今回の作品/秘密
四十五歳の主人公は、会社の忘年会で急接近した事務員の女性と不倫関係になり、いつしかそれは『本気』となった。いつまでもこの状態を続けられない。やがて主人公は、妻へ離婚話を切り出すが……。
ショートショート『秘密』の全文はこちら↓↓↓
【CONTENTS】
- テーマからの発想
- 発想からのキーワード選出
- POINT1:タイトル
- POINT2:書き出し
- POINT3:ユーモア
- POINT4:前半のストーリー
- POINT5:展開〜オチ
- 総合的なポイント
- コラム/意外な結末の作り方(前編)
テーマからの発想
今回のテーマは『秘密』です。『秘密』と言えば、既に怪しい雰囲気が漂っていますが、やはり『悪い事』をしているイメージが強いですね。今回は、素直にその流れ通りの作品となっています。
この様にイメージの強いワードの場合、その逆のパターンでアイデアを練るのも、意外性があって面白いでしょう。次は是非、その線で書いてみたいと思っています。
発想からのキーワード選出
秘密、隠し事、偽り、嘘、口止め、浮気
POINT1:タイトル
タイトルは『秘密』です。冒頭からの主人公と愛人の関係だけを考えれば、他のタイトルもあったと思うのですが、既に作品を読まれた方はお分かりだと思いますが、今回は『オチ』と深い関係があるのです。
物語の中で、主人公の妻が話したのはラスト付近の一回のみで、それまでの行動や言動に関しては、全て主人公の語りのみにしてあります。このあたりも『秘密』と言うタイトルを付けた事に、深く関係しているのです。
POINT2:書き出し
会社の事務所を出て直ぐの廊下でミナコとすれ違った。
「お疲れさま……」
周囲の者に気付かれぬ様、私の耳元で囁いたミナコは、もう一度こちらを見て目配せをした。
私は軽い笑みで答える。二人の関係は社内では『秘密』だった。
主人公を含む人物の関係性を描くと共に、作品の持つ怪しい雰囲気も加えてみました。社内での恋愛関係ですが、二人は不倫である為、周囲にそれを気付かれてはいけない訳です。しかし、当人同士の間では、密かにシグナルを送り合う。この様な行為も楽しみの一つだったりする訳ですね。
POINT3:ユーモア
ミナコは半年ほど前に、事務員としてやって来た。少し派手めの、色のあるその雰囲気は、周囲の男性社員を惹きつけるには十分過ぎた。
当然、アプローチしてくる者も何人かいた様だったが、ミナコはそれに答えない。そう、この私を除いては。
主人公の男性は、女性が自分にだけ振り向いた事に、とても自信を持っています。それは自分に魅力があるからだと言わんばかりに。
しかし、この自信はオチで覆される事になる為、後にユーモアとして再び生きる部分になるのです。
創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!
先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓
POINT4:前半のストーリー
起
主人公は会社の忘年会で急接近した事務員と、不倫関係になった。
承
本妻との関係も良くなかった主人公は、愛人に対する気持ちが益々強くなっていった。
POINT5:展開〜オチ
転
愛人と一緒になる為に、本妻に離婚を切り出すと、意外にもあっさりと受け入れられる。
結
本妻と別れた後、愛人との関係を発展させる筈だったが、結局別れる羽目になった。その愛人とは、妻が雇った『別れさせ屋』だった。
総合的なポイント
この物語は、大半が主人公に内面描写によって進行します。重要なのは、愛人となる女性に出会った時からの、主人公の内面的な変化です。
元々は浮気性で無かった主人公が、徐々に妻以外の女性に惹かれてゆく様子、そしてそれが『本気』になってしまい、やがて自ら『離婚』を切り出すという流れ。
主人公が最終的に『離婚』を決意したのは、愛人が夫と離婚を真剣に考えていると思ったからです。しかし、これは『愛人』の計画の一つに過ぎません。
ショートショートは短い作品です。その中に必要な情報や描写などを、上手く盛り込まなくてはなりません。不要な部分は出来る限りカットし、必要な部分に厚みを持たせ、作品を作り上げるのです。
コラム/意外な結末の作り方(前編)
ショートショート作品において『意外な結末』は、一つの大きな特徴と言えます。先ずは『アイデア』があり『構成』があり、その先に『オチ』があります。意外性があればあるほど、ショートショートは面白くなります。そんな、意外な結末の作り方については、次回の『意外な結末の作り方(後編)』にてお話ししたいと思います。
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