ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(小説原稿を推敲するコツ)コラム/原稿の推敲(後編)

コラム/原稿の推敲(後編)

 

原稿の推敲って、皆さんはどうされているでしょうか?

今回は私が小説(ショートショート)を書いている時の原稿の推敲方法についてお話します。

記事に関するオススメ書籍はこちら↓↓↓

(小説・ショートショートの書き方)厳選・オススメ本はこれ!(その❶) - R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

 

【CONTENTS】

 

はじめに

 

原稿の推敲についてですが、まず初めに原稿を何で書いているかで、その方法も違ってきます。

原稿用紙に手書きできっちりと、文章を書いている方もおられるかもしれませんが、今はパソコンのワープロソフト等を使っている方がほとんどではないでしょうか。

ワープロソフトといっても、デスクトップやノートパソコン等もあれば、スマホのアプリもあります。以前に比べると今は随分と環境も良くなっていると思います。

 

 

私の執筆作業

 

ちなみに私は、メインがスマホになります。テキストディタのアプリで書いているのですが、フリックによる入力が苦手な為、ローマ字入力をしています。

(標準のキーボードでも、ブラインドタッチとかは全くできませんが……)


小さな画面を横型にして、両手の親指だけで入力している為、毎回ミスタッチと闘いながら入力をしています。

 

私の原稿推敲方法

 

極端な話をすれば、確実に読み返す事ができれば、推敲は一回でもいいと思います。

しかし、そこは『人間』のする作業。見落としなどが起こる可能性は十分あります。それらを発見しやすい様に、様々な方法をとっています。

 

 
レイアウトの変更

 

大半の原稿はスマホによる入力になるのですが、主に通勤電車内の作業になる為、区切りがついたところで自宅のパソコンに書いた原稿を送信しています。


自宅に戻って、受信した原稿をパソコンのMSワードにコピーするのですが、これには理由があります。

スマホのアプリは横書きです。しかし、自宅のパソコンのワードは縦書きにしています。文字の方向を変える事で、間違いを発見する確率が上がるからです。

 

 

スペルチェック

 

ワードはスペルチェックも入る為、誤字以外でも違和感のある部分はチェックを入れてくれるので、とても便利です。ここでの発見もよくあります。

(原稿の制限が枚数コンテスト等もある為、原稿用紙レイアウトを使用しています)


画面サイズの変更

 

スマホで書いた文章を、パソコンで表示した場合、通常は画面が大きくなる筈ですよね。画面サイズが変わると、一行あたりに表示出来る文字数も変わると思います。

 

何度も繰り返し見た文章は、まるで見慣れた風景の如く、人の意識に対してあまり刺激を与えてくれません

 

表示される文字数が変わる事で、一行の折り返し地点も変わると思います。

そうする事で、違和感に気付くチャンスが出てきます。

  

文章読み上げアプリ

 

最近使い始めたのが『文章読み上げアプリ』です。私は出来上がった原稿の最終チェックに利用しています。

アプリの新規入力の画面に、テキストエディタやメモアプリ等で書いた文章を張り付けるだけです。

 

その後は、それを再生して聴く訳ですが、誤字等があった場合の違和感は、目で見た時以上に大きく、非常に発見しやすいです。

見つけた時は直ぐに一時停止して、その場で修正しています。

チェック後、修正済みの『読み上げアプリ』内にある文章を再度コピーして、テキストエディタ等の間違いのあった原文を書き換えて完了となります。

 

そして最後に

 

小説のような物語を書いている場合、頭の中で何度かストーリーが変わってしまうことがあります。

またストーリーが変わらなかった場合でも、通常書き手の方は大体のストーリーを覚えている筈ですよね?


この『覚えている』と言う事こそが、誤字や脱字にとって最大の敵でないかと私は思っています。


推敲と言う作業ですが、結局のところ回数を重ねても、ちゃんと読めていなければその効果が薄くなると思います。

読んだつもりになってしまっている事がある訳ですね。

ご紹介した方法ですが、皆さんの執筆にお役立て頂ければ幸いです。

 

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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(初心者必見! 小説の書き方のルール)番外編/創作プロセス公開済み作品集(1)

創作プロセス公開済み作品集(1)

この作品集は既に創作プロセスを公開したものですが、当ブログでも作品を読んでいただける様に編集したものです。

【CONTENTS】

  

『ハロウィンの夜』の創作プロセス公開はこちら↓↓↓ 

rhirasawanb.hatenablog.com

ハロウィンの夜にあった仮装パーティで事件は起こった。目撃者である青年からベテラン刑事が事情を聞くが……。 

 

ハロウィンの夜

 

 

「すると、君もその男性が仮装をしていると思ったって事なのかな?」

「ええ、そうです」

「一目で分かる程のあぶら汗をかいていたというのに?」

「ですから、それも最近のメイクだったら簡単に出来る事なんで……」

「ハロウィンなんて、厄介なものが流行ってしまったものだな。年々参加する人数が増えてるそうだし、コスチュームやメイクもどんどんリアルになってきてるそうじゃないか」

 ベテランの刑事は目撃者と名乗る連中に聞き込みを続けてきたが、あまり有力な情報が得られなかった。そんな中で唯一、途中から男性の事をずっと見ていたという青年が現れたので、話を聞くことにした。

