原石の磨き方(後編)
おかげ様で、当ブログも50記事めとなりました。これからも読者の皆様に少しでも有益な記事をご提供出来るよう頑張りたいと思います。
本日もお越しいただきありがとうございます。
テーマを設けずに小説を書いた場合、そこには必ず原案となる事柄が存在します。
それは日常生活の中で、見たり聞いたりした事をヒントにしています。
それらのヒントから、いかにして思考を巡らせ、それを小説の原案へと昇華させるのか。今回はそのプロセスを公開します。
【CONTENTS】
- 『鞄』の場合
- ❶原案となるヒント
- ❷原案からの発想
- ❸発想からの展開
- ❹疑問と創作へのヒント
- ❺展開からのオチへのヒント
- ❻大まかなストーリー
- 『白い壁』の場合
- ❶原案となるヒント
- ❷原案からの発想
- ❸発想からの展開
- ❹疑問と創作へのヒント
- ❺展開からのオチへのヒント
- ❻大まかなストーリー
- そして最後に
『鞄』の場合
ショートショート『鞄』の全文はこちら↓↓↓
❶原案となるヒント
駅の構内で大金が入っていそうなジュラルミンケースを台車で運ぶ警備員。
「たった二人で大丈夫?」との疑問が湧く。
❷原案からの発想
●セキュリティの甘い状態での現金輸送
→(誰が運ぶのか)
●周囲から狙われる
→(主人公を狙うのは誰か)
●現金を守れるのか?
→(応戦できる条件)
❸発想からの展開
●一般人が大金を運ぶ(今回は黒い鞄)
→(ジュラルミンケースは不自然)
●いかにも狙われそうな雰囲気
→(体格がきゃしゃ等)
●現金を狙う人間が現れる
→(恐喝など、強盗犯)
●現金を守る手段をもっている
→(武器や武術など守り切れる何か)
●その手段とは何か
→(武器は所有にて犯罪となる場合もあるので、ここでは武術など。応戦を可能にするバックグラウンド)
❹疑問と創作へのヒント
●一般人が大金を運ぶ為のシチュエーション
→(例えば警備員や多くの集金をする職や、それ相当の大金を持つ理由)
●狙いやすく思う理由は何か?
→(セキュリティの甘さ。単独行動。弱そうな外見)
●大金を運ぶのに防御の助けとなる外見を作らないのは何故か?
→(例えば故意に襲われようとしている。おとり捜査的な要素でも可)
❺展開からのオチへのヒント
●現金が入っていそうな黒い鞄を運ぶ男
●男はセキュリティが甘そうな外見
●金目の物を男から奪おうとする相手
●男には防御の策がある
●別の目的が男にはある
❻大まかなストーリー
●きゃしゃな男がいかにも大事そうに黒い鞄を抱えて、人気のない場所に向かう。それを見た強盗は男を狙うが反撃される。きゃしゃな男は逆に強盗を狙っていた。
『白い壁』の場合
ショートショート『白い壁』の全文はこちら↓↓↓
❶原案となるヒント
小学生の時、女性の担任教師から聞いた怪談『白い壁』。誰も居ない筈なのに、感じる人の気配。やがて女性の声が聞こえ始め、調べると壁から人の骨が。
❷原案からの発想
●この怪談が実話だと考える
●実話ならば殺人事件である
→(死体遺棄のみか、殺人も犯しているか)
●その死体を壁に隠した
→(事件発覚を逃れる為。腐敗等の問題は割愛)
●被害者は誰で加害者は誰か?
→(被害者は恋人女性で加害者は男性教師)
●犯罪を犯した動機は?
→(恋愛のもつれだが、追い詰められる状況)
❸発想からの展開
●殺人を犯す動機。追い詰められる理由
→(本命でない方の女性が妊娠する)
●三角関係であれば動機として強い
→(本命でない相手との別れたくなる理由)
●『妊娠』は追い詰める理由になる
→ (本命ではないほうの彼女が妊娠をしてしまう)
●女性側は、相手が本気だと信じている
→ (例えば結婚をほのめかしており、それに相当する想いを感じるような贈り物)
❹疑問と創作へのヒント
●教師の怪談から事件へ発展させる
→(怪談を聞いた生徒はその後トイレに行けなくなり、心に強い印象が残る。
●教師は何故リアルな怪談が出来たか?
→(結果的には犯人である為、リアルな話が出来る)
●教師と生徒の接点は何か?
→(生徒が住んでいるアパートに、教師も若いころ住んでいた)
❺展開からのオチへのヒント
●教師を加害者とする
●二人の女性と交際(三角関係)
●一人が妊娠
●妊娠した女性とは結婚出来ない
●怪談に実体験を交えてリアルに他人に語る
●他者からの事件発覚
●加害者を特定出来る証拠品
❻大まかなストーリー
●主人公は男性教師から聞かされた『白い壁』の怪談によってトイレに行けなくなる。主人公の住むアパートにも白い壁があり、不自然な厚みがあった。アパートは数年後に立ち退きとなったが、その時に壁の中から女性の人骨。かつてその部屋に住んでいたのは男性教師で、女性関係の問題から殺人を犯していた。
そして最後に
●基本的には『原案』から、想定される出来事を順番に箇条書きで。
●次に、それらを『どうやって』行うのか、具体的にイメージします。
●具体化された事によって疑問、つまり問題点(矛盾や必要条件の欠如)が明確になってきます。それらの解決案を用意します。
●上記の全てが準備出来たら、書ける所からで良いので、ストーリーを書いてゆきます。
●体裁を整える必要はありません。思いつくまま書くことが、先々のアイデアに繋がります。テンポがいい時は、筆を休めずどんどん書きましょう。
●もしも、物語に全く関係の無いキーワードやフレーズが浮かんだら、必ず何処か(出来ればアイデアメモ等)に書き留め、他の作品に生かしましょう。
書き続ける為のヒントNBの記事はこちら↓↓↓
次回は、ショートショート『Recipe』の創作プロセス公開です。
↑↑↑ブログランキングに参加しています。面白かった方は応援お願いします。
↑↑↑最新のランキングチェックはこちら!