ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/さじ加減、コラム/小説の構成方法(前編)

今回の作品/さじ加減

 

 

日曜日の昼、昼食にと主人公が作ったチャーハンを食べた妻が『塩辛い』と言う。妻は直ぐに自分でチャーハンを作り直し、テーブルについて食べ始めるが……。

ショートショート『さじ加減』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想


今回のテーマは『味』です。味と言えば、シンプルに料理関係や『いい味出してる』みたいな、その人が持っている雰囲気を表す様な、そんなイメージが浮かびました。

『おふくろの味』みたいに、食べ物を通じて思い出す『人』とのエピソードなどは、少々感動的なお話が出来そうで良いのですが、この手の物語、実はあまり得意でなかったりします。

 


発想からのキーワード選出


味覚、おふくろの味、味音痴、味付け

さじ加減、思い出の味

 


POINT1:タイトル


タイトルは『さじ加減』です。さじ加減は、文字通り『料理』の時の言葉ですが、実際にはそれ以外で使われる事が多いと思います。勿論、今回のお話でも用途は後者ですね。

 

 

POINT2:書き出し


「何よ、これ。塩っ辛い!」

 日曜日の昼の事だった。久々に私が作ったチャーハンを食べた妻は、塩が多いと言いだした。

「そうかな……」

「そうよ。だって、あなたインスタントコーヒー、ちゃんと作れないじゃない!」

「それは、そうだけど……」

 

今回の作品はセリフからのスタートですが、これは私が好んで使う手法です。この手法の効果ですが、先ずは主人公や同等の配役である人物が、最初のセリフを発します。そして、そこに人物間の強弱関係や、性格的な要素を盛り込む訳です。

セリフは工夫次第で、短い文章内に多くの情報を含む事が可能です。それは当然、『地の文』や『他者のセリフ』との組み合わせによって、省略出来る部分が大きく変わる訳ですが、とても有効なのでこの手法は是非とも試して頂きたいですね。

例えば、既にある程度書いた作品があり、それが『地の文』からのスタートであった場合、『セリフスタート』のスタイルで、一度書き換えてみて下さい。多くの場合、ある程度の部分が省け、スリム化出来ると思います。ただし、その際にどの様なセリフを選ぶかによって、効果は大きく違ってくるので、色んなセリフを試して頂くのも良いと思います。

 

 

POINT3:ユーモア

 

「そんな事ないと思うけど……」

「そうなのよ、絶対! あのねえ……。塩分の摂り過ぎは体に良くないんだから。それとも何? 私を『早死に』させたいわけ?」

 そんな気は毛頭無かった。しかし、執拗な口撃を受け続けると、そんな気持ちも湧いて来るかもしれない。

 

こちらも私の好きなパターンで……。夫婦間の強弱関係ですね。勿論、強いのは『妻』の方です。

このパターンを好むのは、そもそも『コミカル』な話が主体であるのが、私の作品の『個性』であったりする訳で、世で言う夫婦円満の基本形は『妻が強い』と言う『構図』です。これは終始コミカルな物語であろうと、作中で殺人事件が起ころうと、結果『笑える話』にしたいからなんですよね。少なくとも私の中で『最高のエンタテイメント』は『笑い』なものですから。

 


POINT4:前半のストーリー


日曜日、主人公が作ったチャーハンを妻が食べた時、『塩辛い』と言い出す。

 

主人公は、日頃からインスタントコーヒーを作るのが苦手だった事から、妻に『味覚障害では?』と、疑われる。

 

 

POINT5:展開〜オチ


妻はチャーハン以外に、味噌汁も塩辛いと言い出す。以前から密かに妻の味覚に疑いを持っていた主人公は、予め購入していた測定器で確認してみたが、塩分濃度は正常値以下を示していた。


味覚障害の疑いがあったのは、実は妻の方だったが、普段から自分の非を認めようとしない妻へ、主人公はどう伝えるべきかと、かける言葉の『さじ加減』を悩み始める。

 

 

総合的なポイント

 

ショートショートの『オチ』としては、あまり強いタイプの物語ではありません。この様なお話の場合、出来る限り登場人物達のやりとりに、ユーモアを持たせる様にしています。全体的なバランスを考えながら物語を整える訳です。

ショートショート作品は、最後の数行で『ストン!』と落ちるタイプが爽快なのですが、『設定』や『オチ』との関係上、理想的な構成が無理な場合もあります。その時は、いかに他の部分で読者の方が楽しめる材料を、用意する事が出来るかがポイントになってきます。

特に現在ショートショートを勉強中の方にお伝えしたいのですが、完成時のクオリティを重視するあまり、それを満たさない作品を途中で止めてしまうのではなく、先ずは完成品として多くの作品を仕上げるられる事をお勧めします。

 


コラム/小説の構成方法(前編)

 

小説の構成における『起承転結』は基本なのですが、では具体的にどう構成すればいいのか? 特にショートショートなど、書き始めたばかりの方は、基本形を意識しすぎて、物語がぎこちなくなってしまいがちです。

これらをいかに自然な形で構成すべきか。そんなお話したいと思います。詳しい内容については、次回/小説の構成方法(後編)にて。

 

 

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
Vol.1は、常にAmazonランキング(文学理論カテゴリー)に登場する人気の書籍です。
シリーズ第二弾と第三弾であるVol.2、Vol.3は、Vol.1で作り上げた『作家脳』を更に『鍛え』、その作家脳を『持続させる』為の方法です。
様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾
シリーズ第三弾

 

にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
にほんブログ村

↑↑↑ブログランキングに参加しています。面白かった方は応援お願いします。

 

R・ヒラサワの?Novelist's brain? - にほんブログ村

↑↑↑読者登録はこちらからお願いします。

 


ショートショートランキング

↑↑↑最新のランキングチェックはこちら!