ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(祝)200記事!(小説・ショートショートの書き方)創作の動機/帰れない

 

創作の動機/帰れない

 

ショートショートの創作プロセスを、その『動機』に絞って公開するものです。深くそれを知ることで、ご自身の創作時のヒントにして頂きたいと思います。
今回の作品は『帰れない』です。

ショートショート『帰れない』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

今回で200記事目となります。以前に増して更新ペースがスローになった為、随分と遅い到達となりましたが、現在6冊目となる新刊の原稿を並行で執筆中の為、新作の発表も出来ておりませんが、今後も主に『作家志望者』の方々に向け、少しでもご参考にして頂けるブログ・著書を発表し続けたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 

【CONTENTS】

 


過去の出来事


世間では『お盆休み』がある頃、テレビのニュースでは『帰省』に関する話題をやっていました。空港や駅のホームで取材をして、一般の人々にインタビューをするのです。
かつて『お盆』と言えば、ご先祖様の『お墓参り』で帰省する方も多かったと思いますが、最近では実家に帰らない人も多く、その日のニュースでは比較的若い人にインタビューをしていて、『帰らない派』が大勢いました。
その中で興味深かったのが、『帰らない』ではなく『帰れない』と言う人でした。家を出て都会で一花咲かした暁に実家に帰る予定だったのですが、その実まったく成功していない。それどころか、むしろ実家にいた時の方が安定した生活を送れていたとのことだったのです。
当時の私の印象は、『ああ、人にはいろんな事情がある物だな』と言ったところ。特にその時は何かに結びつけて『物語を作ろう』なんて考えはまるでなかったのですが、何年もたってから、小説を書くときのテーマが『実家』だったので、この事を思い出した訳です。

 

 

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抽出されたネタ


【実家】【帰省】【帰れない】


『実家』に帰りたいけど『帰れない』。そんな状況って、どんな時だろう? 例えば若い頃に『家出』したけど、それから何年も経ってすっかり『大人』になって、精神的にも落ち着いたりすると、実家にいる『親』も当然歳をとっているから、ちょっと気になってくる。
『お盆』だの『正月』だの、『連休』になると何だか『モヤモヤ』してくる。でも『帰れない』。それは例えば『夢』を追う為、『田舎』を飛び出し『都会』を目指す。しっかりと定まった『目的』なんて無かったけど、『若気の至り』でそうなってしまった。『結果』も出ていないのに『帰れない』。
『結婚』はタイミング的にいい『チャンス』かもしれない。日常生活の中で、大きな出来事があった時は、きっと『家出』の理由なんて吹き飛んでしまう筈。しかし、その出来事が『結婚』となると、色々とタイミングも大事だし、そもそも『相手』がいなければ話にならない。

 

創作の開始地点


若い頃に『家出』した。母との折り合いが悪かった。あてもなく田舎を飛び出し、『都会』を目指す。しかし、その先での『仕事』は簡単にはいかない。そんな自分を受け入れてくれる場所が、『夜の世界」』にはあった。何となくだけど、自分に合っている気がした。
そこで巡り合う『男性客』。中には『深い関係』になった人もいた。その中でも、いま『恋人』の様な関係にある男性は、かなり本気で愛してくれている。しかし、自分には迷いがある。自分を『全て』見せる事が出来る相手ではなかった。
ますます本気になる男性。実家に『挨拶』に行きたいと言い始める。不安が募る。果たして本当に自分を全てさらけ出した時、相手は自分を受け入れてくれるのか?

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

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(小説・ショートショートの書き方)創作の動機/挨拶の品

 

創作の動機/挨拶の品

 

ショートショートの創作プロセスを、その『動機』に絞って公開するものです。深くそれを知ることで、ご自身の創作時のヒントにして頂きたいと思います。
今回の作品は『挨拶の品』です。

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【CONTENTS】

 


