ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

ショートショート作家 R・ヒラサワが多方面から小説の書き方を解説。新作随時公開中!

(小説を書くためのアイデアを探せ!)今回の作品/習慣

今回の作品/習慣

 

数年前に辞めた会社の後輩に会う為、アポイントを取った主人公。目的は現在使用しているパソコンソフトについて、その方面に詳しかった後輩に色々と聞きたい事があった為だ。未知のウィルスが蔓延する世の中。周囲の人々との接触を避けて、会うのは後輩の車の中となったが……。

ショートショート『習慣』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【CONTENTS】

 

テーマからの発想

 

今回のテーマは『習慣』です。このテーマですが、この作品を書いていた頃はちょうど『新型コロナウィルス』が蔓延し始めた頃で、それまで普段の外出時に『マスク』をする様な事が無かったのに、すっかり自分の中では当たり前の『習慣』になっているなと感じたのが、このテーマを設けたきっかけです。
一般的に小説のテーマなど、『時事ネタ』は時間の経過と共に『古さ』を感じさせる原因となる為に、避ける方が良いとされていますが、私はあえてこのテーマを設けました。いつかこのウィルスの問題がすっかりなくなった頃に、再びこの物語を読んだ読者の方が、『そんな大変な時期もあったな』と懐かしく感じて欲しいと思ったのと、一方で、早くこの問題が解決して欲しいとの思いがあったからです。

 

発想からのキーワード選出

 

【習慣】【ウィルス蔓延】【油断】

前述の二点に関しては、このウィルス問題そのものですが、最後のキーワードが重要で、人は『習慣化』した事に関して、良くは『慣れ』そして、悪くは『油断』に繋がると考えました。
『ミスリード』の基本として、読者の方に直前まで間違った方向に考えが進んでゆくよう、様々な『仕掛け』をする訳ですが、これはある意味で読んでいる時の『習慣』とも言えます。
読者の方は一般的に、普段読んでいる物語の中で起こる『展開』が無意識に頭の中にあって、これが先を読む『材料』になっています。これらを元に考えを巡らせ、ある程度予想を立てている筈です。ただし、ショートショート様に『どんでん返し』がある事が前提であれば、もっと『深読み』する可能性もありますが、それらの『経験値』加えて、現在読んでいる物語の『方向性』によって、間違った方向へ『リード』されるのも言わば『習慣』なのですね。

 

POINT1:タイトル

 

タイトルは『習慣』です。シンプルにこのタイトルとしましたが、私は常々タイトルに関しては、可能な限り『シンプル』を意識しています。これは何も長いタイトルがいけないと言っている訳ではありません。例えば、そこに『意図的』なものがあったならば、かなり長いタイトルでも良いと思います。しかし、あまり『説明的』なものは感心できません。
物語で言う『説明』とは、登場人物の『行動』や『言動』で示すべきで、勿論ここに『地の文』も含まれます。これらの『説明』とは、如何にさりげなくスムーズに読み進められるかが勝負になる訳で、タイトルも同様、出来れば端的に作品全体を表し、そして『テーマ』や『オチ』にちゃんと繋がったものである事がベストと言えましょう。勿論、そこには本文で言うところの『伏線』的な要素も含まれる訳です。

 

POINT2:書き出し

 

 世界中に未知のウィルスが蔓延してからというもの、知人に会うのも気を使わなければならない。出かける際のマスクの着用などは、当たり前の『習慣』になっていた。他人との余計な接触を避ける為、車の中で会う事にした。

 

主人公が居る世界がどんな状況で、これから何をしようとしているかを書いています。ここで重要なのは、物語の先へと読者を誘導する『文』です。ここでは文末にある『車の中で会う事にした』です。
先ずは主人公が居て、『会う』となると、その相手は『誰なのか?』という疑問が自然に湧いてきます。これこそが『誘導』である訳です。そして、それはどんな状況なのかを読者の方が事前に想像出来る様、『知人に会う』や『出かける際のマスクの着用』といった『ワード』を入れる事で、『知人に外で会う』が、それは『車の中』である、と言うところまでが想定出来る訳です。
そして、そこに前述の問題である『誰に?』が加わるのです。

