ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

ショートショートの魅力: アマチュア作家の悩みを解消!#指南書

文章力アップの最短距離は『ショートショート』‼️

 

長編や中編小説を書いている人の中に、最初から『ショートショート』を読む事すら『敬遠している人』はいませんか?
小説投稿サイトで作品をアップしても『読まれない』とか、応募作品が全く『入選しない』など、せっかくの自信作を目の前に悩んでおられるアマチュア作家さんが、世の中には多いのではないかと思います。
小説の書き方などに関する、いわゆる『指南書』は多く存在しますが、既に複数読んでみたものの、なかなか『結果に繋がらない』という例も多くあると思います。
それぞれのジャンルに応じた指南書を読まれるのは勿論良い事だと思います。ルールやコツなどは、そうした書籍を参考にされるべきですが、実は『ショートショート』には『共通点』が多く、長編や中編にも参考に出来る事は多く、それどころかショートショート特有の『メリット』まであるのです。

 

ショートショートが最適な理由】


●作品全体が短く、全体像が把握しやすい
『書き方』の解説を読んでも、結局のところ上手く把握出来なければ作品に活かすことが出来ません。解説の全体像が把握しやすい方が理解が早いのです。

 

●文字数制限がある場合が多く、工夫した表現を考える機会が多い
 本来であれば、もっと少ない文字数で同じ事を表現出来るのに、無駄に長い文章を書いてしまう事もあります。文字数制限がない場合でも『文字数の節約』を意識する事は、とても価値のある事です。そして、その節約された文章は多くの場合、リズム感の良い読みやすい文章なのです。

 

 

 

●物語の構成について、しっかりと理解出来る
 物語全体が、一体どの様な『構成』になっているのかを把握するのに、これが『長編』の作品となると、それを理解するのが無理とは言いませんが、少々困難な作業になりますし、またしっかりと把握するとなると作品全体を読む必要が出てくる為に、どうしても時間を要してしまいます。確かにこの作業も必要なのですが、多くの作品に触れて様々な事を学ぼうと考えている場面では、やはり短時間で習得出来る環境が必要になってきます。
 ショートショート作品の平均的な物であればおおよそ二千文字程度で、だいたい五分程度で読める長さです。この長さであれば、それぞれの『構成』や、その組立て方法について、簡単にりかいする事が可能なのです。

 

●伏線とオチの関係を把握するのが容易
 前述の『構成』のお話とも関係がありますが、『ショートショートのオチ』の様な感じでありませんが、通常の作品の中には『伏線とオチ』に似た構成があって、これにはそれぞれの『関わり』や『組立方法』といった物を上手く把握する必要があります。小説の書き方を習得しようとした時に、単に作品を読むだけでそれを実現出来るのではなく、やはり手本となる作品の理解と、それを読んだ読者が実際に自身の作品の中にそれを取り入れて、しっかりと『自分で書く』といった行為を実現出来なくてはならないのです。

 

●作品が短い分、多くのパターンを短期間で習得出来る
一つの作品について理解を深めるのも良い事ですが、多くの作品に触れて様々なパターンを習得するのも有効な方法です。その中でも私が特に有効だと思うのは、ご自身が普段書いている物語とは全く異なるタイプの作品に出会った時です。
『食べず嫌い』と言う言葉がありますが、これは小説にも言える事です。言ってみれば『読まず嫌い』といったところでしょうか。そこに生ずる『刺激』が大きいのは間違いないでしょう。そして、この行為は決して好きでない作品を好きになってくださいと言うものではなく、あくまで『良い刺激』を受ける為なのです。そして、そうした作品に短期間で沢山触れるには、その一つ一つが『短い』方が簡単ですよね?

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

これらの多くの理由から、私は『長編』や『中編』を書いている作者さん達にも、ぜひ『ショートショート』に触れてほしいと思うのです。
以降に私の書籍をご紹介させて頂きますので、お時間のある方は是非一読を。

『タイトル』をヒントに創作開始!ショートショート作家が創作手順を『全公開』‼

 

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兼業作家の執筆作業の効率化術をご紹介!!