過去の出来事


比較的『音漏れ』のするマンションに住んでいた時の事です。その気もないのに聞こえてくる『生活音』。これらは一般的に普通の人が普段行動している時間帯であれば、特に怪しまれる事はないでしょう。しかし、職業によっては通常とは『昼夜逆』の生活や、もっと特殊な時間帯に働いている方々もおられる訳で、周囲からあらぬ『疑い』をかけられる事もあるかもしれません。
私が問題の『音漏れ』のするマンションにいたときの話。その頃はちょうど『求職中』であった為、昼間に家に居る事もあったのですが、空き時間にデビューの原稿となるべく『ショートショート』を書いていると、私の部屋のドアを激しくノックして「○○、いるのは分かってるんだぞ!」と大きな怒鳴り声。当然私には身に覚えのない事ですし、オマケに私の名前は『○○』じゃない!
表に出るのは危険な気がしたのと、おそらく隣の住人と間違えられていると思ったのですが、その住人について何かを聞かれたところで、何も答えられない。何故なら、聞こえてくる生活音が『無音』だったからです。
そもそも部屋を間違えられたのは、メールボックスには付けていたのですが、部屋のドアには『ネームプレート』を付けていなかったのが原因の様です。
過去に二回程度見かけた『住人』。『茶髪』に『小太り』で生活音がなく、『怒鳴り声』。ここのマンションの入居審査は厳しい方だったので、おそらく『怪しい職業』の方はいない筈。
後々、問題の住人と話す機会があって、勇気を出して『職業』を聞いてみると、某メーカーの製造工場で『夜勤』だそうで、寝ている時間帯は私とは『昼夜逆』で、問題の日は『買物』に行っていたとの事。ついでに怒鳴り声の人は『親戚』だったみたいです。

 

 

抽出されたネタ

 

【贈り物】【生活音】【怪しい住人】


マンションなどで手土産を持った訪問者がある場合、それは友人だったり親戚だったり、とにかく住人の知る相手が多いと思いますが、これが赤の他人で面識のない人の設定だと、直ぐに浮かぶのは『引越しの挨拶』でした。
挨拶の時は普通に見えた『新しい住人』が、妙な『生活音』を立て始めたらどうでしょう?
ただでさえ新顔の人って、多少気になる相手じゃありませんか? それが魅力的な『異性』だと尚更ですね。

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
Vol.1は、常にAmazonランキング(文学理論カテゴリー)に登場する人気の書籍です。
シリーズ第二弾と第三弾であるVol.2、Vol.3は、Vol.1で作り上げた『作家脳』を更に『鍛え』、その作家脳を『持続させる』為の方法です。
様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾

シリーズ第三弾

 

創作の開始地点

 

主人公の住むマンションの隣部屋に、綺麗な女性が引越して来ます。『挨拶の品』を持って。
主人公は女性の事が気になり、少しの好意も抱きますが、女性には『恋人』と思しき男性の存在がある事を知ります。
ある日、その女性と恋人が『喧嘩』している様子。いけない事ですが、主人公には女性への好意がある為、二人が破局に向かうのを密か願います。
後日、女性は喧嘩時の物音について、お詫びの品を持って主人公宅を訪ねて来ます。更に心を揺さぶられる主人公。数日後には、もっと大きな物音が。
さて、この物語の行方はいかに?

 

 

 

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(小説・ショートショートの書き方)創作の動機/GIFT

 

創作の動機/GIFT

 

ショートショートの創作プロセスを、その『動機』に絞って公開するものです。深くそれを知ることで、ご自身の創作時のヒントにして頂きたいと思います。
今回の作品は『GIFT』です。

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【CONTENTS】

 

 

過去の出来事


嫉妬深い女性と付き合った時、普段はあまり大事にされていない様子なのに、私が単独で飲み会などに行って、そこに女性が同席しているを知った途端、急に「何時に帰るの」とか「迎えに行くわ」とか言われた事があります。
こちらは『浮気』などまるで考えていなのに、さてどうしたことやら……。
この様な出来事はきっと個人によって違いうはあると思うのですが、他人に奪われると思った途端に、急にその関係を守りたくなる。
個人的にはあまりそんな感情は無いのですが、私の場合は『家電』などをリサイクルショップに売ろうと用意した時、長らく使っていなかったクセに、なんだか『もう少し持っておいた方がいいかな?』なんて気分になる事があります。
こんなこと書くと、『人』と『モノ』を一緒にするなと叱られそうですが……。