「男性の腹にナイフが刺さっていて、おまけに出血まであったのに、事件的な疑いを持たなかったのかな?」

「ハロウィンの夜だったからです」

「うーむ。君の言っている事は分からないでもないが、全てをそれで片付けられてしまうと困るんだよなあ」

「確かに、おっしゃる通りだと思います」

 刑事は気持ちを落ち着かす為、タバコを一服吸った。

「それで、その後救急隊が来たのかね?」

「二人来ました。ちゃんと救命措置をとっていたと思います。心臓マッサージみたいなことをやってたんで」

「それからどうなった?」

「待機していた救急車まで男性を運んで、そのまま乗せました」

「運んだのは担架で?」

「いいえ。ストレッチャーです」

「ストレッチャーだって? 君たちはそんなものまで持っているのか!」

「ちょっと待って下さい、刑事さん。僕はその人たちの仲間じゃないし、手の込んだ仮装なんてしてませんから」

「仮装? いやいや、君が仮装してない事ぐらい見れば分かるさ。普通のスーツ姿なんだから、会社帰りのサラリーマンだろう?」

「違います。仮装ですよ、仮装! 僕は普段の仕事が現場ばかりだから、いつも作業服なんです。通勤だって普段着だから、頑張ってスーツ着て来たのに……」

「悪い、悪い。君のも立派な仮装だよ。だって、そのネクタイがよく合ってるし。確かにスーツ姿ってカッコいいもんな。ちょっと窮屈な時もあるけど、気持ちが引き締まるし。それに……ほら、君はちゃんと私を上手く騙せたじゃないか。本物のサラリーマンかと思ったよ」

「そ、そうですよね」

「そうだよ! そ、それで、その後救急車はどうなったんだい?」

「そのまま発車しました」

「君は救急隊が本物じゃない事に気が付いてたのかい?」

「いいえ。刺された男性は、最初は仮装だと思ってましたけど、あんまり苦しそうなんで心配になりました。そしたら丁度いいタイミングで救急隊の人が来たんで、誰かが本物の救急車を呼んだのだと思いました」

「結局、発車した救急車はどうなった?」

「救急隊の仮装の人達はしばらく偽の救急車で付近をまわったみたいです。その後刺された男性に、上手くみんなを騙せたって握手を求めたら、どうも様子が変だったんで、今度は本物の救急車を呼んだそうです」

「それで、男性の具合は?」

「意識は無かった様ですが、死んではいなかったみたいです」

「確かにそうだったんだがね、結局刺された男性は搬送先の病院で一時間後に死亡したそうなんだ」

「そうだったんですか……。もっと早く本物の救急車に運ばれていれば、助かったかもしれなかったんですよね」

「ああ。間違いなく助かっただろうな」

「ねえ、刑事さん。僕は何かの罪に問われるんですか」

「罪? まあ、少なくとも君は大丈夫だ。直接何かをした訳じゃないし。だけど、救急隊の仮装をした連中は、知らなかったとは言え重症の患者を車で連れ回して救命措置を遅らせたんだ。何かの罪には値するさ。結局、その男性は死んでしまっているんだし」

「僕がもっと早く気付いていれば……」

「まあ、あの異常な状況の中だから、仕方がない。事故だよ事故」

「事故ですか……」

「そう落ち込む事はないよ。長い時間すまなかったね。君も気を付けて帰るんだよ」

 そう言って目撃者の青年を見送った後、もう一本タバコを吸った。

 ハロウィンの夜、ここに来るのは今年で三度目だった。事件の関係者に、刑事の仮装をして色々話を聞くのも悪くないものだ。

 

 

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

 

『サクラ』の創作プロセス公開はこちら↓↓↓
rhirasawanb.hatenablog.com

売れない女優が、ある日事務所の社長から「サクラ」の仕事を依頼される。伸び悩んでいた女優は自身の進退をかけて、その仕事に挑むが……。

 

サクラ

 

「サクラって言うと印象が悪いかもしれないけど、あれだって立派な演技なんだよ」

 大事な出番の前、ユカの頭の中に芸能事務所の社長の声が響いた。

 日曜日である今日、大型ショッピングモールのイベント会場の付近で、ユカはそっと待機していた。視線の先には『サクラ』の依頼主である餅屋の主人の姿があった。

「ウチの団子は旨いんだよ。ほれ、あんたも食べてみなよ」

 餅屋の主人はユカに『サクラ』の依頼をした日、店の自慢であるみたらし団子を差し出した。

「おじさん、とっても美味しいわ」

 店主にもらったみたらし団子は、ユカがこれまで食べた事のある、どの団子よりも美味しかった。そしてこの事を、もっと多くの人達に知ってもらいたいと思った。

「どんなに美味い物を作ったって、それを周りの人達が知らなきゃ売れないからねえ」

「そうね、おじさん。頑張って宣伝しなきゃ」

「ああ、宜しく頼むよ」

 そう言って微笑んだ横顔が祖父と重なった。

―女優なんて職業は、向いていないのかも―

 ユカが何度も自分に問いかけた言葉だった。

―ユカは可愛いから、女優さんになれるよ―

 二年前に他界した祖父にそう言われたのは、ユカがまだ小学五年生の時だった。それ以来、学校で将来なりたい職業の欄には『女優』と書くようになった。それはもちろん、祖父の言葉に影響されたからだ。ただ、祖父の喜ぶ顔が見たいと思って書いた『女優』だったが、少しずつ自分の中でもその気持ちが芽生え、十八歳の時に複数の知人を介して、芸能事務所を紹介してもらった。

