鞄
見るからにきゃしゃな男は、いつも黒い鞄を大事そうに抱え、繁華街をウロウロしたり、路地に消えたり。男は一体何者なのか……。
ショートショート『鞄』の全文はこちら↓↓↓
【CONTENTS】
- テーマからの発想
- 発想からのキーワード選出
- POINT1:タイトル
- POINT2:書き出し
- POINT3:ユーモア
- POINT4:前半のストーリー
- POINT5:展開〜オチ
- 総合的なポイント
- コラム/小説はどのように完成するのか❷(前編)【構成編】
テーマからの発想
今回のテーマは『鞄』です。鞄と言えば、我々男性の場合は『通勤鞄』あたりでしょうかね? よく使うと言えば。人によるとは思いますが、女性の様に普段鞄を持ち歩く割合が随分と低いと思います。
そうなると、仕事に関連した『鞄』、要は会社から持たされている様な物、と言う所に行き着きました。
発想からのキーワード選出
鞄、通勤、ポーチ、ウエスト、リュック
POINT1:タイトル
タイトルは『鞄』です。シンプルに付けています。例えばこれを『◯◯◯な鞄』と付けると具体性は増すのですが、これは読者の方に『先を読む材料』を提示する事にもなりかねません。
エンターテイメントは、楽しんでもらうのが一番の目的だと私は思っています。ですから『ネタバレ』を警戒するが為に隠し過ぎてもいけませんが、見せすぎも『読む楽しみ』を奪ってしまう場合もあります。
私は書き上げた最終原稿を、一週間程度寝かせてから読む様にしています。一旦頭の中をクリアしてから読むのです。そうする事によって、このタイトルで良いのかどうか判断もしやすくなると思います。
POINT2:書き出し
街中で二人体制の警備員が、周囲の様子を神経質に確認しながら、黒い鞄を運んでいる。
その中身と言えば、大抵が現金等である。
一方で、見るからに気が弱そうで、きゃしゃなその男が持っていたのも、同じ様な鞄であった。
時折、大きな駅や繁華街などで、警備の方が運んでいる姿を目にすると思うのですが、先ずは多くの人が知っているであろうイメージを描いてもらい、その後に対照的な主人公を持ってきています。
作中、これは一番大事なイメージで、頭の中に描き続けながら読んでもらう事で、今回のオチに対する効果が大きくなる訳です。
POINT3:ユーモア
中には一体何が入っているのか? きっと大事な物に違いないとは誰もが思っていたが、それならば、どうしてあんなひ弱な男にそれを持たせているのか? 他に誰か頼りになりそうな、もっと体格のいい男は知り合いに居なかったのか? 男は全く謎だらけの人物だった。
他人の会社のセキュリティの度合いなど、周囲の人がとやかく言う事ではありません。
男はとにかく、周囲の人が何か言いたくなるぐらい頼りない雰囲気だったのです。これは勿論、オチに直結している訳ですが、その効果を最大限に引き出す為に、あえて書いているくだりです。
POINT4:前半のストーリー
起
繁華街でよく目撃される、きゃしゃな男は、いつも黒くて大きな鞄を、周囲をうかがいながら大事そうに抱えていた。
承
男を知る人々は、一体彼が何者で何の目的で現れ、そしてあの鞄の中身が何なのか、いつも不思議に思っていた。
POINT5:展開〜オチ
転
ある日、男に狙いを定めた強盗が現れ、後を付けて路地へと向かう。
結
見かけよりも遙かに強かった男は、強盗を返り討ちしただけに留まらず、逆に金を奪い取る。実はこの男、強盗を専門に狙う強盗だった。
総合的なポイント
今回の物語は、いかに前半で『男』の周囲からのイメージを、読者の方に伝えるかがポイントになります。男が強盗に出会うまで、つまり前半部分は全て地の文での語りとなっているので、上手く飽きない文章に仕上げなければいけません。
『飽きない文章』のポイントとなるのは、やはり『文章のリズム』です。以前、リズムについての記事を書いていますので、こちらもご参考に。
『コラム/文章のリズム』はこちら↓↓↓
コラム/小説はどのように完成するのか❷(前編)【構成編】
❶の『アイデア編』では、テーマからアイデアを導き出す過程をご説明しました。この段階で、おおよそ物語はこう言う内容で、そこに必要なエピソードなどが何であるかが決まりました。
次は『構成』です。構成は小説を書き始めた方が、その進め方に苦労する作業の一つだと思います。
それぞれのエピソードが決まっていても、それを何処に、そしてどのタイミングで見せるかによって、物語の印象は大きく変わります。ショートショートなどでは、場合によって、伏線の効果がゼロに近い状態になってしまう事もあるのです。
小説を書く上で、特に重要な『構成』の更に詳しい内容については、次回コラム/小説はどのように完成するのか❷(後編)【構成編】にてお話ししたいと思います。
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