 

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抽出されたネタ


【贈り物】【嫉妬】【浮気】


ある日、夫婦の住む家に『贈り物』が届きます。これが夫宛てで送り主が女性だった場合、嫉妬深い妻であれば当然気にする事でしょう。そして『浮気』の疑惑までも。
この様なシチュエーションの場合、夫婦仲が良いとあまり面白くなりません。結果的に平和な解決に向かってしまいそうですから。
しかし、それが仲の悪い夫婦ならどうでしょう? 本来なら問題のない筈の出来事でも双方がマイナスに捉える。ちょっとした会話の中でもすれ違いが出る。そして問題が大きくなる。『喧嘩のタネ』があちこちに散らばっていて、いつ芽がでてもおかしくない環境ですよね。『泥沼化』してゆく環境をご存知の方にはよく理解できる事だと思います。夫婦だけに限りません。『友人』や『同僚』でも、互いの『仲の悪さ』は『問題を起こす材料』となりますし、何しろ『ミスリード』しやすくなるのです。

物語を創作する上でこうした環境はとても重要で、可能な限りストーリーとして『展開』しやすい状況を作る、例えばキャスティング一つで大きくそれらは変わってしまいます。
しかし、これらは逆に簡単に変わってしまうイコール、『簡単に変えられる』と捉えるべきで、既に出来上がっている物語でも、そこから構成を変える事が可能であると言う事にもなるのです。

 


創作の開始地点


倦怠期の夫婦。子供の居なかった二人の間は会話も少なく、コミュニケーション不足は関係の悪化に拍車をかける。

互いに再婚同士で、妻がそれを決めたのは夫が持つ『安定感』。それは『経済面』であったり『精神面』であったり。

しかし、転職による収入減で一つの『安定感』が欠落する。先々の生活に不安を感じていた妻の前に、新たに生じた問題。それは夫宛てに届いた『女』からの『GIFT』。
妻はどの様な行動に出るべきか……。

 

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(ショートショートのアイデア)ストレスシート(6)

ストレスシート(6)


日常生活の中で感じる『ストレス』。これを『ネタ』に物語のアイデアを生み出そうと言う考え方で、今回は6回目です。
『ストレス』でなくとも、日常で起こった『僅かな変化』も、何処かに残しておくと結構使えるものです。それ以上に、常に『変化に気付く目』を養う事が重要なのは言うまでもありません。

 

初めてご覧になる方は、以前の記事もご参考に。

ストレスシートからの物語1~4はこちら↓↓↓

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【CONTENTS】

 


後から来て席を奪う女

 

電車のホームで立っていると、自分より遥かに後からやって来たにも関わらず、ドアが開いた瞬間に、そのぽっちゃり体型からは想像もできないようなスピードで席を奪う中年女性がいる。そして、その奪うべく『席』は、大抵女性の『横幅』よりも狭い。
『尻』を左右に振って、器用に体をねじ込むのだが、この際に周囲の者達が、そのスペースを確保する為に『惜しみない努力』をしている事など、その女性は知る由もない。

 

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
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シリーズ第二弾
シリーズ第三弾

 

とったリアクションを途中でやめる時


例えば『発車直前』の電車に乗り込もうとした時、もう一度開くと信じて全力で向かったドアが、無情にも『サヨナラ』を告げていった時、ドアの内側にいる乗客の『悲しげ』か『可笑しげ』か区別のつかない表情に出会った時など、とても悲しい気分になるが、何も出来ない。
『オーバー・アクション』で『残念!』を全身で表現出来る、外国人が羨ましい。

 


自動販売機で違う飲み物が出て来た時


「確かに俺は『押した』よなあ」。思わず独り言を言わずにはいられない。しかし、もう一度同じ商品を買って確認しようなどとは決して思わない。
何故なら、もしも更に間違った方の商品が、再び出てきた時の事を考えると、怖くてそんな事は絶対に出来ないのである。
既に買う予定で『コーンポタージュ』になっていた口に、俺は仕方なく『おしるこ』を流し込む。

