虹色
雑誌で見つけた一枚の写真。カメラを始めて十年の主人公はその写真に魅了され、これこそが自分が撮りたかった理想の写真だと思う。
その撮影の為に必要なモデルとして、元恋人である女性に依頼し、撮影を始めるが……。
【CONTENTS】
- テーマからの発想
- 発想からのキーワード選出
- POINT1:タイトル
- POINT2:書き出し
- POINT3:ユーモア
- POINT4:前半のストーリー
- POINT5:展開〜オチ
- 総合的なポイント
- コラム/文章のリズム(前編)
テーマからの発想
テーマは『弾ける』です。
弾けると言えば、シャボン玉や水滴、それから何かが破裂するような、そういったイメージを持ちました。
人の気持ち的な意味合いでの弾けるも、浮かびやすいイメージでした。
発想からのキーワード選出
シャボン玉、破裂、気持ちの上での弾ける
今回もシンプルなイメージしか浮かんでいません。個人的にはもっとイメージを膨らませて、意外なキーワードをたくさん出せるようにしたいとは思っているのですが、上手く出ませんでした。
では、そのような場合どうすれば良いのか?
私はタイトルからのワードがシンプルであった為、ストーリーの方で工夫しようと考えました。
POINT1:タイトル
『虹色』
タイトルは『虹色』としました。
これは単純に、シャボン玉に映る色のイメージなのですが、その他に主人公の心の状態を表すような意味も含めて、このタイトルにしました。
まぁ単純に、この言葉の響きが好きだったと言うのもあるんですけどね……。
POINT2:書き出し
虹色をした球体はタケルの手からわずか数十センチの距離で、パッっと弾けて空へと消えた。
カメラを構えたままのタケルは、モニターとナオミの顔を交互に見た。そしてナオミと目が合った。
シャボン玉が主人公から少し離れたところで弾けて消えた、と言うだけの出来事なのですが、書き出しはあえて堅めにしました。
これによって読者の方が、頭にイメージするタイミングを一瞬遅れさせる効果を狙ったものです。
私の意図としては、タケルとナオミの目があった時と同時に、シャボン玉が弾けたイメージを浮かべて欲しいと思った訳です。それは何故か?
この二つのイメージは、文章にすると必ず前後に分かれてしまう訳ですが、実際に目で見た時には、ほぼ同時に見えている筈です。
ですから、先に書いた文章を頭の中で思い浮かべるのを遅らせることによって、後から来た文章の理解が出来た時、頭の中に同時にイメージが湧くのではないかと思い、こういう書き方にした訳です。
POINT3:ユーモア
「タケルは動きながらピントも合わせて、構図も決めるのよ。そんなサーカスみたいな事が出来るの?」
「サーカス? 例えが変だよ」
「とにかく無茶な事しようとしてるって事よ!」
タケルは物事をじっくり考えながら行動するタイプです。ナオミはそれと対照的に直感で行動するタイプです。作中、それに触れた部分はあるのですが、二人の掛け合いの中にもそれを加えました。
人の性格を表現する場合、『行動』もありますが『言動』も分かりやすい方法です。
注意すべきは、これらは通常セットで無ければ違和感が生まれます。あくまでキャラクターは、設定した人物として物語内での行動や言動が生まれますので、それがブレないよう実在の人物などを借りるのも有効な方法だと思います。
小説キャラクターの作り方はこちら↓↓↓
POINT4:前半のストーリー
起
写真歴十年になる主人公は雑誌で見た通りの写真を撮る為、元彼女にモデルを依頼して撮影を始める。
承
撮るのが難しい写真であった為、長時間の撮影にも関わらず理想の写真が撮れない。仕方なく、後日もう一度撮影する事にした。
POINT5:展開〜オチ
転
何度も撮影にチャレンジする中、元彼女が二人が別れた理由らしき事を話し出す。
結
一緒に撮影をする中、二人がもう一度上手くやれそうな予感を感じた主人公は、来週もう一度会う為に、目の前にあったシャッターチャンスをあえて逃す事にした。
総合的なポイント
今回の物語は、若いカップルの気持ちのすれ違いによる微妙な関係を描いています。
何事も頭で考え慎重に進める主人公と、直観で行動的に素早く動く元彼女。
全く違うタイプの二人ですが、お互い自分に無い部分を相手が持っている事により、魅力を感じる反面、上手く理解できない部分もあり、若さゆえのすれ違いが生じます。
最初に書きました通り、シャボン玉は物語内で工夫して使おうと考えました。
『虹色』はシャボン玉であり、二人の心の変化を色で表しています。一度は別れたものの、互いに相手への想いが残る二人。しかしストレートには伝えられません。
理想の写真が撮れるチャンスが目前にあるのに、主人公はあえてそれを逃します。その行動として『シャボン玉を弾けさせる』と言う表現を使いました。
また、二人の今後については書いていません。これは読者の方に物語を読んだ後、自由に結末を考えて欲しいと思ったからです
コラム/文章のリズム(前編)
小説を書く時、私は書いた文章を音読した想定で読み進め、そのリズムが読者の方にとって読みやすいか、リズムが悪くなっていないかなど、様々な事に注意しながら推敲を重ねています。
リズムは小説に限らず文章を書く上でとても大切な事です。リズムが悪いことによって、せっかく良い文章を書いているのにあまり読まれなくなったり、読後の印象が弱くなってしまったりする場合もあります。
リズムを決めるのは『読点』の打ち方や、一つの『文』の長さ、そして『体言止め』などの文末処理です。
さらに詳しい方法については、 次回コラム/文章のリズム(後編)でお話したいと思います。
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