今回の作品/空が光った夜
真夏の寝苦しい夜、破裂音と共に空が光った。だが、周辺の住人に慌てた様子はなく、まるでいつもと変わらない夜の様に思えた。しかし翌朝になって、主人公は部屋の中で自分にそっくりの『生き物』を見つけるのだが……。
ショートショート『空が光った夜』の全文はこちら↓↓↓
【CONTENTS】
テーマからの発想
今回のテーマは『光』です。光と言えば、かなり書ける範囲が広いですね。例えば希望を表す『光』であったり、レーザーなどの『光線』または『光る物』、そして『光った』と言う『現象』を取り上げたものなどです。
発想からのキーワード選出
電球、LED、太陽、希望、光線、レーザー、UFO、フラッシュ
POINT1:タイトル
タイトルは『空が光った夜』です。
タイトルを付ける場合、『◯◯な△△』とした時、一方は状態がハッキリしたもの、残るもう一方を状態が曖昧なものにすると、興味をそそり易いタイトルになります。
『夜』はそのまま『夜』なので、何であるかがハッキリとしています。しかし『空が光った』の所は、曖昧な部分を含んでいます。『空』も『光』もわかりやすいものですが、『空が光った』となると、『どう光った』のかであったり、『何故光った』のか等、『どの様に?』や『何故?』と、疑問に繋がる訳ですね。そうする事で、タイトルで疑問を抱いた読者の方は、その『答え』を『知りたい』と思うからです。
POINT2:書き出し
寝苦しい夏の夜の事だった。破裂音のようなものと共に一瞬、空が青く光ったのだ。
それが現実のものだったか夢だったのか、区別がつかなかった。家の外に出てみても、誰かが右往左往している気配もないし、何より、いつも見ている夜の光景と何ら変わらなかったのだから。
『書き出し』で読者の方に、先ず疑問を持っていただく手法として、現状で起こっている出来事の、一部分だけを明らかにするのも有効な方法です。上記の文章をかなり大まかに言ってしまうと、分かっているのは『夜に空が光った』と言う事だけです。他には大した情報がありません。この様に書く事によって、『何が光ったのか?』『何故光ったのか?』と言う疑問に繋がるのですね。
POINT3:ユーモア
その生き物は、動きも私とそっくりだった。細かい癖もそうだし、何より、こちらが頭に思った事を上手く読み取り、絶妙なタイミングでサポートしてくれるのだ。まるで長年コンビを組んでいる相方の『アドリブ・ボケ』へのツッコミの様だった。
小説内での例え方ですが、私はこんな感じが好きです。比較的真面目な話でも、可能な限りこの様な表現を入れる様にしています。緊張感ある中にユーモアを盛り込む事で、更に他の部分を引き締める効果を狙ったものです。
POINT4:前半のストーリー
起
夏の夜に突然破裂音がしたので、主人公は家の周辺を確認してみたが、特に何も変化が無かった。翌朝になると、部屋の中に自分とそっくりの『生き物』がいる事に気がつく。
承
『生き物』の事を誰にも話せずそのまま過ごしていると、『生き物』は色々主人公をサポートしてくれたので、特に問題なく過ごせた。
POINT5:展開〜オチ
転
『生き物』が家に来てから一週間が過ぎ、主人公は久々の訪問となる友人宅に向かったが、道中で『生き物』について話すべきかを迷う。
結
友人宅に着くと、いつもと違うぎこちない対応だった。玄関先に集まる友人の家族。気付けば友人宅にも、家族と同じ人数の『生き物』が増えていた。
総合的なポイント
今回のお話は『空が光った』事によって、主人公はずっと自分の家にだけ変化が起こったと思いながら生活している、と言う点です。そして、最初は変な生き物が登場して、大変な事態になると思われたのに、意外にも普通に暮らせそうだと思い始める流れ。
ショートショートの場合、『オチ』に向かって徐々に『伏線』を積み重ねてゆくのが一般的ですが、今回は一旦状態を引き戻す手法をとっています。こうする事で、直前までの展開とオチに大きな落差が生まれ、面白さが増幅される訳ですね。
コラム/計画的な展開(前編)
小説の中でも、ショートショートは展開がとても重要です。それは文字数に限りがある為、展開方法にある程度限りがある為です。作品によっては構成上、もう少し展開に余裕を持たせたい場合もあります。しかし、それが無理な場合は工夫が必要です。
更に詳しい内容については、次回のコラム/計画的な展開(後編)にてお話ししたいと思います。
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