ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(小説家になりたいと思う人が読むブログ)今回の作品/タイムカプセル、コラム/ショートショート・オチの作り方(前編)

今回の作品/タイムカプセル

 

 

しばらくの間、離れていた地元に帰ってきた主人公は、街中で小学校時代の同級生に偶然出会い、近々予定している同窓会への誘いを受ける。しかし、地元を離れていたのには事情があって躊躇するが、当時の憧れだった女子が来ると聞き、出席を決めるが……。

ショートショート『タイムカプセル』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

今回のテーマは『同窓会』です。

同窓会と言えば、もちろん学生時代の仲間に再会する様なパターンが多い訳ですが、個人的に何故か『小学校時代』辺りを想像してしまいます。別に『中学』でも『高校』でもいい筈なのに、何故か『小学校』。単純に、会った時の変化が大きいから、そんな期待を無意識にしているんでしょうかね?

 

 

発想からのキーワード選出


学生時代、初恋の人、友達、成長、変化、タイムカプセル、担任教師

 

 

POINT1:タイトル


タイトルは『タイムカプセル』です。実は小学生の頃に学校でタイムカプセルを埋めたのですが、私はその後引っ越してしまったので、おそらく誰も連絡先を知らず、同窓会自体があったかどうかも知りません。もしもあったのならば、きっと学校に埋めたカプセルは、みんなで開けたのではないかと思っていて、私の中できっとずっと気になっているんでしょうね。

 


POINT2:書き出し


「サユリちゃんも来るよ」

 小学校で同級生だったコンドウが言った。同級生と言っても、私達は今年でもう三十二歳になる。街で偶然にあったコンドウが私を見つけて、同窓会に誘ってきたのだ。

 卒業から二十年。このクラスでは初めてになるそうだ。


書き出しで、主人公とコンドウの関係は明らかになります。しかし『サユリちゃん』は、はっきりとしません。ですが、ここまでの話の流れ上、おそらく主人公が好きだった相手ではないか? と言う想像はつきますよね。

この様に読者の方に前もって、ある程度の情報を開示しておくのは、読んだ人に何かしらの期待を持たせる効果があります。

これによって得られるのは、例えば作中に『ミスリード』部分があった時、これらに気付くタイミングを遅らせる効果などです。

人は、事前に気になった事があった場合、その事が解決しなければ、なかなか落ち着く事が出来ません。ある程度、その答えに時間を要した場合、その先に『オチ』を持ってくるのです。

 

 

POINT3:ユーモア

 

私の順番は、なかなか回って来なかった。私は子供の頃からずっとくじ運が悪く、まさかと思ったが、やはり最もインパクトの強い『最後』だった。

 

様々な場面で、運の悪い人というのは存在するもので、主人公もその一人です。この様なタイプの人は、ユーモラスですし、これはオチへの伏線にもなっているのです。

 

 

POINT4:前半のストーリー

 

街中で小学校時代のクラスメートに偶然出会った主人公は、当時のクラスでの同窓会を開催するからと誘われたが、事情があって姿を消していた為、参加を躊躇ためらっていた。

 

主人公のためらいの原因は、借金問題で身を隠していた為だったが、今は完済していたし、当時の憧れの女子が参加することや、小学校の卒業前に埋めた『タイカプセル』の事も気になったので、参加しようと思い始めた。

 

 

POINT5:展開〜オチ

 

参加を決めた同窓会では、そのメインイベントとして、最後に『タイムカプセル』を開ける事となり、皆が一埋めた『未来の自分』への手紙を、順に読み上げる事になったが、くじ運の悪い主人公は最も注目の集まりそうな、最後に読み上げられる事になった。

 

子供の頃から『前借り』をする癖のあった主人公は、未来の自分もお金に困っているだろうと、手紙と一緒に当時のお札の『二千円』が出て来た。

 

 

総合的なポイント

 

書き出しから登場している、かつて主人公の憧れの人であった『サユリちゃん』。主人公が同窓会への出席を決める、大事なキーマンなのですが、もう一方で『ミスリード』の『牽引者』でもある訳ですね。

主人公との関係を考えると、勿論オチに関係するかと思いきや、実は直接関係が無い。

ショートショートでの『ミスリード』で最も効果を発揮するのは、冒頭での登場です。読者の方にスタート時点から印象を与えながら物語が進みますので、後は本線への『オチ』に、さり気なく『バトンタッチ』すれば良いのです。

 

 

コラム/ショートショート・オチの作り方(前編)

 

『オチ』は、ショートショートにとって、とても重要なものですが、単純に『起承転結』の先に配置されていればいいと言う訳ではありません。一つの作品の中で、他の構成部分に様々な『仕掛け』を作り、ラストで最大限の効果を引き出すのです。

そんな『オチ』についての詳しいお話は、次回のコラム/ショートショート・オチの作り方(後編)にてお話ししたいと思います。

 

 

 

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