ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/白い壁、コラム/実話とのリンク(前編)

今回の作品/白い壁

小学生のころ、担任教師から聞かされた『白い壁』と言う『怪談』。そのリアルな語り口は心の中に恐怖を植え付け、気の弱かった私はトイレに行けなくなったのだが……。

 

ショートショート『白い壁』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

今回のテーマは『怪談』です。怪談と言えば、四谷怪談など『幽霊』的なキャラクターが存在し、そこに『恐怖』が生まれます。

しかし、人の恐怖は様々で、今回は『怪談』とのリンクによって生まれる『恐怖』をテーマに書こうと思いました。

 

 

 

発想からのキーワード選出

 
怪談、幽霊、恐怖、学校、肝試し

 

 

POINT1:タイトル

 


タイトルは『白い壁』です。これは、私が実際に聞かされた『怪談』のタイトルから取ったものです。

 


POINT2:書き出し

 
 私が子供の頃、家は貧しく一家四人が小さなアパートで暮らしていた。風呂は無く、狭い台所と二つの部屋があるだけだった。

 トイレは一番奥にあった。そこにたどり着く為には細長い廊下を通らなければいけない。廊下は三メートル弱しかなかった筈だが、子供の頃の私にとって、それはとても長い距離に思えた。

 

主人公が小学生の頃、担任教師から聞かされた『怪談』がメインの話なのですが、その話題から入りません。

今回は主人公の一人称の語りによって物語が進行する訳ですが、メインは主人公の内面にあります。子供の頃に聞かされた『怪談』が、長い間トラウマになった想いが強いのです。

 

 

POINT3:ユーモア


主人公の『トラウマ』になった想いと裏腹に、担任教師の『マイペース』ぶり。これらの対比がユーモアであると共に、物語の『キー』となっています。

生徒の前での『マイペース』は、『空気が読めない』など笑いのネタにも出来る事ですが、後に明らかになる『マイペース』は明らかに『身勝手』な行動で許されない行為なのです。


同じ人物の習慣的な行動が招く結果が対極に出た時、その恐怖は増幅され効果を現すのです。

 

 

☟☟☟ショートショートを『書く』ならこの本!!

 

 

POINT4:前半のストーリー

 

主人公が小学生の頃、気が弱く夜にトイレに行くのが怖かった。その恐怖心を紛らす為、人影が反射しない『白い壁』を見ながらトイレに行くのが習慣だった。

 

ある日、担任教師が語った『怪談』によって頼りにしていた『白い壁』は、逆に『恐怖の対象』となった。

 

  

POINT5:展開〜オチ

主人公が中学生になった時、以前に住んでいた『白い壁』のあったアパートは、老朽化で取り壊される事になった。

 

壊されたアパートの『白い壁』から、『怪談』で語られた通り『人骨』が発見され、その犯人が担任教師だった事が判明する。

 

 

総合的なポイント


『書き出し』の項目でも触れましたが、『怪談』の話に至るまでに多くの文字数を使っています。今回の作品は、主として主人公の内面の問題である訳です。

『オチ』はとてもショッキングな出来事です。そして、それを淡々と語る主人公。

本来これが実際の出来事で、それを誰かに話すとした場合、教師の事がメインになる筈です。ところが、この物語ではそのウエイトが逆です。主人公にとっては、教師の事件よりも、自身の幼少期のトラウマの方が問題として大きかったのです。


この表現の効果は二つです。先ずは人による価値観の違い。主人公のそれと対比させる事で、自分の幸せだけを選んだ教師の身勝手さをクローズアップしています。

もう一つは恐怖感の増幅。作中の何処かに『静』を置く事によって恐怖感が増す訳です。今回の様に『殺人』を淡々と『語る』と言う行為は、本来それをしないであろう人がやったと言う意外性、要は『ギャップ』が効果的に作用するのです。

  

 

コラム/実話とのリンク

  

小説のような創作をする場合、フィクションまたはノンフィクション、これらの定義を厳密に考えると、説明が少し難しくなる部分があるのですが、私の作品の場合は実話を含む物がある程度あります。それは物語の一部分であったり、設定や登場人物の性格など、何かをモデルにしている場合です。

そして、これらのモデルを元に創作を開始した時に、新しいアイディアが生まれることがよくあるのです。今回の『白い壁』と言う物語は、まさにその要素が多かった作品だったのです。

 

更に詳しい内容については、次回の『実話とのリンク(後編)』にてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
にほんブログ村

↑↑↑ブログランキングに参加しています。面白かった方は応援お願いします。

 

R・ヒラサワの?Novelist's brain? - にほんブログ村

↑↑↑読者登録はこちらからお願いします。

 


ショートショートランキング

↑↑↑最新のランキングチェックはこちら!