 

今回のネタも先々物語になれば、こちらで公開したいと思います。

 

 

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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(ショートショートのアイデア) ストレスシートからの物語/今更支払い時に出てくる二千円札

ストレスシートからの物語

 

今更支払い時に出てくる二千円札(2000年発行)

二千円札でもいいですか?」
「いい訳ねえじゃん!」
 今更このお札持って客先に行ってごらん。こっちだって同じセリフ吐かなくっちゃいけないよね。「二千円札でもいいですか?」って。

 

初めてご覧になる方は、以前の記事もご参考に。

ストレスシートからの物語1~4はこちら↓↓↓

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二千円札

 

 オレの仕事は個人宅への荷物の配送。最近はネットでの買い物が多いせいで、荷物の量がハンパない。それも小さなものばかりだ。ひどい時には二日間連続で、同じ家に行く場合もある。しかも同じ発送元である。
「どうしてまとめて注文が出来ねえんだよ!」
 オレはその家の玄関先で、大声をあげて叫びたかった。しかし、そんな事は出来ない。少しでも多く客先に荷物を届けて、収入を増やさなければいけないのである。
 問題はそんなお客たちの支払い方法だった。クレジット払いならば何も問題はない。こんなお客に限って『代金引換』を選択している。基本的にお客に会わなければいけない。『代金』がもらえないのだから。
 おまけに『留守』が多い。結構な割合で『再配達』になるのだ。そんなお客ばかりで『居ない人リスト』でも作ってみたいものだ。
 そんな訳で、会えた時に集金だけはスマートに終わらせたいけど、何軒か集金する間に、釣り銭が随分と偏る事がある。多いのは『一万円札』が増える日で、給料日付近は大体このパターンだ。これはある程度予測出来るので、こちらも準備はしている。
 次に『小銭の日』。どいつもこいつも『財布軽くしたい』って、小銭を出してくるんだ。その『重さ』がダイレクトに他人に回るって気付かないのかね? オレの集金袋が、その分だけ『重く』なるんだよ!
 結局、一万円札のお陰で釣り銭が切れた時は、仕方なくどこかで買い物して『両替』するんだよね。手っ取り早いのはコンビニなんだけど、いつもそこで買い物する訳にいかないから、時々オレは『ハンバーガーショップ』に立ち寄るんだ。腹も減るし。そこで今日言われたのが、このセリフだった。
二千円札でもいいですか?」
これって、要は釣り銭に『二千円札混ぜる』って事だよね? 言い訳ねえじゃん!
 こんなの混じってたら、結局オレも客先でこのセリフ言わなきゃなんない。
二千円札でもいいですか?」って。
 でも、オレが断り文句を言おうと店員を見ると、アルバイトと思しき女子が泣きそうな顔でこっちを見てる……。だから、言いかけたセリフをぐっと飲み込む。
「仕方ねえな。一枚だけだろ? いいよ、二千円札で」
「あ、ありがとうございます!」
 結局、オレはカワイイ女子に負けて、『二千円札』を引き取る羽目になった。
 さて、困った。次に一万円札で支払いされたら、こいつを混ぜなきゃいけない。
 しかし、どうだろう? いつもお客が『一万円札』で支払うとは限らないし、ちょうどの金額を渡される事だってある訳だし。どこかで買い物する事も考えたけど、今日は時間に余裕が無い。
 お客が『一万円札』出してくるだろうって準備してるのは、こちらの取り越し苦労かもしれない。もしもの時は『あのセリフ』を言えばいいだけだ。
 結局オレはさっきの『二千円札』を釣り銭袋に入れたまま、再配達先に向かう事にした。
 今日は残り三軒。すべてアポは取ってある。その中で最初に向かうのは、いつもぴったりか、それに近い金額を出してくる、ちょっと品の良いお客で、決して一万円札を出す様な事はなかった。
 チャイムを押すと、直ぐに返事があった。そして玄関のドアが開いた。
「代金引き換えで、三千九百八十円です」
 そしてお客が言った。
「あの……。『二千円札』二枚でもいいかしら?」

 

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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(ショートショートのアイデア)ストレスシート(5)