 

POINT3:ユーモア

 

 横の空いたスペースに、私は脱いだばかりの上着を置いた。並んだ二着の上着を眺めてみる。私の上着モリタのものより随分大きく見えるが、二人の背丈は似たようなものだったし、私が厚みのある上着を着ている訳ではない。単純にモリタの様に綺麗に畳まない。いや、『畳めない』のだ。

 

登場人物の性格を表現するのに、それぞれの行動を『比較』しています。また、主人公に関しては、内面描写も出来るので、更に深い心理の部分まで表現が可能です。今回の作品では、単に性格の表現だけではなく、その先の展開の為の『ミスリード』も含んでいます。無造作に上着を置いた主人公が、その後に後輩の車にそれを忘れるという流れは決して不自然ではありません。ですが、今回は本当に忘れたのではなく、主人公が後に起こす行動の為の『仕掛け』である事が、最後に分かるのです。

 

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POINT4:前半のストーリー

 

数年前に辞めた会社の後輩に会う為、主人公はアポイントを取った。後輩が主人公の家の近所まで迎えに来ると言うので、コンビニの駐車場で待ち合わせる事になった。

 

主人公が後輩に会おうと思ったのは、彼がパソコンに詳しく、現在使用しているソフトについて色々と聞きたい事があった為だったが、他人との余計な接触を避けるために、車の中で説明を聞く事にした。

 

 

 

POINT5:展開~オチ

 

後輩は車の中でソフトの説明をしてくれたが、『念の為』にと取り出したメモに要約した説明を書き、主人公にそれを手渡した。
その後、車から降りて後輩と別ようとした主人公が、車内に上着を忘れており、後輩の声掛けによってそれに気付き、慌てて上着を持ち帰った。

 

主人公は意図的に上着を忘れており、それを取るフリをして、後輩の上着から財布も一緒に抜き取っていた。実は主人公は、この様な犯行を繰り返して生活している。

 

総合的なポイント

 

知人からソフトの説明を聞くという、日常では特に取り上げる程の話題ではありません。この様なストーリーの場合、物語がつまらないものにならない工夫が必要で、今回は後輩がとても『プライドの高い人物』という設定にしています。
そして、かつての先輩であった主人公に対して、自分の方が優秀だと思っているところに、『ソフトについて教える』と言った、優位な立場を予め用意しています。
しかし、作中であたかも主人公が『独立』したかの様な話を聞く場面があり、ここで一瞬後輩は『負け』を感じるのです。
登場人物同士の心理的な『動き』、特に『動揺』や『怒り』などは読者の方が『共感』しやすく、これらは読書を進める『推進力』となり、特に長いストーリーでは、より強く意識するのが良いと思います。

 

コラム/作中に入れる『人物名』の頻度(前編)

 

私は時々、他の作家さんの作品を読ませて頂く事があるのですが、そこで気になった事について、しばらく書かせて頂く予定です。
今回は、作中に登場させる人物名の頻度です。小説は例外を除いて、基本的には『地の文』と『セリフ』の構成で、読者の方に物語を伝えてゆきます。その中で、『誰』が『何』をしたのかを使えるのに、『誰』の部分で『人物名』を表記しますが、何かしら行動を起こす度に書いていたのでは、当然文章としては『うるさく』なりますし、それを省きすぎると、読んだ時に『分かりにくい』ものになります。
どの様な頻度でそれを『表記』するかについて、次回の後編にて詳しく書きたいと思います。

 

更に詳しい内容については、次回のコラム/作中に入れる『人物名』の頻度(後編)
にてお話ししたいと思います。

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

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