小説はどのように完成するのか❶(後編)
『小説が上手く書けない』と言う方で、『作曲』が上手く出来る人が居ました。私は作曲が上手く出来ません。
私自身『小説』は自然に書けている部分がある程度あり、これこそが双方の不得意分野の『理解出来ない部分』ではないかと思います。この部分を展開する事によって、少しでも『書くためのヒント』になればと思います。
ショートショート『異音』の全文はこちら↓↓↓
【CONTENTS】
テーマを元にした設定作り
●テーマ/音
●キーワード/音楽、騒音、雑音、楽器、異音
今回は、アイデア編です。物語の骨子となるアイデアは、テーマとキーワードを元に全体像を作ってゆきます。
以下は、考えられる設定を羅列したものです。
❶テーマから連想されたキーワードは五つ。
❷通常キーワードの中で最も異端の物を選出するので、今回のキーワードは『異音』になる。
❸タイトルは、今回キーワードと同じにする予定なので、アイデアはその方向で練る。
❹『異音』はあまりいい意味で使われないので、聞きたくない、聞こえてはいけない『音』とは何かを考える。
❺『雑音』を考えた時、携帯電話の着信音も耳障りな場合があると思う。
❻他人の着信音は聞き慣れないので、場合によっては不快に感じる事もある。
❼目覚ましのアラーム音は、起床時以外に聞くと余計な緊張感を感じる。
❽緊張感のある音とは、危機感や恐怖感を感じさせるものではないかと思う。
❾恐怖感を感じる音の中でも『死』が迫る音が最も怖いのではないか。
設定の具体化と説明
次に、羅列した設定をさらに具体化して行きます。
❶〜❷
テーマに対して、大体キーワードは五つ程度出す様にしています。その中から最も異端と思われるものや、単純に面白いものを選出します。
❸
タイトルの決定は、執筆前が一番多く、次に執筆途中。書き上がってからのタイトル決定と言うパターンは殆どありません。
タイトルの決定方法は、書き手の方によって随分と違うと思いますが、それが全体を表すものである以上、書く前にイメージするか、書いている途中でイメージが湧いてくるかなので、私の場合は前半に集中してタイトルを付けています。
❹〜❻
耳障りな音の候補として、他人の携帯電話の着信音が、まず浮かびました。
普段聞き慣れない音。しかもそれに、何かしらの疑惑が絡んでいたとしたら、なおさら気になる事になるのではないか、と思ったのです。
ここに来て、初めて夫婦の存在が候補として出てきます。それはもちろん仲の悪い夫婦です。夫婦間の揉め事と言えば、やはり浮気。妻が夫のそれを疑うのが妥当だと思いました。
❼〜❽
夫の浮気を疑っていた妻が、証拠となる事実を掴み疑惑が確信となる。そして妻は夫への攻撃を考える。その方法として、殺害を企てるのが一番インパクトがある。
しかし、単純に人は殺人を犯さない。ならば、何か巧妙な手口で完全犯罪を狙う方向となる。一般的な方法として事故に見せかけるパターンに決める。
❾
『死が迫る音』とは何か? 『頭が割れる音』はどうか? 間近で聞こえて、最も恐怖感を感じるのではないか?
完成したアイデアの骨子
●夫の浮気を疑っていた妻が、その証拠を掴み、それを確信する。そこには『音』が関係しており、それには聞き慣れない携帯電話の着信音を使う。
●夫婦は以前から仲が悪い。
●妻が夫を誘い出し殺害を企てる。
●殺害は事故に見せかけた方法を考えるが、そこには『頭が割れる』と言う状態を盛り込む。
以上でアイデア編は終了となります。次はこれらを使って構成を考える流れとなります。(このコラムは【❷/構成編】へと続きます)
次回は、ショートショート『鞄』の創作プロセス公開です。
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