ストレスシート(5)

 

日常生活の中で感じる『ストレス』。これを『ネタ』に物語のアイデアを生み出そうと言う考え方で、今回は5回目です。『ストレス』と言うほどでもない事もありますが、重要なのは常に『アイデアのきっかけ』を意識する事ですね。
今回は気になった事柄のみですが、少し先の記事で『ネタ』を生み出し、『作品』にしたいと思います。

 

初めてご覧になる方は、以前の記事もご参考に。

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【CONTENTS】

 

 

 

車でトンネルをくぐる時、頭を下げる自分 

 

例えば電車の高架下をくぐる様な道路。駅に近い迂回路などで高さ制限されている、天井の低いトンネルがあったりします。こういう場所を車で通過する場合、無意識に私は頭を下げてしまうのです。
立体駐車場でも同じ事。もちろん天井が低い時に同じ現象が起こるのです。自分一人なら別にいいのですが、周囲に人が居て見ていたならば、きっと「あの人、頭下げてるよ。バカだねえ~」って。

 

 


洗車した日の夜中に降った雨


『今日の天気は晴れ』。いつも見ている情報番組の『お天気コーナー』では、確かにそう言っていた筈だ。『降水確率ゼロパーセント』を信用して、今日は洗車をすると決めたのに、夜には雨が降っていて……。
翌日の朝、ボンネットの上には無数の綺麗な『水玉』。ワックスに書かれた『水はじき抜群!』の文字に嘘はなかった……。しかし、問題はそんな事ではないのである。『雨が降った事』だ。
いつも綺麗な『お天気おねえさん』。以前から予報に不安定な部分があるのは知っていたが、あの『笑顔』を信じない訳にはいかない。いいや、きっと同じ思いをした人が全国に大勢いる筈だ。
しかし、『天気お姉さん』はクビにはならない。予報が外れたからと言って警察に逮捕される訳ではないし、あの『笑顔』を見て、一体誰が恨むものか!
だけど、やっぱり納得いかないんだよねえ……。

 

 

今更支払い時に出てくる二千円札



二千円札でもいいですか?」。一瞬、何の事だか分からなかった。『西暦2000年』に発行された、国内で上手く流通しなかった紙幣の事だ。この単位の紙幣、流通している国もある様だが……。
ハンバーガーショップの「ドライブ・スルー」で店員が放った一言。一万円札で支払いをして、この後客先へ集金予定の私。ちょうど両替用のお札が出来ると安心していた矢先の事である。
二千円札でもいいですか?」って……。
「いい訳ねえじゃん!」
 大体ねえ、このお札持って客先に行ってごらん。こっちだって同じセリフ吐かなくっちゃいけないよね。
二千円札でもいいですか?」って。
多分この後もずっと、この『お札』は、世の中を『彷徨う』のだろうな。そう、まるで『ババ抜き』の『ジョーカー』の如く。

 

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(『クレーム』がテーマの作品例)新作ショートショート(23)/クレーマー・クレーマー

 


新作ショートショート/テーマ(クレーム)

 

 

クレーマー・クレーマー

 

 