 事務所の社長はユカの事を可愛がってくれたが、自分では才能があるとは思っていなかった。映画やドラマに出る為のオーディションは、数えきれないほど受けたが、どれもいい結果は出せなかった。

 デパートのイベントのアシスタントの様な仕事は何度かあったが、それはタレントとも女優とも紹介されない立場だった。

 ユカは今年で二十二歳。いつまでもわずかな収入で親を頼っている訳にもいかない。これから進むべき道を、真剣に決めなければいけない時期は既に来ていた。

 そんな時に社長から、少し変わった仕事の話があった。

「サクラ? ですか……」

「そう、サクラ。要するにお店とかで、そこの関係者がお客さんのフリをして、お店が繁盛してるように見せる、あれの事だよ」

 しばらく考えた末、ユカは依頼を受けることにした。ただし、この仕事でいい結果が出せなければ辞める覚悟での挑戦だった。

 イベントの当日、開始早々は客足もまばらだった。会場内の出店は、この商店街を除く全てがモール内の店舗だった。客層は若い世代からお年寄りまでと幅広く、一つの店舗が全ての客層を取り込むのは、かなり困難に思われた。

 ユカが『サクラ』を始めるタイミングは決まっていた。昼前のある時間に店主がユカを意識しながら、メガネをはずして顔をタオルで拭いた。『サクラ』の合図だった。

 店から少し離れた場所に居たユカは、少しずつ商店街のブースに近づいて行った。そして、店の前にある試食のみたらし団子に手を伸ばした。

「おじさん、このみたらし団子とっても美味しいわ!」

「そうかい? お姉ちゃん。良かったら隣のおはぎも食べてみなよ」

「おはぎ? こっちのあんこのやつね。ああ、本当! これも美味しい。その横はきなこね。これも美味しい! ねえ、実家の母に送りたいから、色々一緒に入れて」

「ああ、じゃあこっちのオススメのを色々と入れておくよ」

「ええ、そうして。おいくら? へえ、安いのね」

 ユカと店主のやり取りを聞いて、周りに居た人達が一人、二人と集まって来て、やがてそれは列となった。その後は、その列を見た人が理由も分からないまま並んだりと、結果的に行列の出来るブースとなり、ユカの『サクラ』は、見事に成功した。

 今回の結果に自信を得たユカは、再び女優への道を本格的に歩む事を決意した。

 ユカが立ち去ってしばらく経ったショッピングモールでは、餅屋のブース前に列をなしていた人達が集まり始めた。

 ユカの事務所の社長から、期待の女優の卵に自信を持たせる為の『サクラ』の依頼を受けた集団は、その仕事を終えてそれぞれの帰路に着き始めた。

 

 

 

 

『あとがき』の創作プロセス公開はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

作家人生十年の節目となる、自身の集大成とも言える作品集のあとがき。作家はその思いを込めて、そこに至るまでのエピソードを書き綴るが……。

 

あとがき

 

—著者あとがき—

 この作品は私にとって、実に三年ぶりの著書となるが、俗に言う『産みの苦しみ』を実感したのは今回が初めてであろう。振り返ると此処に至るまで、様々な出来事が我が身に降りかかったのである。

 まずは愛犬の家出に始まり、続いて妻の蒸発。挙句の果てには、住んでいたマンションを追い出される羽目にまでなった。

一時期、私はホームレスの状態になった。ホームレスと言っても、車の中で寝泊まりをしていただけなので、大した事では無かったが、この様な状況も私はプラスに捉える事として、これはきっと神様が私に新しいネタを提供してくれているのだ、と言う風に考えた。そしてこの時の経験が、後の作品に生かされた事は言うまでもない。

 兎にも角にも、新作の出版へと漕ぎ着ける事が出来た事について、まずは編集者のY氏に感謝の言葉を述べたい。勿論、これまで私を応援してくれている読者諸氏についても、同じ気持ちであるのは言うまでもない。

 それでは本題に入るが、この本は三十編から成る短編小説の作品集である。

 前半十編は、初期の私の作風を意識した物を集めた。あえて荒削りな、書きたい事を前面に押し出すようなパワフルな感じを意識した。読みにくい感はあるかもしれないが、決して悪くはない作品ばかりだ。

 続いての十編は、一言でいうと『挑戦』である。実は私はこんな作品も書けるのだ、と言う世界を存分に味わえたと思う。読者によっては、あとがきから読む人も居るようなので、あえてここで内容には触れない。

 最後の十編は最も意外な、お涙ちょうだい物である。読者諸氏は周知の筈だが、私は決してこのような作品は書かない。何せ、私自身デビュー当時には「こんな作品を書くのは、せいぜい自分の頭がおかしくなった時か、あるいは自分が死ぬ直前ぐらいなものだ」と、語っていたぐらいだ。今にして思えば、デビューしたての新人が、とんだ大口を叩いていたものだと呆れてしまうが……。

