ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

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(小説・ショートショートの書き方ブログ)今回の作品/ごくありふれた殺人

今回の作品/ごくありふれた殺人

 

 

電車で同僚と家路につく中、何気なく見たネットニュース。それはよく見かける殺人事件で、情報が氾濫する中では『ごくありふれたニュース』に過ぎなかったが……。


ショートショート『ごくありふれた殺人』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

テーマは『ネットニュース』です。

物騒なお話ですが、最近は本当に『事件』が多いですね。確かに報道されていない事も沢山あるんでしょうけど、昔よりも『怖い事件』が増えている様に思います。ですから『続報』も、一体どの事件の話なんだろうと思ってしまう事もあって、アイデア起点はその辺りですね。

 

 

 発想からのキーワード選出

 

事件、報道、溢れる、紛れる、凶悪事件

 

 

 

POINT1:タイトル

 

タイトルは、『ごくありふれた殺人』です。少々問題のあるタイトルなのですが、あくまで作品内の流れやオチ、そして登場人物の心情など、総合的に考えた時、やはりこのタイトルになりました。

 

 

 

POINT2:書き出し

 

 スマートフォンの検索サイトを開くと、自動的に流れるネットニュース。ワタナベが何気なく読んでいた記事を、会社の同僚であるコジマが横からすうっと覗き込んで来た。

「どうした? 何か面白いニュース?」

「いいや、よくある事件だよ。マンションの部屋の中で人が殺されていたのを、会社の人が訪ねてきて見つけたってやつ」

「ああ、よくあるね。だから、どれがどの事件の事だか、後で聞いても分からない時があるよ」

「そうなんだ。最近は殺人事件が多すぎるから……」

 

今回は、少しスローな展開にしています。既に作品を読まれた方はお分かりだと思いますが、この物語は基本的に登場人物二人の会話で進行します。一応の場面転換はありますが、主として二人のやり取りになっています。そして、その会話の中で主人公の心情に、少しずつ込み上げて来るものがあって、今回はそれがキーになっているのです。

復習を企てた犯人が、怒りを増幅させるものは何か? それは、遺族にとってとても大事だった人の命を軽視された時だと、私は考えました。犯人は自ら触れ出した『ネットニュース』の話題の中で、徐々に怒りを増幅させ、やがて犯行を決意するのです。

 

 

 

POINT3:ユーモア

 

「あれ? どうしたんだい?」

 いつもと違うコジマの行動に、ワタナベが尋ねる。

「今日はこっちに用があるんだ」

「へえ、そうなの?」

「買いたい物があってね」

 コジマが名を挙げたコンビニは、北側には無かった。今日はそこで限定スイーツを買うそうだ。

「男なのに『スイーツ』かよ」

「ああ……」


男性が『スイーツ』を買ってはいけない訳ではありませんが、やはりイメージ的には女性の方が似合いますよね。そして、ここで一瞬ユーモア的な内容が盛り込まれた様な形になりますが、実際には『オチ』に向かっての『ミスリード』であり、最終的な効果を増幅させる為の『仕掛け』なのです。

犯行を決意した時の、最後の一押し。それは被害者である『妹の思い出』でした。そうです。妹の『無念』と共、『二人の気持ち』で犯行に及んだのです。妹がそれを望んだかどうかは、分かりません。しかし、少なくとも残された『兄』は、そう思っていたのです。

 

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POINT4:前半のストーリー

 

電車で帰宅中の主人公が検索サイトを見ていると、一緒に乗っていた会社の同僚がそれを覗き込んで来て、よくあるネットニュースの話題になった。

 

ネットニュースを覗き込んで来た同僚は、よくありがちな記事について掘り下げて来た為、それが『殺人事件』の話題だったので、主人公は話を切り上げようと言う。

 

 

 

POINT5:展開〜オチ

 

電車は二人が普段降りている駅に着いた。駅から自宅まで、二人は反対方向に分かれて帰るのだが、何故か同僚は主人公と同じ方向に歩きだし、その理由を尋ねるとコンビニで『限定スイーツ』を買う為だと答えた。

 

同僚は妹が殺された未解決事件の遺族で、その犯人が主人公であった証拠を掴んだが、警察には届けず自らの手で復讐を実行した。

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

総合的なポイント

 

過去に何件も起こっている未解決事件。既に逮捕され、その逃亡の様子が明らかになった例もありますが、今も尚逃げ続けている犯人は居て、我々が暮らす平和な世界に紛れています。『犯人が隣に居るかもしれない』という事実は、現実世界での大きな恐怖だと思います。

小説を書くときの手法として、『ギャップ』はとても有効です。今回の様に『恐怖』を扱う場合には、そこに『平穏』をあてがう。つまり、直前の『スイーツ』がそれに当たる訳ですね。

 

 

 

コラム/理由のある動き(前編)


小説を書く場合、作品内で登場人物達には『動き』がある訳ですが、それは単に物語の流れ上である場合と、構成や展開の為に『理由』があって動きをつけている場合があります。その『理由』とは一体どんなものなのか。それは次回の『理由のある動き(後編)』にてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

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