R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説・ショートショートの書き方ブログ

(小説の原稿枚数の合わせ方)コラム/文字数の合わせ方(後編)

文字数の合わせ方(後編)
文字数の合わせ方(後編)では、既にブログで公開済みの作品を使って、実際に調整をやってみたいと思います。
 
基本的には二千文字、又は原稿用紙換算五枚以内の規定に合わせて書いた作品なので、特に調整の必要がなかったものです。
 
執筆から多少の期間が空いているので、自分自身の作品を客観視すると言う意味でも、面白いかもしれません。
 
 
 
【CONTENTS】

時空モノガタリ未発表作品(2)『消去ボタン』より

作品全編は、こちらでご覧いただけます。↓

 
【調整前の原文(361文字)】  
 ファミリーレストランの一番奥にある喫煙席で、今日この場所に最もふさわしくないと思われる二人組の男が座っていた。
 初夏だと言うのに、外は既に真夏の日差しで、毎年最高気温を記録する地域では、去年の記録を塗り替えるほどの暑さだった。
 その為、世間の人々は半袖姿で過ごす中、上下黒ずくめのスーツ姿の二人は、明らかに周囲から浮いている存在だった。
 奥側のゆったりした席で反り返っているのがボスで、突き出た腹をさすりながら、目を細め、煙草をふかしている。浅黒い顔にヒゲを蓄え、いかにもそれらしい風貌だった。
 一方の子分は、それとは対照的な青白い肌に細身のスタイルで、気が弱そうなルックスは、子分以外の何者でもなかった。
 二人に挟まれたテーブルの上には、電子工作でよく見かける様な、アルミケースを加工した装置が置かれていた。
 
 
【アレンジ文(304文字▲57)】 

 ファミリーレストランの一番奥の喫煙席に座っている二人組の男は、今日この場所に最もふさわしくないだろう。

 初夏だと言うのに外は真夏の日差しで、日本一暑い地域は、最高気温の記録を更新する程の暑さだった。

 皆が半袖姿で過ごす中、上下黒ずくめスーツ姿の二人は、明らかに周囲から浮いた存在だった。

 奥側の席では浅黒い顔にヒゲのボスが、反り返って太い腹をさすりながら、目を細め煙草をふかしており、いかにもそれらしい風貌だった。

 一方、子分の細く青白い細身のルックスは、対照的に気が弱そうで、子分以外の何者でもなかった。

 二人に挟まれたテーブル上には、電子工作にありがちな、アルミケースを加工した装置があった。

 

 

 

時空モノガタリ未発表作品(3)『視点』より

作品全編は、こちらでご覧いただけます。↓

 
【調整前の原文(191文字)】 
「とにかく、今日のところはこれでお引取り願えませんか。私も色々と忙しい身なんでね」
 そう言って編集長は私に帰るよう促した。私が用意した原稿が、あまり良くなかったかもしれない。編集長に会う事ばかり考えていた為、肝心な原稿が中途半端な物になってしまったようだ。
 しかし、このまま帰る訳にはいかない。この編集長に、どうしても私の頭の中にある事を伝えたかったので、尚も私は食い下がった。
 
 
【アレンジ文(149文字)▲42】 
「とにかく今日はこれでお引取り願えませんか。私も色々と忙しい身なんでね」
 編集長は私に帰るよう促した。私の原稿があまり良くなかったかもしれない。編集長に会う事ばかり考えて、肝心な原稿が中途半端だったようだ。
 しかし、このまま帰れない。編集長にどうし伝えたい事があったので、尚も私は食い下がった。
 
 
 

時空モノガタリ未発表作品(5)『鍋奉行』より

作品全編は、こちらでご覧いただけます。↓

 
【調整前の原文(553文字)】 
「あなたって典型的な鍋奉行よね」
 鍋の向こう側から、溜め息混じりに妻の声が聞こえた。俺が顔を上げると、こちらをじっと見たまま妙な角度で箸を止めている。
「肉が先だの野菜がどうだのって、会社の中でもそんな風にちゃんと段取り考えて、誰かに指示とか出したりしてるわけ?」
「いいや……。転職したての新人社員だよ。そんな事まだまだ出来る訳ないじゃないか」
 俺は再び鍋の中に目をやった。すでに肉が焼けてしまっている。鍋型のホットプレートを使っているから『鍋』と呼んでいるが、正確に言えば今日の料理は『すき焼き』である。だから肉がこうなる前に、醤油を入れなければならない。
「新人社員って、あなた一体自分が何歳だかわかってんの!」
 今度は、ポットプレートの電気が止まった。向かい側に居た妻が、コンセントを根元から抜いたに違いない。
 私は仕方なく、お肉専用のトングを置き、妻の方を真っ直ぐ見た。ちなみにこのトングは、アウトドア用品専門の店で三十分以上悩んだ挙句、少ない自分の小遣いで買ったものだ。もちろん私専用の道具で、出番は半年に一回程度。言うまでもなく、そのチャンスはボーナスの後しか巡ってこない。今回は転職後初めての『ボーナス』ではなく『寸志』が出たので、俺が強引にその出番を作ったのだ。
「四十五歳だよ」
 
 
【アレンジ文(463文字)▲90】
「あなたって典型的な鍋奉行よね」
鍋の向こうから聞こえた溜息混じりの声に俺が顔を上げると、妙な角度で箸を止めた妻がこちらをじっと見ている。
「肉が先だの野菜がどうだのって、会社でもちゃんと段取りして指示出してるわけ?」
「いいや……。転職したての新人だから、まだまだ出来る訳ないじゃないか」
 俺が再び鍋に目をやると、すでに肉が焼けてしまっている。鍋型のホットプレートを使っているから『鍋』と呼んでいるが、正確には『すき焼き』である。だから肉がこうなる前に、醤油を入れなければならない。
「新人って、あなた自分が何歳だかわかってんの!」
 今度はポットプレートの電気が止まった。向かい側の妻がコンセントを抜いたに違いない。
 私は仕方なくお肉専用トングを置き、妻を真っ直ぐ見た。ちなみにこのトングは、アウトドア専門店で三十分以上悩み、少ない小遣いで買ったものだ。もちろん私専用で、出番はボーナス後の半年に一回程度だったが、今回は初めての『ボーナス』ではなく『寸志』が出たので、俺が強引にその出番を作ったのだ。
「四十五歳だよ」
 
 
 
 

次回は、ショートショート『五点着地』のプロセス公開です。

 

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