 しかし、今回はちょっとしたサービス精神の表れだという風に理解してもらいたい。人の心の中などと言うものは、こうして時々変化するものなのだ。

 最後に、この短編集は今年で作家生活十年を迎える私にとって、その集大成とも呼べる作品に仕上がっている。故に、きっと多くの読者諸氏に、これを堪能してもらえる事だろう。

『あとがき』は、完成した。後は本文を書くのみだ。

 作家の知人から聞いたこの方法で、上手くスランプを抜け出す事が出来ればよいのだが……。

 

 

 

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(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/アイちゃん、コラム/原稿の推敲(前編)

アイちゃん

イベント会場でコンパニオンの様な仕事している『アイちゃん』。でも、『アイちゃん』って本当の名前じゃないんですよね……。

 

rhirasawanb.hatenablog.com


【CONTENTS】

 


テーマからの発想


今回のテーマは「あだ名」です。

「あだ名」と言えば、単純に「ニックネーム」「愛称」。でも、これって意味は同じじゃないかなと思うんです。

 

ですから、例えばここに実際のニックネームを当てはめて、それをタイトルにする。

そして、そこには伏線を張っておいて、ニックネームと思われた名前が、実は全くニックネームとは無関係で、本当はとても怖い意味があるとか、そんな話も良かったかもしれません。

 

何だか漠然とした話をしている様ですが、実は私、普段はこう言う感じで書いてるんです。スランプからの復帰、要は『NB(Novelist's brain)』以降は。

(『NB(Novelist's brain)』って何? って方はこちらをご覧下さい)

 

 

発想からのキーワード選出


あだ名、ニックネーム、愛称、呼び名、別名、名称

(あんまりいいのが浮かばなかったんですよね、実は……。)

 


POINT1:タイトル

アイちゃん

 

タイトルはアイちゃんです。

私は何度も言いますが、小説にとってタイトルはとても重要です。


作品を投稿する際、例えば私がお世話になっている『時空モノガタリ』サイトではテーマを設けていますが、それがない状態で小説を書く時もありますよね?

何処かに投稿したりするのではなく、ご自身で何かを書く場合は特に「テーマ」を掲げず書いたりすると思うのですが、そういう時の話です。

 

読者側から見た場合でも、読む時にテーマを知らなかったり、あるいは特に意識せず読み進めている事もある訳で、そんな事も想定しながら書き手の方は、読者の方に物語の世界を上手く伝えなければならないんですよね。

 

ですから、自分が知っているからと言って情報を省くのではなく(無意識に省いてしまう場合の方が多いでしょうが)必要な事は必ず書くようにしましょう。

そしてそれは本文だけでなく、タイトルなどで表現できるのならば、それもいい方法なんです。

 

今回の作品ですが、『アイちゃん』タイトルであり、テーマであり、オチでもあります。

『アイちゃん』と聞けば、ほとんどの人が『名前』の事だと思うでしょう。そして読み進めてゆくうちに、それが伏線やオチに関係がある事が分かってくる筈です。

それは本編を読んで頂ければよく分かると思いますので、まだの方は是非一読を。

 

 

POINT2:書き出し


「アイちゃん」

 小学生ぐらいの女の子が声をかけてきたので、私はニッコリと微笑んだけど、その後は何もしなかった。そもそも『アイちゃん』は、私の本当の名前ではない。

 会社の人に同行して、コンパニオンの様な格好で笑顔を振りまきながら、パンフレットを配るのが私の主な仕事だ。

 

この文章を読んだ方は、色々疑問が湧かなかったでしょうか?

『アイちゃんってコンパニオン?』

『女の子に何故何もしなかった?』

『アイちゃんの本当の名前は?』

等々。 

 

私の意図としては、そうした疑問を持ちながら読んで頂きたかったのです。

これらは全てミスリードの仕掛けなんです。

詳細は、後の『総合的なポイント』で解説となります。


POINT3:ユーモア


「アイちゃんかあ」

 でっぷりとお腹の出た中年男性が呟いた後、私の前で立ち止まる。ジロジロと顔を眺めた後、ゆっくりと名刺を所定の場所に差出した。受け取った名刺を直ぐにスキャンするのも私の仕事だった。

 

 商品の展示会場などのイベントに行かれた事のある方、もっと言えば展示をする側にまわった事のある方はご存じだと思いますが、あまり必要もない商品でも興味本位でやって来るお客さんって結構いる訳で、そういう人に限って堂々としていたりします。

 

今回登場の中年男性はそういうタイプの人で、それはユーモアでもあり、オチをわからないよう、少しだけ明かしている部分でもあります。

どういう仕掛けになっているのかは、オチが分かってからもう一度読んでいただくと良いでしょう。

 

POINT4:前半のストーリー



コンパニオンの様な仕事をしている主人公は、周囲の人達から『アイちゃん』と呼ばれているが、それは本当の名前ではない。

 



