R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

ショートショート作家 R・ヒラサワが多方面から小説の書き方を解説。新作随時公開中!

実際の小説リライト(後編)

実際の小説リライト(後編)

 

前回までに公開した『リライト後』、『リライト前』の作品ですが、具体的に何処をどう変え、その理由が何であったかを解説する、今回は『後編』です。

 

ショートショート『家出人捜索』リライト前はこちら↓↓↓

小説のリライト(特別編) - R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

ショートショート『家出人捜索』リライト後はこちら↓↓↓ 

(『家出』がテーマの作品例)新作ショートショート(19)/家出人捜索 - R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

 

 

【CONTENTS】

 

 

 

主人公の心理と現在への調和

 

【リライト前】


 俺はテレビの番組を見ながら、あれこれと思いにふけっていた。すでに忘れようとしていた過去の話だ。しかしそんな俺が、何故こんな番組を見ているのか、自分でもよく分からなかった。

 そんな時、もっと理解しがたい事がテレビの中で起こったのだ。いまテレビ画面の中に居るのは、まさしく父親の姿であった。

「ま、まさか……」

 しかも番組の中で呼んでいるのは俺の名前。つまり、俺の事を探している。夢ではないかと自分の目を疑ったが、どうやら現実に起きていることらしい。しばらく見ないうちに、すっかり老け込んではいたが、父親に間違いなかった。横に付き添っているのは当時からいる家政婦だ。

 

 

【リライト後】


 普段からこの手の番組は時々観ているが、未だに家を出た時の気持ちは変わっていない。失敗に終わってもいいから、子供には夢を追わせてやるべきだと思う。

 いつもの似たようなパターンの話だったので、そろそろチャンネルでも変えようかと思った瞬間、オレの手が止まった。

ー父が居るー

 それは間違いなく『父』の姿だった。十年間見ない間に、すっかり老け込んでしまった。会長に退き、実務から離れたせいだろうか。『あの日』の鋭い眼差しは、そこに無かった。

 


【リライトのポイント】


❶主人公が番組を『時々観ている』設定に変更。父の対応に納得はしていないものの、『気にかけている』という内面を表現。


❷家政婦をカット。父の経済的な情報は番組では判断出来ない状態に。

個人情報の保護が重視される現在において、番組中で判断のつく映像が流れるのは時代の流れにそぐわない為に修正。

 

 

リアリティと緊張感

 


【リライト前】

 

電話の男は、すでに電話で父親と話をしていた。あれほど厳しかった父親の姿は、すでにそこにはなかった。さらに話のやり取りを聞いていると、父親はかなりあいまいな返事をしている。年のせいか判断力が少し鈍ってきているようだ。このままでは、まんまとニセモノに金を騙し取られてしまう。

 俺は慌てて番組あてに電話をしたが、すでに本人から電話がかかっているとの事で、まともに取り合ってはくれず、これではまるで俺がニセモノ扱いだった。放送局は俺の家からそう遠くはない。電話では話にならないと思い、すぐさま車を走らせる事にした。

 

【リライト後】

 

 父の様子に不安を感じた。時折懐かしそうな表情を浮かべ、深く頷く。完全に電話の相手をオレだと信じ込んでいるのだ。慌てて画面に出ている番号に電話をかけた。しかし、全く繋がらない。

 気付けば車に乗り込み、放送局に向かっていた。番組が終わるまでには着く筈だ。

 


【リライトのポイント】

❶番組宛の電話は繋がらない設定に変更

主人公が電話をした時ですが、ここは繋がらない設定にしています。実際問題としてこの様な生放送の番組の場合、視聴者からの電話も多く、なかなか繋がらない状態の方がリアルです。


❷とにかく放送局へと向かう

電話のやり取りの問題ではなく、全く話も出来ないまま放送局に行く方が、より緊迫したものがあって良いでしょう。焦る気持ちの、その先にある『オチ』は、より効果的に働くのです。

その場の緊張感を文章で表現する場合、最もかんたんな方法として、『一文を短くする』と言う手法があります。例えば格闘シーンなどの場合、各動作やセリフ、内面描写などを細切れのにする事で、緊迫した場面を表現する事が出来るのです。

 

 

そして最後に

 

過去に書いた作品などで、十分な完成品に出来なかったものは、一定以上の期間をおいて見直してみるのが良いでしょう。その作品に触れなかった期間も、人は常に考え、何かに取り組んでいる筈です。 その過程で得たものや、新たに触れた『視点』や『思考』といったものが、同じ作品を読んでも別の判断が出来る材料を与えてくれるかもしれません。リライトによって蘇る文章は、実は身の回りに多く存在している筈です。

 

 

 

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