執筆が進まない人の為に、私の執筆現場をご紹介

 


現在、兼業作家である私は一般企業でも普通に仕事をしています。その為、労働時間は通常は8時間です。
私が出版社に原稿を送って審査に通過、その後『電子書籍』でデビューしたのは20年以上も前の話ですが、この時の原稿は直前まで勤めていた会社を退職し、求職活動中の半年間に書いたものです。実際に書籍となった文章量は『原稿用紙換算150枚』です。
現在の執筆に使える時間は通勤途中が殆どで、朝が10分程度と夕方が15分程度ですが、週の半分は夕方の時間が全く使えません。この様な環境の中での執筆作業ですが、これまでに出版した電子書籍は平均すると年に3冊ぐらいなので、執筆かかった期間は4ヶ月程度です。これを単純に計算すると、求職活動中に執筆に用意していたのは1日に8時間で、現在の16倍もあります。それにも関わらず、一冊の本を書きあげるのに1.5倍の時間がかかっており、全く時間に比例した執筆が進んでいなかった事になります。

これらの経験から、執筆とは単に『時間が長れば良い』と言うものではなく、特に重要なのは『間』です。要するに『書いていな時間』の事ですね。

現在の執筆は、一般企業への通勤途中が主ですのでその時間帯が大体同じですが、日により書けない場合もあります。そして、それ以外の『全く書けない時間』は、通勤による『移動』であったり企業内での『勤務中』だったりします。この中には『自動車の運転』もある為、ここまでに挙げた事柄には、全て『外部からの刺激』があるのです。それは景色の違い等による『視覚』や、知人や他人の会話等から受ける『聴覚』へのものです。
つまり、無理に物語を書こうとして長時間パソコンの前に座っていても、その時間内は外部からの『刺激』が殆ど無く、脳が活性化されない事によってアイデアが生まれにくく、執筆も進まないのではないかと私は考えています。

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 


特に一般企業への通勤を含めた一日の行動を思い返してみると、朝は自転車で駅まで行き、駅から電車に乗ります。道中は景色を見る事もありますし、電車の中では自分以外の人も居るので、他人の『会話』も耳にします。
また、企業内では同僚との会話もありますし、社外の人と会話する場合もあります。仕事で車に乗れば、その時の景色や店舗の看板など、ヒントになる事が山ほどあるのです。
そして私が出した結論として、執筆する時間はある程度短時間に限定しておき、それ以外の時間に関しては、それとは全く別の事をする。そうして色んな場所からの刺激を多く受けるのが良いのではないかと思います。
そしてもう一つは、ある程度何かをしながら思考を巡らせる事が出来るのであれば、執筆中にあった物語の構想やキャラクターなど、必要な事柄について考え時間に当てても良いのではないかと思います。そうする事で、実際に書いていない時間にもある程度『執筆の準備』が出来るのではないかと思うのです。

そして、この時に必ず準備しておく事が一つあって、それは実際の紙でもスマホでも良いのですが、『メモをとる』と言う事を忘れない事です。突然浮かんだアイデアは、一瞬にして忘れてしまう事もよくある事です。これほど勿体無い事はありませんので、アイデアを絶対に逃さない準備が必要です。

原稿を前に執筆が進まないと言う方は、是非お試しください。

 

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電子書籍キャンペーン/無料でお得に読書体験!