 スギヤマは今日もクレーマー対応をする羽目になった。なにも好んでこの業務を担当している訳ではない。十年ほど前に現れたクレーマーに、たまたま上手く対応出来ただけの事だった。
 しばらく経ったある日、上司から呼ばれた。向かった先には、新たなクレーマーが待っていて、結局上手く場を収めてしまった事で、『クレーマー対応』は、スギヤマの正式な担当となってしまった。
 スギヤマの勤務先は『書店』と名が付いているが、基本的には『雑貨店』である。かつてメインだった『本』の売り場は二割程度まで減り、今は『家電』から『食料品』まで揃っている。元々あった『文具』においては、自社製品の開発も手掛けていて、既に店頭には複数の商品が並んでいた。店舗数も少しずつ増えており、社長は全国展開を目論んでいる様だ。
 最近の胃痛は深刻だった。きっと良くない病に犯されている。この担当を離れたい思いを吐き出したいところだが、妻に話そうものなら、余計な『ツッコミ』を入れられ、症状は更に悪化する事だろう。
 スギヤマがクレーマーに上手く対応できたのには理由がある。以前に勤めていた会社の『相談役』は、長年百貨店に勤めており、定年後に複数の会社をサポートしていた。お客様対応のスペシャリストであるその人物から、ある程度レクチャーを受けていたのである。
「クレーム対応の基本は、先にお客様の意見をしっかりと聞く事です。しかし……。ただ言われっぱなしでは、何の解決にもなりません」
「では、どうすれば?」
「相手の話を聞きながら、頭の中で矛盾点を探るんです」
 通常クレーマーは、いかに自分が正当であるかを強く主張してくる。先ずは相手に、どんどん話をさせるのだ。
 そして気持ちよく話しているうち、調子に乗って思わず『ボロ』を出してしまうそうだ。それはとりあえずキープしておき、頭の中を整理する。次にタイミング良く『ボロ』に対して『ツッコミ』を入れる作戦だ。
 重要なのは後のフォローで、こちらからの『ささやかなサービス』を付ける。これで相手は恐縮するが、更に追い討ちをかける。『大事なお客様アピール』でとどめを刺すのである。
 過日、クレーマーだった相手が、リピーターの上客に変わる事は、実に多いと言う話だ。
「スギヤマさん、ちょっと……」
 今日スギヤマに助けを求めてきたのは三十代の女性販売員で、彼女はいつも明るく爽やかで、知的な雰囲気はお客からの評判も良かった。
 しかし、クレーム対応には弱い。彼女の穏やかさにつけ込んで、攻撃を仕掛けてくるのだ。
 今日の相手は『強者』だ。過去にスギヤマが何度か対応している。巧みな話術で何かと店に損失を与えている人物で、上手くさばけず高価な商品を持ち帰られた事もあった。
 前回はスギヤマのブロックが完璧だった。そのまま男を帰らせ、店は無傷で済んだのだ。それから半年ほど男の姿を見なかったが、今日は前回の『リベンジ』のつもりかもしれない。
 スギヤマはあの時のレクチャーを、頭の中で回想する。少し『ハイ』になったらスタンバイ・オーケーだ。
 彼女が担当する文具コーナーに向かうと、直ぐに異彩を放つ人物が目に飛び込んできた。問題の『クレーマー男』である。
 売場がいくら明るいとはいえ、あのドス黒いサングラスでは、商品さえ見えにくい筈だ。
 男が一歩、スギヤマに歩み寄る時、床のケーブルカバーにつまづきかけたが、それでも男はサングラスを外そうとはしなかった。
「先週ここで買ったんだけどねえ……」
 クレーマー男の口調は、いつも穏やかだ。しかし警戒心を解くにはまだ早い。
 男の手には、『ケース付き』のスマホが握られている。ケースは自社で開発したもので、最近の売れ筋商品だ。その視線の先には、商品プロモーション用の小さな液晶モニターがあり、そこには、男の持つそれと同じ物が映し出されていた。
 時折、サングラスに反射する映像が歪んで見え、まるで男の心中を映し出している様だった。スギヤマは再び腹部に痛みを感じた。本当に悪い病気かもしれない。
 男の主張では、プロモーションより低い位置から落としたにも関わらず、スマホの画面が割れてしまったとの事である。
 動画では外国人がオーバーアクションで商品をアピールしているが、陽気な笑顔は無駄に安心感を与え、大きなジェスチャーは落とした位置を余計に高く見せた。
「お客様、この動画は……」
「分かってるよ。大げさなんだろう? 私が言っているのは説明書に書いてある『二メートル』より低い位置の事なんだよ」
