ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/サクラ、コラム/出版の実際(前編)

サクラ

売れない女優が、ある日事務所の社長から「サクラ」の仕事を依頼される。伸び悩んでいた女優は自身の進退をかけて、その仕事に挑むが……。

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 

【CONTENTS】

テーマからの発想


テーマは「さくら」です。このサイト上でのテーマは特になかったので、今回は自分で設定して書いています。

 

発想からのキーワード選出


さくら、行列、仲間、おいしいのに流行らない店、演技

 

POINT1:タイトル


「サクラ」
 タイトルは今回、シンプルに「サクラ」です。お客を装う「サクラ」の意味ですが、タイトルだけ見た読者の方は、おそらく別のイメージを持たれたでしょう。

 

POINT2:書き出し


「サクラって言うと印象が悪いかもしれないけど、あれだって立派な演技なんだよ」

タイトルで、あえて花の桜やあるいは卒業のような印象付けをしています。作品の冒頭で、「サクラ」の本来の意味は、お客のふりをするそれであると言うことを、すぐに明らかにしています。


次に「演技」と言う言葉を出すことによって、何かしら劇団や俳優等に関する話であると言うことを、少しずつ伝えています。


私自身の意図としては、あえて花の桜のようなイメージを持ちつつ、本来の意味の「サクラ」を認識しながら読んでいただくことで、双方のイメージを同時に感じてもらいたいと言う思いがありました。

 

それはこの話が主人公の成長を描いており、女優として全く芽が出なかった状態から、イベントによって再び成功への道を歩もうと決意する流れにあります。未熟だった自分から卒業すると言う様な意味も含んでいる為です。

 

POINT3:ユーモア


今回の話は真面目な内容で、コミカルな要素は特にないためユーモア的な話は何も入れていません。

 

POINT4:前半のストーリー


閉鎖寸前の商店街は存続をかけて、近くに出来たショッピングモールのイベントへの参加を決める。その中の餅屋は商品には自信があるが集客に不安があった為、知人の芸能事務所社長に「サクラ」を依頼し、それを売れない女優が引き受ける事になる。

 


ショッピングモールのイベント会場で待機している主人公。芸能事務所の社長から言われた言葉を回想している。

 


サクラを依頼され、主人公がそれを引き受けた心の流れ。その辺を少しずつ明確にしています。

 

POINT5:展開〜オチ



主人公がイベント会場で演じたサクラによって、依頼主である餅屋のブース前には行列ができ、主人公は見事に役割を果たして自信をつけ、再び女優としての道を進もうと決意する。

 


主人公のサクラに影響されて並んでいたと思われた行列は、実は芸能事務所の社長が用意したエキストラで、主人公に再び女優としての道を歩んで欲しい為の仕掛けだった。

 

総合的なポイント

 

「サクラ」を依頼された主人公が何故それを受けたのか。そこに至るまでのエピソードを盛り込んであります。


単純に真面目な人なら、お客を欺くような行為は嫌うでしょうし、女優の仕事としては、やり甲斐も感じにくい事案です。


しかし、それを主人公が受ける事に対して、読者の方に納得してもらうだけの、主人公の心の動きなど、しっかり書き込む事が大切です。

 

コラム/出版の実際(前編)


私がショートショートを投稿している「時空モノガタリ」サイトには、本を出版している方もおられます。しかし、出版経験の無い方が大半でしょう。そこで、今回は実際の出版に関するお話をしたいと思います。私の場合、過去にC社から電子書籍一冊を出版しただけですが、先々出版を考えている方には、きっと参考にしていただけるでしょう。

 

原稿の受付


大半の出版社が持ち込み原稿の受付をしていないと思います。しかし、自費出版を多く手掛けている出版社は、大抵持ち込み原稿を受け付けています。私が電子書籍を出版したのも、そういった出版社でした。ちなみに、私の場合は「自費出版」ではなく「商業出版」です。

 

出版の種類

 

自費出版
著者が費用を持つ出版形態で、通常は全額を負担する。

 

共同出版(協力出版)
著者と出版社が費用出し合って出版する形態で、費用は折半が一般的。

 

私が電子書籍を出版する前に、数冊のアンソロジーに参加したのですが、その時の出版形態がこれにあたります。著者側は、原稿枚数に応じた掲載費用を支払い、その他の費用等については出版社が支払う形でした。

 

印刷された書籍については、著者は一定の割引価格で購入することができ、それらは一般書店の許可があれば、そこで販売してもらえる場合があります。ただし、その場合は書店に対して卸価格で納入するのが一般的です。

 

私の場合、よく行く書店の店主の方にお願いして、何度か置いていただいたことがあるのですが、書籍の割引購入価格より書店に対する卸価格の方が安かった為、実は売れた方が赤字になるという状態でしたが、私は自分が住んでいる地域で少しでも買ってくれる人が居ればとの思いで、販売をお願いしました。

 

また、販売して頂く期間にも定めがあって、その時は三ヶ月経って売れなかった場合は引き取りという条件でした。

 

商業出版(企画出版)
出版社が費用を全額持つタイプの出版形態で、通常作家と呼ばれる人達の出版形態がこれになります。私が電子書籍を出版したのもこれです。これは基本的に原稿が出版社の審査に通らないと出せない訳ですが、出版権が約束されたコンテストで賞を受けでもしない限り、この形態で簡単に出版は出来ない訳です。では、どうやって商業出版で本を出したのか?

それは、次回出版の実際(後編)にてご説明します。

 

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
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シリーズ第三弾

 

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