アイちゃん
イベント会場でコンパニオンの様な仕事している『アイちゃん』。でも、『アイちゃん』って本当の名前じゃないんですよね……。
【CONTENTS】
- 発想からのキーワード選出
- POINT1:タイトル
- POINT2:書き出し
- POINT3:ユーモア
- POINT4:前半のストーリー
- POINT5:展開〜オチ
- 総合的なポイント
- コラム/原稿の推敲(前編)
テーマからの発想
今回のテーマは「あだ名」です。
「あだ名」と言えば、単純に「ニックネーム」、「愛称」。でも、これって意味は同じじゃないかなと思うんです。
ですから、例えばここに実際のニックネームを当てはめて、それをタイトルにする。
そして、そこには伏線を張っておいて、ニックネームと思われた名前が、実は全くニックネームとは無関係で、本当はとても怖い意味があるとか、そんな話も良かったかもしれません。
何だか漠然とした話をしている様ですが、実は私、普段はこう言う感じで書いてるんです。スランプからの復帰、要は『NB(Novelist's brain)』以降は。
(『NB(Novelist's brain)』』って何? って方はこちらをご覧下さい)
発想からのキーワード選出
あだ名、ニックネーム、愛称、呼び名、別名、名称
(あんまりいいのが浮かばなかったんですよね、実は……。)
POINT1:タイトル
アイちゃん
タイトルは『アイちゃん』です。
私は何度も言いますが、小説にとってタイトルはとても重要です。
作品を投稿する際、例えば私がお世話になっている『時空モノガタリ』サイトではテーマを設けていますが、それがない状態で小説を書く時もありますよね?
何処かに投稿したりするのではなく、ご自身で何かを書く場合は特に「テーマ」を掲げず書いたりすると思うのですが、そういう時の話です。
読者側から見た場合でも、読む時にテーマを知らなかったり、あるいは特に意識せず読み進めている事もある訳で、そんな事も想定しながら書き手の方は、読者の方に物語の世界を上手く伝えなければならないんですよね。
ですから、自分が知っているからと言って情報を省くのではなく(無意識に省いてしまう場合の方が多いでしょうが)必要な事は必ず書くようにしましょう。
そしてそれは本文だけでなく、タイトルなどで表現できるのならば、それもいい方法なんです。
今回の作品ですが、『アイちゃん』はタイトルであり、テーマであり、オチでもあります。
『アイちゃん』と聞けば、ほとんどの人が『名前』の事だと思うでしょう。そして読み進めてゆくうちに、それが伏線やオチに関係がある事が分かってくる筈です。
それは本編を読んで頂ければよく分かると思いますので、まだの方は是非一読を。
POINT2:書き出し
「アイちゃん」
小学生ぐらいの女の子が声をかけてきたので、私はニッコリと微笑んだけど、その後は何もしなかった。そもそも『アイちゃん』は、私の本当の名前ではない。
会社の人に同行して、コンパニオンの様な格好で笑顔を振りまきながら、パンフレットを配るのが私の主な仕事だ。
この文章を読んだ方は、色々疑問が湧かなかったでしょうか?
『アイちゃんってコンパニオン?』
『女の子に何故何もしなかった?』
『アイちゃんの本当の名前は?』
等々。
私の意図としては、そうした疑問を持ちながら読んで頂きたかったのです。
これらは全てミスリードの仕掛けなんです。
詳細は、後の『総合的なポイント』で解説となります。
POINT3:ユーモア
「アイちゃんかあ」
でっぷりとお腹の出た中年男性が呟いた後、私の前で立ち止まる。ジロジロと顔を眺めた後、ゆっくりと名刺を所定の場所に差出した。受け取った名刺を直ぐにスキャンするのも私の仕事だった。
商品の展示会場などのイベントに行かれた事のある方、もっと言えば展示をする側にまわった事のある方はご存じだと思いますが、あまり必要もない商品でも興味本位でやって来るお客さんって結構いる訳で、そういう人に限って堂々としていたりします。
今回登場の中年男性はそういうタイプの人で、それはユーモアでもあり、オチをわからないよう、少しだけ明かしている部分でもあります。
どういう仕掛けになっているのかは、オチが分かってからもう一度読んでいただくと良いでしょう。
POINT4:前半のストーリー
起
コンパニオンの様な仕事をしている主人公は、周囲の人達から『アイちゃん』と呼ばれているが、それは本当の名前ではない。
承
今日はいつもより大きな会場での仕事で、お客さんによって渡すパンフレットを区別したり、もらった名刺をスキャンしてデータ照合したりと、与えられた仕事をこなしていた。
POINT5:展開〜オチ
転
朝から五時間もずっと働きづめで、調子が悪くなり、その挙句に意識がなくなった。
気づいたらスタッフ用のスペースで、担当の人に具合を診てもらっていた。
結
『アイちゃん』は実は人型の高性能なパンフレット配布用ロボットで、長時間の連続稼働で調子が悪くなり、メンテナンスが必要になったが、その時は正式型番で呼びかけて、故障の度合いを判断する事になっていた。
総合的なポイント
オチがわかってしまわない範囲で、どのラインまで書く事が出来るかは、全ての作品にも共通のポイントだと思います。
ミスリードなどは、上手く読者の方を誘導する方法である訳ですが、『嘘』をついてはいけません。
『アイちゃんってコンパニオン?』→コンパニオンの様な格好をしている。
『女の子に何故何もしなかった?』→人工知能で子供と判断。パンフレット配布無し。
『アイちゃんの本当の名前は?』→HP-04Sと言う型番。
これだけ毎日この名前で呼ばれていると、本当の名前を忘れてしまいそうになる。
作品の中盤に、この一文があります。勿論オチに関係があるのですが、事前にこう書く事で、普通の人でもニックネームばかりで呼び合っていると本名を忘れそうになる事があると思うのですが、これはあたかも「普通の人」であるかの様に思わせる為のミスリードな訳です。
ミスリードは人によって、恐る恐る書いているのが分かってしまう場合も見受けられます。しかし、そうなると読者の方も違和感を感じ、どこかに仕掛けがあるんではないかと勘ぐってしまいます。
では、どうするのか?
本当の事だけを、堂々と書けばいいんです。
『アイちゃんってコンパニオン?』→コンパニオンの様な格好をしている。
こんな風にです。
コラム/原稿の推敲(前編)
原稿の推敲ですが、私は現在作品を投稿している「時空モノガタリ」サイトの場合、平均して一作品で、
●完成状態→五回程度
●執筆過程を含む→十五回程度
です。投稿作品は文字数制限があって、二千文字以内となります。これは原稿用紙換算で約五枚以内です。原稿量としてはそれぐらいになります。
この推敲回数を多いと感じるか、少ないと感じるかは書き手の方によって変わってくると思いますが、実はこの原稿を書いている段階で、同サイトへの投稿数二十作品のうち、読んだ方からのご指摘で「誤変換」と「辻褄が合わない」というのがあって、二作品も見落としてしまっているんですね。これは気を付けなければいけません。
投稿済みの作品は、どうやら修正が出来ないようで(私が方法を知らないだけかもしれませんが)、実は間違いはそのままになっています。
お時間のある方は、探してみてください。
原稿の推敲についての詳しい方法は、次回原稿の推敲(後編)で、お話したいと思います。
kindle unlimitedで1日に1000頁以上読まれた人気の指南書です。
↑↑↑ブログランキングに参加しています。面白かった方は応援お願いします。
↑↑↑読者登録はこちらからお願いします。
↑↑↑最新のランキングチェックはこちら!