今日はいつもより大きな会場での仕事で、お客さんによって渡すパンフレットを区別したり、もらった名刺をスキャンしてデータ照合したりと、与えられた仕事をこなしていた。


POINT5:展開〜オチ


朝から五時間もずっと働きづめで、調子が悪くなり、その挙句に意識がなくなった。

気づいたらスタッフ用のスペースで、担当の人に具合を診てもらっていた。



『アイちゃん』は実は人型の高性能なパンフレット配布用ロボットで、長時間の連続稼働で調子が悪くなり、メンテナンスが必要になったが、その時は正式型番で呼びかけて、故障の度合いを判断する事になっていた。

 


総合的なポイント

オチがわかってしまわない範囲で、どのラインまで書く事が出来るかは、全ての作品にも共通のポイントだと思います。

スリードなどは、上手く読者の方を誘導する方法である訳ですが、『嘘』をついてはいけません。

 

『アイちゃんってコンパニオン?』→コンパニオンの様な格好をしている。

『女の子に何故何もしなかった?』→人工知能で子供と判断。パンフレット配布無し。

『アイちゃんの本当の名前は?』→HP-04Sと言う型番。

 

これだけ毎日この名前で呼ばれていると、本当の名前を忘れてしまいそうになる。

 

作品の中盤に、この一文があります。勿論オチに関係があるのですが、事前にこう書く事で、普通の人でもニックネームばかりで呼び合っていると本名を忘れそうになる事があると思うのですが、これはあたかも「普通の人」であるかの様に思わせる為のミスリードな訳です。

 

スリードは人によって、恐る恐る書いているのが分かってしまう場合も見受けられます。しかし、そうなると読者の方も違和感を感じ、どこかに仕掛けがあるんではないかと勘ぐってしまいます。
では、どうするのか?

 

本当の事だけを、堂々と書けばいいんです。

 

 『アイちゃんってコンパニオン?』→コンパニオンの様な格好をしている

こんな風にです。

 

コラム/原稿の推敲(前編)

 原稿の推敲ですが、私は現在作品を投稿している「時空モノガタリ」サイトの場合、平均して一作品で、

 

●完成状態→五回程度

●執筆過程を含む→十五回程度

 

です。投稿作品は文字数制限があって、二千文字以内となります。これは原稿用紙換算で約五枚以内です。原稿量としてはそれぐらいになります。

 

この推敲回数を多いと感じるか、少ないと感じるかは書き手の方によって変わってくると思いますが、実はこの原稿を書いている段階で、同サイトへの投稿数二十作品のうち、読んだ方からのご指摘で「誤変換」「辻褄が合わない」というのがあって、二作品も見落としてしまっているんですね。これは気を付けなければいけません。

 

投稿済みの作品は、どうやら修正が出来ないようで(私が方法を知らないだけかもしれませんが)、実は間違いはそのままになっています。

お時間のある方は、探してみてください。

 

 原稿の推敲についての詳しい方法は、次回原稿の推敲(後編)で、お話したいと思います。

 

 

kindle unlimited1日に1000頁以上読まれた人気の指南書です。

 

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(『新人』がテーマの作品例)小説投稿サイト時空モノガタリ未発表作品(7)/優秀な新人

(番外編)未発表作品/優秀な新人

零細企業で新人研修を担当する勤続十年の社員は、最近中途採用した新人が優秀だったので、期待を寄せて徐々にレベルアップを試みるが……。

 

 

優秀な新人

 

