ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

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コラム/ストレスシート(後編)

ストレスシート(後編)

 

小説やブログのネタ、皆さんはどうされているでしょうか?

私は『ネタ帳』以外に『ストレスシート』と言うファイルを作っていて、今回はそれの詳しい活用方法のご紹介です。


【CONTENTS】

 

ストレスシートって何だ?

今回は『ストレスシート』の後編です。前回『ストレスシート』は、小説などの執筆ネタにすると言うお話をしてのですが、後編ではもっと具体的な使い方についてご説明します。

『ストレスシート』ですが、これは単純に日常生活においてストレスを感じた事を書き留めるだけです。私はメモアプリなのを使っていますが、それは手帳でも何でも書き留めやすい物を使っていただくといいでしょう。

 

問題は、ただ書き留めるのではなく先々『ネタ』に発展させる事です。

本来であれば、書き留めた内容はマイナス要素の多い話だと思いますが、これをプラスに転じる事に意味があります。

そして『ネタ』→『物語』へと発展させられた時、ストレスだった筈の出来事が、何故か笑い(プラス要素)に変わってゆくのですから不思議ですね。

 

以下、タイトルになっているのがシートに書き込んだ言葉で、以降それを使ってアイデアに繋げています。

 

 

リアクションの大きい女性

人と話す時、必ず大きな声で相槌をうつのだ。

「そう、そう、そう!」と、必ず三回。

引き続き、手を叩く。

「パン、パン、パン!」と、こちらも三回だ。

 
【ここからのアイデア

一見、周囲から迷惑がられる女性。例えばそれが逆だったらどうでしょう?

女性が見ている相手こそが、実は迷惑な人だった場合ですね。

 
ここはスーパーマーケットの中。男が買い物をしていると、いつも知人と大きな声で話す女性が居る。

そして『そう、そう、そう!」と、相槌をうち。

続いて『パン、パン、パン!」と、手を叩く。

この女性、実は万引きGメンで、マークされているのが男。リアクションが何かの合図だとしたら……。

(何か話が出来そうですね)

 

 

仕事をしない人

今日も誰々がどうので、定時で仕事が終わらなかった。

別の日も、会社の段取りがこうので定時で終わらなかった。
その人が外回りに出た日は、随分と他の人よりも長い時間会社に戻って来ないんですけど、さて、何か重要な用でもあるのでしょうか?

周囲の人曰く「何処かで休んでいる」そうです。


そして、社内にいる日は随分と余裕ある仕事ぶりです。いつも通り、仲のいい社員と「あーだ、こーだ」。きっと小さな会議のつもりなのでしょう。
また別の人曰く「文句言ってるヒマがあったら手を動かせばいいのに」との事。


【ここからのアイデア

例えば『仕事をしない人』みたいなタイトルで、その人が仕事をしない様子や、周囲の社員からの悪評など、しばらくそんな話が続いて、その挙句

「あんな人が居るのは迷惑だ!」、「早く辞めればいいのに!」なんて声も出始める。

でも、実はこの人が『社長』だったなんてオチも面白いかもしれませんね。

 

 

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ミスを他人のせいにする人

「あなたの置き方が悪かったせいで、私が台車を動かした時に荷物が落ちたんですよ」

「ああ、それはスミマセン」

「納品書通りの数量を用意してくれないと困りますよ。チェックはこっちの仕事ですけど、貴方が間違ってたから私もミスしちゃったんですよ!」

「ええ、気をつけます」

 
【ここからのアイデア

一見、言いたい放題のワガママ社員と、それを大人しく聞く社員の関係ですね。

でも、これがフルオートメーションの工場内での、人工知能を搭載したロボット同士の会話だとしたら、どうでしょう?

 
ロボットも知能が発達すると、ワガママな個体も出て来るかもしれませんね。

 

 
試食を爆喰いする男

「こんにちは!」

男はいつも大きな声で店員に挨拶をする。食品の『試食販売コーナー』での出来事だ。

用意された数種類の試食品を全種類、しかも複数個爆喰いして何も買わず、そして何も言わずに去って行く。毎週の話だ。

過去に一度の購入歴も無く、この先もきっと同じ事が続くだろう。店員はその対応に頭を悩ませる。

 
【ここからのアイデア

一見すると、ただの迷惑なお客さん。

オーソドックスですが、実はこの人は『覆面調査員』とか、ガイドブックで『★』を付けるか決める人とか。

すいません、あんまりいいのが出なかったみたいです。

 

 
妙な金額で支払う女

レジでの支払いの際お札と端数の小銭を渡して、出来るだけ受取る硬貨を減らそうとするお客はよく居る。

例えば六百円の買物に対し千円出せばお釣りは百円が四枚だが、千百円出せばお釣りは五百円が一枚だ。この行動は理解しやすい。

 

しかし、もっと細かい金額に対し複数の小銭を札と共に渡し、どう計算してもあまり小銭が減らない様な渡し方をするお客が居る。

「これはきっと勘違いだ」

お客が勘違いか、あるいは計算間違いをしているのだろうと、ありとあらゆるパターンを頭の中で想定するが、その答えは何処にも見当たらない。

 
【ここからのアイデア

こちらもオーソドックスですが、例えば『ニセ硬貨』に関するお話。

『ニセ硬貨』と言っても、本物との『交換』もあれば、本物として『使う』パターンがあります。

 
一つのアイデアでも、バリエーションを増やすと、展開の範囲も拡げる事が可能です。

それにしても、最近何処かでこんなネタを聞いた様な気がしますが……。

 

 

何度も挨拶してるが、誰だかわからない人

週に三回以上会う人が居る。向こうが挨拶してくる時もあるし、逆にこちら側からの時もある。問題は相手が誰だかわからない事だ。

今さら聞くわけにもいかない。既にもう何十回も挨拶を交わしているし、顔だってハッキリと覚えている。

 
最初にどちらかが挨拶をした。それは間違いない。

次の時には顔を覚えてしまったから、また挨拶をする。当然の流れだ。
まさかとは思うが、実のところ互いに相手の事を全く知らないのではないかと、最近少し不安を覚えるのだ。

 
【ここからのアイデア

シンプルに、主人公には相手が誰だか思い出さなければいけない事態が発生し、可能な限り自分の持っている名刺や資料、ありとあらゆる物を探り思い出そうとします。

 
ところが何も出て来ない。困り果てて周囲の人に協力を求めると

「え? 知らなかったの!」

と、驚かれたり呆れられたり。しかし、それでも分からない。

 
どうにもこうにも方法が無く、最後の手段として勇気を出して本人に確認すると

『私は◯◯と申しますが。すみません、どちら様でしたっけ……」

 

 

 

★今回はアイデアの段階までのお話でした。次回以降はこのアイデアを元に、二作品ずつ短い物語を書いてみたいと思います。


次回は、『ストレスシートからの物語(1)』の公開です。

 

 

 

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