてちゃんとした作品にはなりませんでした。
挑戦してみて失敗した結果
長編がうまく書けなかった私は、結局ショートショートを再び書こうと元の活動に戻りました。しかし、困ったことが起きたのです。
ショートショートが書けない
ちゃんとしたアイディアも浮かんだネタがあったのですが、いざ書き始めてみると全くリズムが乱れてしまい、以前のように文章が書けなくなってしまいました。
結論
著名な作家の先生方の中には、長編・短編ともに得意な方もいらっしゃるのですが、大半の方はどちらか一方だと思います。
私のように、不得意な分野にチャレンジして、書けなくなってしまった方が結構いるようです。
個人的には、特別な理由がない限り、得意な分野で書き進めていかれることをお勧めします。
具体的な脱出方法は、
次回スランプからの脱出(後編)にて
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