ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(小説・ショートショート書き方の基本)コラム/小説の構成方法(後編)

コラム/小説の構成方法(後編)

 

 

一般的な小説の場合、『起承転結』が構成の基本となりますが、小説を書き始めたばかりの方は、これを意識し過ぎるあまり物語がぎこちなくなりがちです。

通常、私が当ブログの『創作プロセス公開』で、あえて『起承転結』をそれぞれ書いているのは、公開済みのショートショート作品と併せて読んで頂く事で、理解しやすい様にとの考えからです。

 

 
【CONTENTS】

 

 


今回の作品例/ショートショート『スミレ先輩』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 

大まかな構成の流れ

 

●とりあえず『起承転結』を意識せず、書ける部分から書く

●おおよその時系列で並べてみる

●並べたものを一度読み返し、必要があれば並べ替えて整える

●再度読み返し、ブラッシュアップする

 

創作段階では、時系列に合わせて構成を組めた訳ではなく、書ける所から進めました。今回は手順の説明上、ある程度全体のエピソードが出来上がっている前提で、解説を進めたいと思います。

 

(起)主人公についての人物像や、物語のベースとなるエピソードの、基本的な部分を展開します。必要に応じて、季節、時間、場所等の情報を入れた基本的な場面設定を、『起句』の段階で済ませておきます。(構成上の意図がある場合は、別の『句』でも問題ありません)

 

(承)『起句』で設定した内容を、更に発展させます。例えば『起句』で殺人事件の現場を設定したならば、『承句』で犯人に関する手掛かりが見つかったり、謎が少し明らかになったりといった具合です。

 

❸『転句』に進む前の準備を行います。『オチ』を盛り上げる為の『仕掛け』の多くは、この場所が適しています。伏線等の『仕掛け』が複数ある場合は、『承句』と分散して書く場合もあります。

 

(転)『オチ』に進む準備となる場所です。

ここまでの伏線を全て『結句』で『回収』する為、端的にまとめる必要があります。

全ての仕掛けは『転句』に照準を合わせている、といったイメージになります。

 

(結)いわゆる『オチ』ですね。ここまでの仕掛けの『種明かし』となり、伏線は全て回収します。物語のタイプによっては、もう少し前の段階で、一部の『種明かし』をする事もありますが、その場合は徐々に『オチ』を明らかにした方が『効果的』なパターンに絞った方が良いでしょう。

 

上記の内容が構成が基本形で、これをそれぞれの物語に当てはめれば、応用する事が出来ます。以下、例となるショートショートを用いて解説を始めます。

 

 

★これ以降の内容には、『オチ』等に関するネタバレが含まれています。作品を楽しみたい方は、先ずは『全文』を読んで頂く事をオススメします。

今回の作品例/ショートショート『スミレ先輩』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 

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ショートショート作品を用いた構成の例

 

主人公の『カンナ』は、先輩社員である『スミレ』をとても尊敬していて、普段から色んなアドバイスをもらっています。 今回の物語のオチは、『完全無欠』とも思える『スミレ』の『意外な弱点』です。この『弱点』は日頃のスミレの強さが強調される事によって、更に『ギャップ』が大きくなり、そこに『ユーモア』が生まれる訳ですね。

 

【構成に必要な要素】

●スミレが強い女性である

●カンナは少し頼りない部分がある

●分かりやすい『仕事ができるスミレ』

●乙女チックなスミレの弱点

 

❶(起)少し頼りないカンナが、スミレを尊敬するエピソード

入社二年目のカンナは、今でもスミレ先輩からアドバイスを受ける事が多い。

「ねえカンナちゃん。裁断機で紙を切るときは、一枚目を半分に折って印を付けておくと綺麗に切れるわよ」

「はい、スミレ先輩」

 スミレ先輩は入社八年目の事務員だが、男性並みに機械類に詳しい。女子力高めのナヨナヨした事務員を嫌い、男性社員からも一目置かれる存在だった。


主人公のカンナは、入社から二年も経つのに、未だ裁断機の使い方などを指摘される、どこか頼りない社員です。一方のスミレ先輩は、八年目にして『お局様』のような存在になっています。

 


❷(承)スミレの凄さがわかるエピソード

スミレ先輩は素早く落ちかけた書類に手を伸ばし、見事にそれを食い止める。

「さすが、スミレ先輩!」

 運動神経の良さは群を抜き、殆どの仕事は社内の誰よりも早かった。

 

今回のようなエピソードを表現する場合、誰かからの『伝聞』よりも、実際に現場で起こっている『動的な表現』の方が効果的です。

この方が読者の方も、実際にそれを体験したかのような感覚になるからです。

 

 

 


❸オチのエピソードに向かう準備

「男の人って、結構このあたり気にする人が多いのよ」

「え、そうなんですか? 私、今まで適当にやってましたけど、何も言われた事なかったです」

「青いわねえ、貴方も。みんな何も言わないだけで、ちゃんとそういうとこ見てて、この娘は気がきくとかきかないとか、男達だけで言い合ってるもんよ」

 

『オチ』でのエピソードは、カンナがスミレ先輩に対して、以下の様な疑問を持った事から始まっています。

カンナは入社以来、スミレ先輩の彼氏だった相手を三人知っている。そして、みんな決まって三ヶ月以内に別れているのだ。

 


❹(転)オチのエピソード

経験豊富で頼りになるスミレ先輩の言葉には重みがある。相当レベルの高い相手でなければスミレ先輩とは釣り合わない。きっと厳しい判断基準をクリア出来なかったのだろう。

 しかし、カンナの目には、スミレ先輩の歴代の彼氏に、それらしい欠点は見当たらない。カンナは思い切って、その事を聞いてみる事にした。

 

男性顔負けの、仕事をバリバリこなすスミレ先輩。完全無欠とも思える彼女なら、きっと付き合う相手に求める基準も厳しいのだろうと、周囲が思ってしまう流れを作っています。

 


❺(結)オチ

数日後、カンナは同期の事務員から、スミレ先輩に関する、ある話を聞いた。

動物占いに星占い、それに姓名判断。相手の人と相性が悪いって分かると、スミレ先輩って怖くなってすぐに別れちゃうそうよ」

 

付き合っている男性がどうか、という事よりも、占いを信じる『乙女チック』な部分。しかも、相性を見るだけにとどまらず、実際にあっさりと別れてしまうと言う信じがたい行動。このナンセンスさこそがユーモアな訳ですね。

 

 

構成作業のコツ

先ずはネタが浮かんだら、『構成に必要な要素』を書きだしてみるのが良いかと思います。次に『書ける部分』から書き進め、ある程度の材料が揃った段階で、おおよその時系列で並べてみましょう。後は読み返しながら、少しづつ整えてゆくといった感じですね。一度試してみましょう。

 

 

 

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