ーそれにしても、今年の新人は優秀だなー
 新人社員の研修を進めていたナカニシは思った。自分との年齢差が開くほど、やりにくさを感じていた研修だったが、今回は少し事情が違っていた。期待できる新人がやって来たのだ。
 ナカニシが期待を寄せているのは、オオタと言う中途採用の転職者で、学校を出てすぐに入社した会社を二年で辞めているが、やり甲斐を求めた前向きな転職理由を、人事担当者が買ったようだった。
「いいかい。こういうのは部品を部品として見るんじゃなく、一つのパターンとして見るのがコツなんだ」
 今日もオオタに製品検査についてのアドバイスをしたところだが、ナカニシが勤めるこの会社は従業員数が少ない。だから、こうした研修は主に欠員が出た時にしか行わないので、本来は機会の少ない仕事だ。
 しかし、入社後すぐに辞める者も居た為、勤続十年になるナカニシにとっては、手慣れた作業の一つになっていた。
 ナカニシは研修を進める中で、徐々に新人が扱いにくくなってきていると感じていた。
 叱っても反応が薄く、まるで血の通わないロボットのような相手に対し、これがゆとり世代の若者なのかと頭を痛めていたところに現れたのがオオタだった。
 オオタは採用後の作業指導についても、注意を受けた事をしっかりと守り、何事もよく考えながら行動するタイプだ。
同じ作業でも回を重ねるごと、精度とスピードが確実に上がっている。教える立場として、とてもやり甲斐を感じられる相手だった。
 しかし、ナカニシにしてみれば、まだ物足りない部分もあった。それはオオタが順調にレベルアップしているからこそ出てくる欲である。
 さらに上を目指してもらう為には厳しさも必要だった。意地の悪い先輩に見えるかもしれないが、それは仕方のない事である。仕事の現場とはそういう場所なのだ。ナカニシは自分の仕事に絶対の自信があった。
 数日後の作業の際、更なるレベルアップの為にナカニシはそれを実行した。
「なあ、オオタ。さっき検品した商品を、もう一度確認してくれないか」
「え? 先輩、これはもう梱包まで終わってますけど」
「いいから、箱を開けてみてくれ。チェックした製品に異常はないか?」
「ええ。その筈ですが……」
 梱包箱の中には、検査を終えたばかりの製品が十台ずつ収められていて、オオタはそれを慎重に一台ずつ取り出し始めた。それは先輩であるナカニシが、自分に何の目的でこの作業を命じているのかと訝るような動きだった。
 箱から順に取り出していた製品が半分を過ぎた時、オオタの動きが止まった。
「まさか……」
「オオタ、何か気付く事があったか」
 明らかに顔色を失ったオオタに、ナカニシが声をかけた。
「ええ。製品に一本ネジが付いていません」
「君が検査をしてたんじゃないのか」
「はい、そうですが……。でも先輩、ウチの生産工程で、こんなネジの抜けが出る事は無い筈なんですが」
「そこなんだよ問題は。確かに、これは工程の中で出た物じゃない。俺が混入させたものだ。君は出る筈が無いと言ったが、その思い込みが見逃しを発生させた原因なんだよ!」
「でも……」
 オオタは納得のいかない表情のまま、後の言葉を飲み込んだようだ。確かに普段の彼の仕事ぶりは優秀だし、製造工程の特徴を考慮した検査方法も悪く無い。新人社員としては申し分ないだろう。
しかし、今回のような想定外の出来事への対処は、まだまだ甘い部分がある。実際の現場とは、想定外の事がしばしば起きる場所なのだ。
 しばらくの間、オオタは作業に集中出来ない様子だった。今回の件を理不尽だと感じつつも自分自身の中に改善点を求め、きっと模索してくれる事だろう。ナカニシは心の中で密かに期待感を深めた。
 数日後、作業場の片隅にはオオタと工場長の姿があった。二人の視線の先には、別の検査員に作業指導をしているナカニシの姿があった。
「オオタくん。ナカニシは指導という名目で不良品を混入させる事があると私に説明していたが、その時に交換した正常な製品をこっそり持ち帰っていると、君は言うんだな?」
「ええ、そうです。僕も不良品を見逃した事がショックで……。でも、冷静に考えるとナカニシ先輩が混入させた分、台数が増えていないといけない筈だと気付きまして」
「なるほど。最近、わが社の新製品が発売後すぐにネットオークションに出品されているとの噂があったが、どうやら彼の仕業の様だな。それにしても、今年の新人は優秀だな」

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
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様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾
シリーズ第三弾

 

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(小説キャラクターの名前の付け方)コラム/名前の付け方(後編)

コラム/名前の付け方(後編)

 

前回に引き続き『名前の付け方』のお話なのですが、前編では漢字やカナ、そして文字数について書きましたが、では実際の『名前』は、どうやって決めているのか? そんなお話です。

 

【CONTENTS】

 時代の流れ

名前に限らず物語の場面設定であるとか、物価などを含めた時事についての情報は、可能であれば作品を発表してから年数が経っても、古さを感じさせない書き方が良いと私は思います。

 

しかし、物語の構成上でストレートに表現しないと書きにくい場合もよくあると思います。事実、私が過去に発表した話の中には時事ネタを扱った事で、わずか数年で古さを感じる話になってしまった物もあります。


結果として、私の書く物語については、あまりその辺りは気にせず書くという事にしたの訳ですが、これは名前の付け方にも大きな影響がある事なのです。


物語に登場するキャラクターは、性別や実在の人物に当てはめたイメージなどと共に、おおよその年齢設定も必要かと思います。

 それらはキャラクターの言動や行動そして思考など、あらゆる部分に関係しており、これは物語の長さには関係なく、どの小説にも必要な要素だと思っています。

 

ここを疎かににしてしまうと、リアリティのない、読者が入り込めない作品になってしまうと思うのです。

 

 

年齢による名前の決め方

キャラクターのおおよその年齢を決めたら、その物語を書いている時から遡って、生まれた年代を計算します。その後、その年に付けられた名前のランキングを確認し、その上位のものと、多少アレンジした物をリストに加えます。

 

現在はそのリストの中から名前を選び、それらがダブらないよう使用したものとそうでないものを区別し、保存しています。

 

 

珍しい名前や読みにくい漢字

基本的にタイトルにあるような名前は避けるようにしています。

リアリティと言う点で、私は比較的よく聞くような名前を選ぶようにしています。

 

また、読みにくい漢字を使った名前ですが、特にあて字等はルビを振る必要がありますし、そのようにしてもなおかつ読みにくい場合もあります。

 

個人的に、こういった名前のキャラクターが小説に登場すると、それをを読んだ場合、私はやはり現実世界に引き戻されてしまうような、そんな気になるので避けるようにしています。

 

せっかくテンポよく頭の中で物語が進んでいる途中、「あれ? この文字なんて読むんだっけ?」となると、そこで思考が止まってしまうのです。

お話を書いていても、そんな風になったらもったいないと思いませんか?

