今回の作品/視点
小説の原稿を持ち込もうと出版社に電話した男は、上手く編集長に直接会う事が出来た。ところが編集長は、男の持ち込んだ原稿を酷評し、男を帰らそうとする。男は何とか食い下がって、重要な話をしようとするが……。
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【CONTENTS】
- テーマからの発想
- 発想からのキーワード選出
- POINT1:タイトル
- POINT2:書き出し
- POINT3:ユーモア
- POINT4:前半のストーリー
- POINT5:展開〜オチ
- 総合的なポイント
- コラム/【小説はどのように完成するのか❹/執筆編】
テーマからの発想
今回のテーマは『神様』です。
神様と言えば、常に私達の事を上の世界から見守っていて、いい事をしていれば『幸せ』を、そして悪い事をしていれば『罰』を与える。そんなイメージでした。
ですから、全ての事がお見通しなんだろうなって、そんな事も思いますね。
発想からのキーワード選出
神頼み、罰、お見通し、願い事、奇跡、神様視点
POINT1:タイトル
タイトルは『視点』です。
冒頭は『神様視点』の話から始まります。そして、以降は他の話を挟みながら、最終的に『神様視点』が出てきます。
この様な構成にしてあるのは、先行してオチとタイトルが決まっているからです。
『タイトル』が変われば『構成』が変わるパターンの作品と言えます。
POINT2:書き出し
「あのー。神様視点って分かります?」
出版社の編集長は、少々困った表情で私に問いかけた。
「はあ、何となく」と私は答えたが、正直なところあまり自信が無かった。
この問いに至るまでに、やたらと専門用語を列挙していた編集長は、きっと私を説き伏せたいに違いない。
書き出しでのやり取りは少し長めですが、ここまでで一気に編集長と主人公の関係性、そして状況も描いています。
この作品は、後にこの場所で二人の会話による展開がメインとなる為、この様な方法をとっています。
同じ様な展開を続けながら、オチへと進むこのタイプは、設定している世界の全体を、早く読者の方に伝える必要があります。
通常の作品はもっと短い文章で、設定の基本的な部分だけを明らかにし、後は徐々に伝える形をとっています。
POINT3:ユーモア
「貴方が持ち込んだ原稿の中身は、全体的にその傾向がありますね。私は少し読んだだけで、そういうのが全部わかるんですよ」
編集長は『小説の事なら何でもお見通し』の視点から言葉を放った。
ここでの『何でもお見通し』や、後半に出て来る『千載一遇のチャンス』など、登場人物同士の掛け合いで、同じ言葉なのに違う意味を持たせると、そこに『ユーモア』が生まれます。
自分より相手の方が偉いと言う事実を知らず、上からの目線で語っていた人に返す場合などが、特に有効な方法だと思います。
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POINT4:前半のストーリー
起
出版社に原稿を持ち込んだ主人公は、運良く編集長に原稿を見てもらうチャンスを得たが、その内容が悪く説教を受ける羽目になる。
承
主人公は、編集長に直接話したい事があったので、説教を繰り返されるが、尚も食い下がる。
POINT5:展開〜オチ
転
編集長は予定があるからと席を立ち、主人公は帰る様促される。
結
主人公は実は『神様』で、本当に何でも『お見通し』だった。
その為、その日編集長が生命の危機にさらされない様、伝えに来たにも関わらず、上手くいかなかった。
総合的なポイント
今回はオチに関わる重要なキーワードを、冒頭で既に出しています。話の展開としては、基本的にネタバレしない方向で進めるのですが、場合によっては読者の方にオチが推測される事があります。
しかし、それでも読み物として面白さを保つために、前述の掛け合いなどのユーモアを含める事で、作品としてのバランスをとっている訳です。
コラム/【小説はどのように完成するのか❹/執筆編】
【アイデア】→【構成】→【伏線とオチ】
この後いよいよ『執筆』にかかります。
『構成編』で物語内に起こるエピソードを仮に決めたのですが、実質的な『構成』はこの段階で決まり、伏線の貼り方もここで具体化する訳ですね。
それは実際の執筆段階に入った時、伏線の貼り方などによって、順序を入れ替えた方が良い場合も出て来るからです。
実際の作品を用いた、執筆方法については、次回の『コラム小説はどのように完成するのか❹/執筆編】(後編)』でお話ししたいと思います。
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