ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/目撃証言、コラム/アイテムの使い方(前編)

今回の作品/目撃証言

 

余裕の無い昼食時にやって来た二人の刑事。主人公の夫にかかった強盗容疑。女のプライドを守る為、夫のアリバイについて嘘をつく主人公だったが……。

ショートショート『目撃証言』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

テーマは『アリバイ』です。

アリバイと言えば『アリバイ崩し』など、何故かその人が犯人であるかの様、怪しい匂いを感じますが、これはドラマの見過ぎでしょうか?

今回もその様な物語です。

 

 

発想からのキーワード選出


アリバイ崩し、アリバイ工作、目撃者、証拠、証言、協力者

 

 

POINT1:タイトル


タイトルは『目撃証言』です。既にオチをご存知の方は、これが既に『伏線』である事はお分かりだと思います。

タイトルは常に『作品の一部』で、尚且つ大きな役割を担っています。もしも現在、小説を書いている方で、タイトルがその様な役割を果たしていないと感じられた場合は、もう一度タイトルを見直された方がいいかもしれません。

 

 

POINT2:書き出し

 

「奥さん、金曜日の午後十時から十二時の間、ご主人がこの家に居たのは間違いないんですよね?」

「何度も同じ事聞かないで! 主人は確かにここに居たわ」

「そうですか、わかりました……。奥さん、もしご主人から連絡があれば、直ぐこちらに知らせてください。何せご主人には『強盗』の容疑がかかってますから。

「分かったわ。そんな容疑なんて、私が晴らしてみせるから」

 その言葉に、刑事たちは無反応だった。彼等の姿が見えなくなると、シズエはキッチンに戻り、昼食の準備を再開した。

 

 いつも通りですが、今回もセリフスタートです。最初のセリフで『主人公』『夫』『質問者』が登場します。人物同士の図式はここで、ある程度完成するのです。この様にスタートすると、後々の構成が随分と楽になります。

 

 

 POINT3:ユーモア

 

 シズエの嘘の部分とは、金曜日の夜に夫と一緒に部屋に居たと言う事だ。次の日である土曜日は確かに夫は家に居た。『あの女』と一夜を明かした事で揉めた日だ。

 

警察に対する『嘘の証言』が必要になる場合、幾つかのパターンが考えられます。例として『大事な人を庇う』または話すと『身に危険が及ぶ』等が考えられますが、今回は『プライドの問題』にしてみました。この場合も、主人公はやはり『窮する場面』に立たされるのですね。

 

 

POINT4:前半のストーリー

 

『強盗容疑』がかかっているからと、刑事が主人公に、容疑者である夫の行方とアリバイについて聞きに来た。

 

 

犯行のあった日のアリバイについて、主人公は夫が自宅に居たと嘘をついたが、それは夫がその時に愛人宅に居た事を話したくなかったからだった。

 

 

POINT5:展開〜オチ

主人公は夫の浮気について、かなり深い部分まで把握していた。そして、その気持ちが『浮気』ではなく『本気』だった事もだった。

 

 


『強盗』があった日の翌日、愛人宅で一夜を明かし帰ってきた夫と揉めた主人公は、その挙句に夫を殺害し、更に庭に埋めていた。その目撃情報を掴んでいた刑事たちは、本当はそれを探りに来ていた。

 

 

総合的なポイント


今回の作品で、最も重要なのは『ミスリード』です。そのセオリーとして『事実だけを述べる』と言う部分があります。作中で主人公は、一貫して『事実だけ』を述べていますが、それはあくまで『話せる部分のみ』です。

そして、これはどの作品にも言えるのですが、『話せる事実だけ』を繋ぎ合わせた時、ストーリー的な『別の流れ』が見えてくる場合があります。今回で言うならば、

『夫にはアリバイがある』

『夫に強盗はが出来ない』

『愛人の問題がある為に嘘の証言をした』

等です。この流れでは、主人公は真面目な夫が強盗などしないと信じていたが、事件当日のアリバイを愛人に証言させてくない為に困っている、という状況になる訳ですね。後はその流れで物語を書けばいいのです。

 

 

コラム/アイテムの使い方(前編)

 

作中における『アイテム』は、とても重要な役割をしています。私のこれまでの作品にも様々な『アイテム』が登場していますが、これらは偶然物語に出てきた訳ではありません。勿論『オチ』に深く関わっているのです。どんなアイテムがどの様に作品に関わって来たのか。

 更に詳しい内容については、次回のコラム/アイテムの使い方(後編)にてお話ししたいと思います。

 

 

 

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