ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

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(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/空振りバット

今回の作品/空振りバット

 

再会した友人から声をかけられ、入った草野球チーム。高校の野球部で友人は注目の選手で、その関係性は変わらず、妬みを持った主人公は、ある企てをするが……。

ショートショート『空振りバット』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

今回のテーマは『野球』です。野球と言えば、プロ野球高校野球、後は社会人野球もあると思うのですが、個人的にあまりスポーツに詳しくない為、普段以上に発想が広がりませんでした。


発想からのキーワード選出

プロ野球高校野球、社会人野球

草野球、ルール、部活、バット、サインボール

 

 

 

POINT1:タイトル


タイトルは『空振りバット』です。一見ストレートなタイトルです。途中までの内容に対しては、別のタイトルの方がいい様に思われたかもしれません。しかし、オチをご存知の方はお分かりだと思いますが、これはそのオチに対しての引っ掛けなのです。

 


POINT2:書き出し

 

「じゃあ、明日の試合は九時開始だから、絶対に遅れるなよ!」

「ああ、わかってるよ!」

 世間の人が俺達の事を見たら、きっと仲の良い中年男二人に映るだろう。

 しかし、実際は違う。俺がアオキに抱いているのは『劣等感』の塊だった。さっき交わした約束にしても、何だかアオキに命令されている様で嫌な気分だった。


この段階では中年男性二人が、何かの約束を交わした部分しか分かっていません。そして、もっと重要な部分として、主人公が友人に強い『劣等感』を持っていると言う事です。通常の展開であれば、この文字数あたりで、既に情報をもう少し開示しているのですが、今回は違います。何故でしょう?


主人公の『劣等感』は高校時代から、実に二十年以上続いており、しかも、その事を友人は知りません。主人公の思いがとても深いのです。こう言った深い思いや怒りは、静かにふつふつと湧き上がります。それらを表現する為、この様な展開にした訳です。

 

 


POINT3:ユーモア

 

今回はオチがその部分に当たります。主人公の思惑とは裏腹に、友人は違う方向に進んで行ってしまう訳です。『ああ、今度はそっちなの?』って事ですよね。

現実の世界で実感される事もあるかと思いますが、往々にして社会における人々の立場などは、なかなか入れ替わってくれないものですよね。立場の弱い人が、何とかして強い側へと行こうとするけど、結局は何も変わらず虚しさだけが残る。お金持ちはずっとお金持ちで、貧乏な人もずっとそのまま。なんて事でしょうね.……。

モヤモヤするけど、共感の得られるパターンのお話なので、アレンジして色々使ってみる価値ありですね。

 

 

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POINT4:前半のストーリー

 

草野球チームのメンバーである主人公と友人は、高校時代は同じ野球部に在籍していたが、当時、主人公は何でも上手く出来る友人に強い劣等感を抱いていた。


社会人になってから、偶然出会った友人からの誘いで入った草野球チームだったが、結局、二人の関係性は高校時代と変わらず、主人公は再び劣等感を感じる事になってしまう。

 


POINT5:展開〜オチ

 

主人公は知人に細工したバットの製作を依頼し、それを友人に誕生日プレゼントとして渡す。友人はそのバットに変えてから一気に打率が下がり始めるが、親友からのプレゼントなので使い続け、やがて注目されなくなってしまう。

 

ホームランが打てなくなった友人は、徐々に何とかヒットを打てるようになり、塁に出てからは俊足を生かして、今度は盗塁王として注目される。

 

 

総合的なポイント

  

色んな方面で活躍出来る、器用な人が時々居ます。そして、そんな人の事を妬む人も居て、それは案外身近な場所に居たりします。今回のネタの場合、サスペンス的な作品も可能でしょう。人の妬みは恐怖感を与える事もあるからです。
しかし今回は、その様な仕上げにはしませんでした。妬みを持った人が相手に恐怖感を与える場合、何かしら危害を加えたりする事が多いと思います。しかし、今回はそうではなく、企てを実行した結果、肩透かしを食らって、そこで何かに気付いて欲しかったんですね。人を妬んだって何も良い事は無いんですから。そんな思いがありました。

 

 

 

コラム/気になるタイトル

 

『タイトル』に関連した記事はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

以前に書いた記事にもあるように、タイトルはとても重要です。それは小説に限らず、書籍全般に言える事で、著名な作家の方なら別かもしれませんが、読者の方が本を手に取って先ずは読んでくれるかどうかは、タイトルにかかっているのです。

そして内容を読んだ時に、『ああ、なるほど』となる様、上手いタイトルを付ける事を常に意識しましょう。更に詳しいお話は、次回『気になるタイトル(後編)』にて。

 

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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