電子書籍の無料キャンペーンについて

 

 

普段は有料で販売している電子書籍ですが、私の著書は全巻Kindle Unlimited対応にしていますので、こちらの会員の方は勿論読み放題ですが、そうでない方は有料で購入していただく必要があります。

しかし、ごくたまにですが私も『無料キャンペーン』を実施する事があって、これはあくまで私の作品を知って頂く為の宣伝活動の一環です。

そして、今回はショートショート作品集(特別編集版)である『サンタが来ない日』をその対象商品にしました。この作品集をキャンペーンの対象にしたのは『初』となります。

本書は『作家脳1~3』に収録のショートショート作品と新作を合わせて35編掲載しています。

まだ私の作品をご覧になっておられない方は、是非この機会にご一読いただければと思います。キャンペーン期間は2月13日(火)の午後4時59分まで。DLはお早めに!

☟☟☟無料キャンペーン実施のショートショート作品集はこちら!!

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読者急増!人気の『創作技術シリーズ』最新作

新シリーズ好調

 

『作家脳シリーズ』に続く第二弾の『創作技術シリーズ』。お陰様でとても好調です。特にシリーズ三冊目となる『タイトルから始める執筆手順』の出版後、シリーズ通しての読者さんがどんどん増えている状態です。どうもありがとうございます。

 

第一弾である『作家脳』も、可能な限り『創作ビギナー』の方にも分かり易い内容になる様書かせて頂いたつもりなのですが、今回の『創作技術』は一応『創作中級者』の方々に向けた内容としてはいるものの、『ビギナー』の方でも分かり易い内容になったと思います。

 

『タイトル』をヒントに創作開始!ショートショート作家が創作手順を『全公開』‼

 

前シリーズの『作家脳』は、お陰様で頂いたコメントや評価は比較的『高評価』です。今後はもっと多くの読者の方々に読んで頂き、読後に『小説が書けるようになった』とのお声が聞けるよう、充実した内容の書籍を出版できるよう頑張りたいと思います。

 

☟☟☟ショートショートを『書く』ならこの本!!

 
どの書籍にも言える事ですが『表紙デザイン』はとても重要で、読者になって頂くには先ず『手に取って頂く』必要があります。私の書籍は電子書籍ですから『手に取る』ではなく『クリック』して内容をチェックしてもらう訳ですが、ここに至らなければ前には進まないのです。
やはりランキングを見ても、売れている書籍はその辺りが工夫されていて、思わず読みたくなる様、デザインされています。
今後、出版について検討されている方は、現在ランキング上位の書籍のデザイン等は注意してご覧になってください。どれだけ内容の良い本でも、先ずは読者の獲得が出来なければ『良さを伝える』事さえ出来なくなってしまいます。ご参考まで。
 

 

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『タイトルから始める執筆手順』で創作したショートショート作品

 

『タイトルから始める執筆手順』で創作したショートショート作品

 

 

違和感のある記事の意味

 

いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
さて突然何ですが、皆さんは2回前の記事である新作ショートショート『オウム返し』発表の時に、何か『違和感』を感じられなかったでしょうか?
実は、ショートショートの本文に入る前に『仕掛け』があったのですが、お気付きでしたか?

『テーマ』と答えられた方は『正解』です。
実はこの作品、『テーマ』と『内容』が合っていないのです。最初から順にご覧になった方は、『何故このテーマで、この物語?』とか『このタイトル変じゃね?』ってなったと思うのです。
この時のテーマは『別人』でした。そして、ショートショート作品のタイトルは『オウム返し』で、ここに『繋がり』が感じられません。

『どうしてこうなった?』よりも、『何故このままなのか?』ですよね。実はこれには『意味』があったのです。

 

『タイトル』をヒントに創作開始!ショートショート作家が創作手順を『全公開』‼

 

前回の記事で発表した新刊である『タイトルから始める執筆手順』の中に、前述の作品である『オウム返し』が掲載されているのですが、この指南書はその字の如く『タイトル先行』で物語を作る内容を解説したものです。この本の執筆中に、私は実際にその中にある解説の通りに、全く『白紙の状態』から作品を完成させる事を実践し、その過程をそのまま掲載したのです。