 

私の考えでは、よほど物語に深い関係のある理由がない限り特殊な名前は必要ないのではないかと思います。それよりも、むしろ他の部分で損をしてしまうように思います。

 キャラクターにどんな名前をつけるのかは、もちろん書き手の方の自由だと思いますが、私はそのように思うのです。

 

☟☟☟ショートショートを『書く』ならこの本!!

 

 

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(『お勧めの品』がテーマの作品例)小説投稿サイト時空モノガタリ未発表作品(6)/ミラクルパワーボール

(番外編)未発表作品/ミラクルパワーボール

 

友人から勧められて買った不思議な力があると言うボール。果たして本当に威力はあるのか……。

 

 

  

ラクルパワーボール

 

「これがいざっていう時に、人間が本来持っている数倍の力を出すことが出来るって言う製品なんだ」

 タナカは俺にそう言って、銀色にキラキラと光るボールを二つ手渡した。一個が掌の中にちょうど収まるサイズで、ミニチュアのミラーボールの様な製品は、効果が疑わしい美容器具を思わせた。

「これってさ、本当に力が出るんだ!」

 嘘の様な台詞を平然と吐くタナカの目は、真実に満ちていた。

俺とタナカは、もう十年以上の付き合いだが、過去に一度も嘘をつかれた記憶は無かったし、正直なところ真面目だけが取り柄の様な奴だった。

「とにかく凄い商品なんだ。一個のボールが一万円だから、二個セットで二万円。良い商品だから値引きは一切無いんだけど、買って損は無いぜ、絶対に!」

「な、なあタナカ。お前の話は信じるよ。確かに今までお前が嘘をついた事なんて一度もなかったし、この商品だって良い物なんだと思う」

「そ、そうだろ!」

「ああ。だけど、今のところ俺にはそいつを使えそうな事が思い浮かばないし、値段ほどの価値が感じられないんだよなあ」

「なんだ、そんな事で悩んでたのかい? 俺だって買った時は、そんなもんだったよ。別に使う用途なんて考えもしなかったし。だけどな、不思議なもんで実際買ってみると、すぐにこれを使うチャンスがやって来るんだ。だから絶対に価値はあるって!」

「本当かい?」

「ああ本当だ、約束するよ。俺にこれを勧めてくれた人もそう言ってたし、その前の人もずっとそうなんだ」

 タナカがあまりにも熱心に商品を勧めてくるので、仕方なく俺はそれを買うことにした。タナカの説明では、この商品を他の誰かに勧めて購入が決まると、紹介者にお金が入る仕組みらしい。とにかく俺は、自分で試す事にした。

 まずは、部屋の中で重いものを持ってみようと考えた。左手で例のボールを握り、右手で重い物を持ってみる。しかし、全く効果が現れない。むしろ左手に持っているボールの事が気になって、逆に力が入らない気がした。

 今度はボールを握りながら出来る事を考えてみた。拳の中にボールがあれば、きっと効果が現れるに違いない。俺はスポーツが、全くもって苦手な方だし、ましてや格闘技的な事はなおさらだ。それならばと、俺は空手の瓦割りを選んでみた。拳の中に ボールを握って、瓦を割ってみるのだ。普段、何もない状態ならば、間違いなく一枚も割れない。だからきっとこのボールを使えば、三枚、いや五枚だって割ることが出来るかもしれない。

 早速、俺はホームセンターに行ったが、瓦は売っていないので、代わりにレンガを一枚買って、それをブロックの上に瓦割りの要領で置いた。

 例のボールを握ったまま思いっきりレンガにパンチしてみた。今度は病院に直行する羽目になった。

 ボールの効果は全く感じれなかった。俺はタナカにすっかり騙されてしまったのだろうか? いいや、そんな事はないだろう。直接本人に会って確かめてみるべきだと思い、電話でタナカを呼び出した。

「なあタナカ。俺にはこのボールの効果が全く感じる事が出来ないんだ。お前は、絶対に効果が出るって言ってたけど」

「ああ、そうさ。ちゃんと効果は出る筈だよ」

「だけど、重いものも持ち上がらないし、レンガだって割れない」

「それは、君の使い方が悪いんじゃないかな。ボールの力を信じていないとか、本当にその力が必要だと思ってないとかね」

「そんな事はないさ。なあタナカ、お前、俺を騙したんだろ!」

 もう、タナカの言葉が信じられなかった。高い金を払って買ったのに、信用していた相手に対する怒りが止められなかった。俺は例のボールを握ったまま、タナカの頬を思いっきり殴った。

 そしてタナカは、その姿が見えなくなるほど遥か彼方へと飛んで行き、最後に消えた。

 

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(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/あなろぐ、コラム/名前の付け方(前編)

あなろぐ

食品関係の零細企業に勤める主人公の女性社員。製造部での材料不足のため、顧客からの注文の商品が作れない!!

営業担当である彼女は、この危機をどう乗り切るのか?