 この商品は、確かに二メートル、いや三メートルでも大丈夫だろう。スマートフォンを覆う部分は最新の衝撃吸収素材で、従来の物とは比較にならない。特に画面周辺部分は大きく厚みを持たせ、しっかりとガードする構造だ。
 しかし、これはあくまで平らな面に落とした場合の話で、例えば大きな突起物がある様な、そんな場所では、画面が割れる事もある。
 男のスマホ画面の中央には、明らかに尖った物が食い込んだ様な痕があった。
 スギヤマはあの日のレクチャーを回想する。この事実を指摘するタイミングは『今』ではない。相手にもっと話をさせて、『その時』を待つのだ。落とした面が『平らではなかった』と言う事に触れる時だ。
 終始スギヤマは笑顔を絶やさず、男の話を根気よく聞いた。一般的なクレーマーに比べ、口数が少ないのが厄介だった。
「落ちた場所? うーん、ちょっと平らじゃなかったかもなあ……」
 男の口調が少し軟化した。すかさず此処で、こちら側の提案をする。内容はあくまで少し譲歩したものである。先ずは様子を探る。
「お客様いかがでしょう? そのケースの代金をお返しするというのは……」
「ケース? いやいや、こっちは問題ないさ」
 想定通りの回答だ。次は本命の提案だった。
「でしたら、保護フィルムの方はいかがですか? お調べしましたところ、加入されているサービスで本体は保険で交換可能かと。しかし、保護フィルムはお客様負担となる様ですので、こちらを当店でサービスさせて頂きますが……」
「ううむ……。悪くはないね。じゃあ、それで頼むよ」
 意外にも男はあっさりと提案を受け入れる。
 スギヤマは元々貼っていた保護フィルムよりも、少し高価な物である事をさりげなく告げた。貼り付けは自分でやると言うので、それを手渡しすると、男は大人しく帰って行った。
 後日、また男がやって来た。
「今日はね、そんなに難しい話ではないんだ。この間、あんたと話をしてて気づいたんだがね、その商品のこの部分を、こんな風に……」
 スギヤマは驚いた。男の話はとんでもないアイデアだった。
「かしこまりました……」
 スギヤマは直ぐにそのアイデアを、開発の担当者に伝えた。
「ほお、そりゃいいアイデアですね! 早速試してみます。しかしスギヤマさん、よくそんな事思いつきましたね」
「いや、これは……」
 この開発担当者は、いつも人の話をちゃんと聞かない。社内では『スギヤマのアイデア』として伝わってしまった。
 この会社には、優れたアイデアに『金一封』を出す制度がある。社長が元々アイデアマンで、それがなければ此処まで会社は成長していなかったに違いない。今後の会社の発展には、個人のアイデア意識が不可欠であると社長は考えている。
 スギヤマは今回の流れ上、『金一封』を受け取る事になった。
 その後も例の男はやって来た。そしてまた、スギヤマにアイデアを伝える。開発担当者は、案の定話を聞かない。スギヤマはすっかり『アイデアマン』として、一目置かれる存在になっていた。
 ちなみに会社は『クレーマー対応』に重きを置いていない。それが証拠に、スギヤマが担当になったあと、これといった『昇給』も『金一封』も無かった。
 スギヤマは思う。今までのアイデアは全て『クレーマー男』から得たものである。それは社内で『スギヤマの手柄』として、幾分かの利益を得ている。しかし、男が何かを言ってきた訳でもないし、経過について尋ねられた事もない。
 だから、これは日ごろ胃が激しく痛むような業務に携わっている自分に対する『神様からのご褒美』なのだと思っている。きっとあの男はアイデアを誰かに伝えることで満足しているのであろう。
 『クレーマー』になり得るお客とは、そもそも繊細な部分を持っているからこそ、細かい事に気付く訳で、付き合い方によっては関係性が好転する事もあるのだと、スギヤマは改めて思った。
 アイデアの採用数が開発担当者を抜いてトップになったスギヤマは、その実力が認められ、昇給もした。
 あの男は結局『液晶保護シート』を手に入れただけで、今となってはスギヤマの大事な『協力者』となった。
 過日、スギヤマは上司から会議室に呼び出された。テーブルに積まれた書類の束は、全てスギヤマが出した『改善案』だった。
 その横に並べてある書類は、裁判所からのものであると説明があった。
「スギヤマ君。これまで君が出した『改善案』だが、全てキミのアイデアだと聞いているが、間違いないね?」
「いえ、それは……」
「裁判所からの通知では全て分かりにくい部分だが、どこかの特許侵害だと……」

 

 

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