そして、今回の様に仮に用意したテーマから徐々にアイデアを練り上げてゆき、最終的に物語の方向性が変わった場合は、テーマを再度設定し直してから執筆を始めるのですが、今回は変化のあった過程もそのままにしたかったので、あえて新作ショートショートの発表時は元々のテーマのまま書く事にしたのです。

ちなみに、今回の新刊は発売からとても好評で、この記事を書いている段階では発売から半月ですが、既に多くの読者さんに読んでい頂いている状態で、電子書籍の販売数も伸びており、この本は『創作技術シリーズ』の第3巻なのですが、シリーズをまとめ買いしていただく場合もあって、先に発売した1巻と2巻も併せて部数が伸びています。

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

本シリーズは全部で5巻を予定しており、現在第4巻の原稿を執筆中で、今年の3月から4月に発売出来るよう、計画中です。

既に小説を書いておられる方や、少し興味を持たれた方は、その創作方法の一つとして、是非ご一読を。

 

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タイトルをヒントにした小説創作の手順(9冊目の本出版しました!)

9冊目の本出版しました!

 

新年明けましておめでとうございます。
いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

さて。更新回数がすっかり減ってしまった当ブログですが、ここ数年は『作家活動』に注力しており、自身で予定している書籍の出版数が決まっていて、これをクリアする為に執筆時間を割いているのが原因なのですが、その作業がスムーズに進めばもっと更新回数も増やせるので、今年はそのウェイトをもう少しブログ側にもかけようと計画しているところです。
とは言うものの、昨年の目標としていた出版数はギリギリクリア出来ておらず、結局年明けにずれ込んでの出版となってしまいました。今回は特に『詳しく』を意識して書いた原稿ですので、これから作家を目指そうとしている方や、既に多くの作品を書いてはいるが、最近あまり筆が進まないと言った方々に向け、可能な限り詳しく書いたつもりです。是非ともお役立て頂きたいと思います。

今回の書籍での目的は、『一つの創作方法の確立』であって、作家の方々には色んな創作方法があって、私の場合は『タイトル』をキーに創作を開始する事が多く、これらは普段、頭の中で自然に処理されている部分なのですが、これを読者の方々に、何とか上手く伝えようとしたのが、今回の内容なのです。

 

『タイトルから始める執筆手順』

 

発売開始はちょうど今年の『元旦』になったのですが、原稿の送信日などの関係から、データ上の発売日は昨年の12月30日となっています。
内容的にはヒントとなる『タイトル候補』を見つけて、そこから創作を始め、一つの作品を創り上げるまでを解説しています。
その解説には既に完成している作品をベースにした説明のあと、この原稿をかいている時点で全く『白紙』であったところから、実際に書籍で解説している手順に従って『作品作り』に取り組んだ様子を解説しています。自分で書くのもなんですが、今回は結構面白い本になったのではないかと思っています。
ご興味のある方は、是非読んでみてください。先ずは無料サンプルDLより。

 

『タイトル』をヒントに創作開始!ショートショート作家が創作手順を『全公開』‼

 

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(オウム返しの予期せぬ展開!『別人』がテーマの作品例)新作ショートショート(30)/オウム返し

新作ショートショート/テーマ(別人)

 

 

オウム返し

 

 