 

rhirasawanb.hatenablog.com


【CONTENTS】

  


テーマからの発想

今回のテーマは「伝言」です。

伝言ゲームのように、人から人に言葉で伝えるようなものを連想しがちですが、メモなどによる伝え方も伝言ですし、留守番電話などもその一つになります。

 


発想からのキーワード選出

 伝言、メモ、留守番電話、メッセージ

 

POINT1:タイトル

あなろぐ


タイトルは『あなろぐ』です。

主人公が勤める会社は零細企業で、少人数のため各社員が担当以外の色んな仕事をこなさなければいけません。こういった現場での経験がある方はお分かりでしょうが、その時々によって、誰が何をするといった事を決めるのが難しい環境なんです。

 

ですから、色んな事がきちんと決まっている状況を『デジタル』と表現するなら、それに対して『アナログ』かな? と言うイメージからです。

それもカタカナではなく平仮名の『あなろぐ』そのほうがよりイメージに近く、しっくりくると思いました。

 

POINT2:書き出し

 ヤマキ商店です。いつものパック、昨日の二倍で」

 エースフード最大の取引先である『ヤマキ商店』は、こだわりの商品作りで抜群の集客力を持ち、自社製や仕入れ商品全てを完売させる事で有名だった。


以前このブログでお話ししたのですが、小説の書き出しはとても大事です。私が作品を投稿している『時空モノガタリ』サイトは、文字数制限が二千文字です。少しでも文字数を節約して、中身の濃い作品に仕上げなければいけません。

 

この書き出しで誰が何処に注文をしていて、それがどれぐらいの量なのか。そして注文主がどんな店なのかが書かれています。

出来るだけ文字数を節約して、必要な情報を盛り込むようにしましょう。

 

POINT3:ユーモア

「担当ですか? まあ、やれる人がやってお互い助け合うって形で……」

 先代の息子である二代目社長の対応は、まさに『のれんに腕押し』だった。

 

社長に限らず上司や先輩に、こういうタイプの人が時々います。

主人公は何でもキッチリと物事を決めて予定通りに行い、なおかつピードを重視するタイプです。

 

今回主人公とは全く正反対の、かなりのんびりとした社長を出す事で、主人公目線の読者に、社長に対するいら立ちのようなものを感じて欲しかった訳です。今回の狙いはそこにあります。

 

主人公は少人数の会社の中で、自分の担当外の仕事に広く関わり、顧客の注文に対応する為、社内外を動き回ります。

主人公は、あてに出来ない他の社員に対し、自分一人で戦っているような気分になり、そのあげく、周囲の人達が敵のように見えてしまっています。

 

 通常、こういう状況に陥ってしまった場合、それを相談できる相手として先輩や上司、そして最後に頼る相手は社長しか居ません。 しかし、その肝心な社長が頼りにできないとなると、主人公は完全に追い込まれてしまう訳です。

 

今回のオチに対して、落差を大きくつけるためには、主人公を極限まで追い込む必要があったので、このように書いた訳です。

 

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

 

POINT4:前半のストーリー

 


自社の最大手の取引先から、今回の注文は通常の二倍でお願いしますとの連絡があり、主人公はその段取りを始める。

 

 
注文を受けた商品の準備を進めていたところ、材料が不足している事に気付く。主人公は慌てて注文通りに商品を納めようと、協力会社に出向いたりと、必死にそれを間に合わせようとする。


POINT5:展開〜オチ

 
取引先の注文は実は間違いで、別の業者と間違えてかかってきた留守番電話の伝言が原因だった。

 



主人公が対応に追われる中、あまり協力的ではないと思っていた社員たちが、実は本人が知らないところであれこれと段取りを進めており、実際には色々と協力していてくれたことに気付く。

 

普段完璧な仕事をしている取引先の社長だが、今回は伝言の入れ間違いと言う初歩的なミスを犯している事がわかり、そういう人でさえミスをするのだと気付かされる。

 今回の一件より、会社の人々の良さや自分の未熟さを改めて認識する事が出来た。

 


総合的なポイント

 テーマからのキーワードによって物語を書いていった結果、文字数は規定の二千文字よりも千文字ほど多い三千文字近くになりました。

物語のイメージを崩さず、スピード感も残しながら文字数を削っていきました。

 

場面設定など簡単に済ませられるものは、できるだけ合理的に書く必要があります。

今回は通常の作品よりも多くの人が登場しましたが、一人ずつについての話も最小限に留めながら、なおかつ主人公との関係性も伝わるよう工夫して書いた訳です。

 


コラム/名前のつけ方

 小説における、それぞれのキャラクターに対する名前の付け方ですが、私が現在『時空モノガタリ』サイトに投稿している作品は、名前を極力『姓』か『名』のみにしています。これは、単純に文字数を減らせる事と、読者の方に区別してもらいやすくする為です。


また、基本的にカタカナ表記にしており、目で見た時にそれぞれのキャラクターの区別がつきやすいようにしたり、声に出して読んだ時にできるだけ音に変化のあるものを選んでいます。

 
カタカナでの文字数は通常、三文字にしています。しかし、物語の中で何度も名前が出てくる様なストーリーの場合は、区別がつきやすいように二文字、あるいは四文字の名前の人物も加えるようにしています。

 

さらに詳しい名前の付け方については、次回名前の付け方(後編)で、お話ししたいと思います。

 

 

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