R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

ショートショート作家 R・ヒラサワが多方面から小説の書き方を解説。新作随時公開中!

(小説・ショートショート書き方のコツ)コラム/上手い表現方法(後編)

コラム/上手い表現方法(後編)

 

小説は作中の流れなどを表現する場合、様々な方法がとられますが、同じ内容を書いていても伝わり方やリズム感に違いが出る場合があります。ショートショートの様に、文字数が制限されやすい作品には欠かせない要素ですので、特に詳しくご説明したいと思います。

 

 

 

【CONTENTS】

 

 

 

 

『虹色』の場合

 

ショートショート『』の全文はこちら↓↓↓

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虹色をした球体はタケルの手からわずか数十センチの距離で、パッっと弾けて空へと消えた。

これは単純に『シャボン玉』を表現したものですが、以前に創作プロセス公開で解説した事があるのですが、少し堅めの、要はまわりくどい表現によって、頭に湧くイメージを少し遅らせて、後に続く文章

 カメラを構えたままのタケルは、モニターとナオミの顔を交互に見た。そしてナオミと目が合った。

これと同じぐらいのタイミングでイメージされる様、意図したものです。主人公の手元から離れたシャボン玉が、しばらくしたところで弾けた次の瞬間、その先に元彼女の姿が見える、というシーンをイメージしてもらう為ですね。

 

 

次の瞬間、タケルの指はシャッターではなくシャボン玉に触れた。

 虹色をしたシルエットが弾け、その向こう側には、笑顔のナオミが待っていた

 冒頭のシーンをなぞる様に、ラストも同様の『画』を用意しています。このイメージは既に読み手の中にはあるので、今回は短い文章でまとめています。

冒頭のものが、『オチ』の為の『仕掛け』であった事は、言うまでもありません。

 

 

 

『帰れない』の場合

 

ショートショート『帰れない』の全文はこちら↓↓↓ 

rhirasawanb.hatenablog.com

 

数日後、ミサキは休みを取って実家に帰った。すっかり変わった自分に母は少し戸惑った様子だった。

「あら、キレイになったわね……」

 父は今日も不在だと言うが、実は会いたくないのだと思う。

既に『オチ』をご存知の方はお分かりでしょうが、ネタバレがないラインで書ける部分を書いてミスリードしています。

 

 

部屋のドアには大きなキズが残っている。あれはミサキが怒って物を投げつけた跡だ。両親もこの家もミサキの全てを知っている。ここに来れば全ての過去を知られてしまうのだ。

こちらも上記と同様で、ミスリードですね。ミスリードの基本は『嘘』をつかず『本当の事だけ書く』です。要するに都合の悪い事は書かないのですよ。ネタバレしない様に。

 

 

 

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『私の庭』の場合

 

ショートショート『私の庭』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com


普段なら見送る内容だったが、モザイクの男性の後ろに映るゴミ屋敷。そこには、かつて愛用していた外国製のオレンジ色の鍋があった。

はっきりとは書いていませんが、主人公が『オレンジ色の鍋』を使っていた事は明らかです。そして、それが『ゴミ屋敷』の住人と思しき男性の所にある。ここまで分かればある程度、二人関係性を読者の方が想像出来る訳です。

 その後、少し遅れてモザイクのかかった男性が、主人公の元夫である事が分かります。

今回の表現方法の意図するところは『不安の増幅』です。例えば日常生活の中、特に出勤前あたりに心配な出来事を目にしたにも関わらず、自宅に帰るまでその事実が確認出来ないしたら、不安感が増してしまわないでしょうか? 楽天的に物事を考えられる人は別ですが。今回の表現には、その様な効果があり、より主人公に感情移入してもらう為の仕掛けなのです。

 

 

ケイコの耳にその話は届いていた。しかし、手の動きは止めなかった。リビング辺りのゴミを袋に詰めている。道中で買っておいた大量のゴミ袋に。

主人公は、元夫の所に行こうと思った時点で、既にある程度の状況は想定していていました。少なからず期待感を持って向かっていたのです。

これらの心理を表現する方法として、行動以外ではなく、今回は所持品を使ったのです。『大量のゴミ袋』は、到着した後に片付けを一緒にしようと言う思いの表れで、その先には『復縁』の可能性も見えて来る訳ですね。

 

 

 

そして最後に

 

作品内での『表現方法』は様々で、ストレートなものから遠回しのもの、『行動』や『物』でも可能です。既に広く使われてきた事柄だけではなく、新しい表現方法も先々出てくる事でしょう。

ただし、どんな『上手い表現方法』であっても、適材適所を考えなければ効果が十分に発揮出来ないと言う事を忘れてはいけません。

 

 

次回は、ショートショート『拳銃をどうぞ』の創作プロセス公開です。 

 

 

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