ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

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(小説のアイデアを探せ!『予言』がテーマの作品例)新作ショートショート(26)/予言する男

新作ショートショート/テーマ(予言)

 

 

予言する男

 

 男は子供の頃から超能力や霊感などに興味があり、そして自分には『予知能力』があると強く信じていた。身近なところでは天候などを時々友人に告げ、相当な確率で的中していると本人は語っていた。しかし、友人達は皆共通して、男の予言を直接聞いた事がなかった。だから、男を知る人達は、実際に男が事前に『予言』をしていて、本当に『的中』させているのかについて、とても疑わしい気持ちを持っていた。
 男は社会人になっても、同様の事を繰り返した。結局、周囲の誰もが男の『予言』について信じていなかった。
 ある日、会社の帰りに数人の同僚たちと最寄り駅まで歩いていた時、突然大雨が降り出した。最近よくある『ゲリラ豪雨』である。皆が一斉に雨を凌げる場所を求めてあたふたとする中、男だけは落ち着いて『折り畳み傘』を広げ、悠々と歩き始めた。そして男は言った。
「今日は突然の雨が降るって、今朝ちゃんと予言したんだ」
 そう言って皆にスマホの画面を見せ、今朝撮ったと言う『予言の動画』を見せた。確かに日付は合っているし、時刻は朝の七時頃で、本当に予言していたのかもしれない。しかし、ここに居る同僚の中には日中顔を合わせた者も居たが、事前に『予言』を聞いてはいなかった。結局のところ、今回の場合も『事後報告』となった為、『予言』に関する信頼を得るに至らなかった。
「キミの『予言』が本当だったとして、ボクは何か精度のいい『天気予報アプリ』でも入れてるんだと思うけど?」
同僚の一人が言った。
「そんなもの使ってないさ」
「いいや、何か『カラクリ』がある筈だ」
「そんな事はないさ。それに『天気予報アプリ』なんて言ったけど、色んなのを調べてみればいい。今日の雨は、どのアプリでも的中出来なかった筈だよ」
 それを聞いた同僚が、ムキになってしばらく色んなアプリを調べてみたが、それらしい予報は全く見つからない。それでも納得のいかない同僚は言う。
「キミの傘は『折り畳み傘』だろ? そんなのは常に鞄に忍ばせておけば、予言も何も関係ないじゃないか!」
「おいおい、よく見てくれよ。ボクは確かに普段から『折り畳み傘』を持っているよ。だけど、これは今回の『豪雨』に合わせてわざわざ『大きい折り畳み傘』に替えておいたのさ。ほら、いつも持ってるのはもっと小さいだろ?」
「普段キミがもっている傘なんて、いちいち見てないから、それが本当かなんて判断出来ないよ」
 夜になって、今回の『ゲリラ豪雨』はニュースで取り上げられるほど予想外の雨だった事が分かった。それでも男の『予言』が周囲の人々から信じられる事は無かった。それは男の予言がいつも『事後報告』だった事と、『予言』の前後で男の周辺に大した変化が起こらない事ばかりだったからである。
 例えば今回の『豪雨』だ。男が上手く傘で雨を凌げただけで、それ以外の変化は何もない。たまたま当日に同僚も一緒に居たが、これが目撃者も無く、数日後に聞いた話だったとしたら、事実かさえも分からないし、この時の傘にしても、男が普段から常に持ち歩いていた方の傘かもしれない。今回も男の『予言』を信じる者は一人も現れなかった。
 結局、男の『予言』は信頼性の無さから、誰かに何かを警告したとしても、注意を払うような人は現れないのである。
「今度さ、ついに我が家に大金が舞い込むんだ」
 過日、男は同僚達がいる前で珍しく『予言』をした。少なくとも、ここに居る数人の同僚達は、『事前』に『予言』を聞いたのが初めてである。皆は一瞬『オヤ?』っと言う表情になったが、それ以上の反応はしなかった。そして、少しの間を置き、先日の豪雨でツッコミを入れた同僚が口を開いた。
「キミが前もって『予言』をするなんて珍しいな。少なくともボクが聞いたのは初めてだし、他の皆も、きっと同じだと思う」
「ああ……。そうだったかな」
「そうさ、いつでもキミは『事後報告』だからね。ところで『大金』って、一体どれぐらいの金額が入るんだ?」
「はっきりは言えないけど……」
「分からないんだろ? 結局、『事後』にならないと」
「そ、そんな事ないさ。す、数千万円だよ……」
「『数千万円』だって? こりゃ、傑作だ! じゃあ、それが入ったら、ここに居る皆に豪勢な飯でもおごってくれよ」
「そうしたいところだけれど……。多分無理だと思うよ……」
 その言葉を聞いても、皆は無反応だった。ここに居る誰もが、男の『予言』が当たる事に期待などしていない。
「ほら、もう直ぐだ! と、とにかくキミ達、危ないから早くボクから離れて!」
 男が急に大声で言った。しかし、その言葉を聞いても、誰一人として、男から離れようとする者は居なかった。
 その直後、皆が歩いていた横の建設中のビルから、大きな『落下物』があった。それは男を含む同僚たち全員に覆い被さるほど大きな物で、その下敷きとなって全員が命を落とした。
 過日、男の妻に『数千万円』の『保険金』が舞い込む事になった。

 

 

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

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