「休日に電話してきちゃダメだよ。妻に聞かれたらどうするんだい?」
 マサトは『ギョ』っとして、飼っているオウムの方を見た。今喋ったのは、間違いなくオウムの『ピーちゃん』だ。
 そしてマサトは咄嗟に妻である『リエ』の方を見る。リエはマサトに背を向けた状態で、スマートフォンで再生している動画に夢中だ。お気に入りの『料理研究家』の動画チャンネルを登録していて、時々こうやってレシピ動画を再生しながら料理をする事がある。映像ではまかなえない部分もあって、いつもより音量を上げているので、こちらの声や音はまるで聞こえない様だった。
 幸いな事に、リエはピーちゃんが喋った事に気付いていない。マサトが次にやるべき事は、直ぐにこの部屋からピーちゃんを連れ出す事だった。
 マサトは考える。この部屋からの脱出手段。それは『耳かき』だ。最初はマサトが机の上に置き忘れたのを触っていた事がきっかけだが、いまではすっかりピーちゃんの遊び道具になっている。
 マサトは自分の部屋にある耳かきをピーちゃんに与えるフリをして、ダイニングを出る事にした。
「なんだ、また『アレ』で遊びたいのかい? 仕方がないなあ。リエ、ちょっと俺の部屋にピーちゃんを連れて行くよ」
 リエはマサトの方を見ないまま、軽く右手をあげて、何かを追い払う様な手振りをした。『料理に集中しているから、さっさと向こうに行って』と言う意味だ。普段なら少し気分を害するところだが、今日は逆に有り難かった。
 鳥籠ごとピーちゃんとリビングを出たマサトは、直ぐに自室で隠蔽工作に取り掛かる事にした。
 ピーちゃんは何故か言葉を十個までしか覚えられない。これまで何度も繰り返したが、新しい言葉を覚えると、古い言葉から順に忘れてゆく。これが記憶の限界なのか、或いは飽きて話さなくなるのかは定かではないが、それがピーちゃんの習慣だった。
 ピーちゃん、いいかい?
「ワ・ー・ル・ド・カ・ッ・プ」
 マサトがピーちゃんに聞き取り易い様、ゆっくり話す。
「わーるどかっぷ?」
 ピーちゃんはその言葉を『オウム返し』した後、首を傾げる。まるで『これでいいの?』と確認でもするかの様に。この動作をした時、ピーちゃんはしっかりと、その言葉を覚えていると言うのが、いつものパターンだった。
「わーるどかっぷ……。わーるどかっぷ……」
 語源の如く、ピーちゃんはマサトの教えた言葉を『オウム返し』する。それを繰り返す姿は、まるで新しい言葉を覚えたのが楽しくて仕方がないかの様、マサトには見えた。
 その後もマサトは、ピーちゃんに新しい言葉を次々と覚えさせる。
 ピーちゃんが覚えた言葉が『十個』に達した時、マサトの思惑通り『問題のセリフ』をピーちゃんはすっかりと忘れていた。心配性なマサトは、ピーちゃんが喋るのを何度も繰り返し聞いてみたが、マサトが今日覚えさせた『新たな十個』の言葉を繰り返すだけで、他の言葉は一切喋らなかった。
ー上手くいったー
 マサトは心の中で何度もこの言葉を『オウム返し』した。
 安心したのも束の間、なかなかリビングに戻らない事を不審に思ったのか、リエが部屋のドアをノックしてきた。
「ねえ、何してるの? もう料理は出来たのよ。冷めたら美味しくないから、直ぐにピーちゃんと来て!」
 マサトは急いでピーちゃんの入った鳥籠に手をかけた。リエは自分が作った料理に関して、その食べ方などにうるさい。こっちが先だの、このソース以外は絶対につけないで、などと。特にお気に入りの『料理研究家のレシピ』については、『食べ方』は勿論の事、『出来たて』を逃そうものなら、その『説教時間』は三十分は下らないのだ。後々の面倒な事を考えた時、何を置いてもダイニングに向かうのが得策であった。
 部屋のドアを開けようとした時、再びマサトのスマートフォンが鳴った。電話の主は浮気相手で、こちらも直ぐに対応しないと、もっと面倒だ。
 電話に出ると、まくし立てる様な勢いで相手の声が耳に飛び込んで来た。マサトは仕方なく、それに応える。
「だから妻とは別れって言ってるじゃないか!」
 マサトの声を聞いて首を傾げるピーちゃん。そして開くドア。
 次の瞬間、マサトの目の前には妻の姿があった。
 そこにピーちゃんの『オウム返し』
『だから妻とは別れるって言ってるじゃないか!』

 

 

kindle unlimited1日に1000頁以上読まれた人気の指南書です。

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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