ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(小説の書き方の基本を公開)コラム/起承転結のセオリー(後編)

コラム/起承転結のセオリー(後編)

 


小説を書く上において『起承転結』はベースとも言える要素なのですが、特にショートショート作品などでは、明確にそれらが見当たらない場合もあります。しかし、それでも物語は成立するのです。

小説を書く事に慣れていない方は、ごく一般的な構成の作品でも迷ってしまう事がある様ですが、特殊な構成の作品となると、更に混乱されるのではないかと思います。

今回は実際の完成作を元に、それらを解説したいと思います。

 

記事に関するオススメ書籍はこちら↓↓↓

(小説・ショートショートの書き方)厳選・オススメ本はこれ!(その❶) - R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

 

【ご注意!】

以降の解説には『オチ』の『ネタバレ』を含んだ箇所があります。まだ作品を読んでいない方、本来のショートショートとして楽しみたい方は、先にリンク先『全文』をお読みになられる事を、お勧めします。

 

作品例:ショートショート『私の庭』前文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【CONTENTS】 

 

 

あらすじ 

 

この物語を大まかに書いてしまうと、離婚した妻がかつて住んでいた我が家の現状を偶然知る事になり、それがゴミ屋敷のようになっていた。

元夫は、いろんなことを相談もせずに一人で決めてしまうタイプだったので、離婚後単身でも大丈夫だと思っていたが、すっかり生活が乱れている様だった。

様子が気になった妻は、かつての我が家を訪れ、夫の現状とその想いを知った結果、心の中に変化が起きる、と言うお話です。

 

 

起句

 

『小説』は主人公の身に起きた出来事の、ある部分を切り取って表現する物なのですが、一般的に原稿量が多くなれば、その物語の中で扱う期間は長くなります。

ショートショートの場合は特に短く、ほんの一瞬の出来事を描く場合もあります。長い期間を書く事も可能ですが、構成的な無理が生じ易いため不向きです。

『起句』について、『事の始まり』と説明される場合が多い様ですが、これこそが『書けない人』が『書けない理由』だと私は思います。要するに、もっと詳しい説明が必要なのです。


出勤前の朝、情報番組の特集コーナーの予告を観てケイコの手が止まった。興味のある内容なら、録画予約をするのが習慣だった。

『ゴミ屋敷』

 普段なら見送る内容だったが、モザイクの男性の後ろに映るゴミ屋敷。そこには、かつて愛用していた外国製のオレンジ色の鍋があった。

 

 

どこを起点とするのか

今回の作品で『起点」となっているのは、主人公が元夫の現在を知る場面です。しかし、起点は何もここでなくても良いのです。これは作者である私が『これを起点にしよう』と思ったから、ここなのです。

『どこから書けば良いかわからない』。これは時々耳にするお話です。結果として同じ様な内容が伝われば、どこから始めても特に問題はないのですが、やはり緊張感やインパクトのある部分を選ぶのが良いでしょう。

 

別のバージョン

●知人からの伝聞

●SNS等を通じて偶然知り得る


起点をずらす

●元夫が体調不良の際に、知人または本人から連絡してくる

●経済的に困っている様子を知ってしまう

●妻が元夫の雑貨店に訪れて、異変に気付く

 

 

 

承句

 

『承句』をあまり重要視されてない作品を、時々見かける事があります。

『事の起こり』から受け継がれた物語は、本来ここで更に膨らませる必要があるのですが、単に『起句』の続きになってしまっているのですね。

『転句』に向けて問題を増幅させ、最高のクライマックスを迎える為の重要な部分です。

 

でも何が起きたのか。とにかく様子を見に行こうと思った。

 実家から一駅の距離だった。駅から家までは心休まる道の筈だったが、今は不安でいっぱいだ。

 道中、何度か足を止めた。やっとの思いで辿り着いた場所には、変わり果てた、かつての『我が家』があった。

 

朝の情報番組で観た光景が、かつての我が家だと気付いた主人公は、元夫に会いに行こうと考えます。そして、二人が離婚に至った理由などを思い返し、

【❶→❷】

❶元夫の住む、かつての我が家がゴミ屋敷と化している事を知る

❷離婚時の理由について触れる

 

ここで重要なのは、主人公が元夫と別れた経緯です。親との同居を考えなければならない時期に来て、安定した生活から不安定な生活へ、しかも何の相談も無く。

そんな行動について行けず、否応無しに離婚へと進んだ経緯は、オチでの主人公の行動を肯定するものです。

 

 

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転句

 

『転句』は物語の流れを変える『句』です。それまでの物語に変化を付け『オチ』へと導くのです。

時折、見かける事があるのですが、それは『変化』ではなく『唐突』と言った感じで、都合良くオチに合わせた『何か』が登場する作品です。

これは推理小説などで、犯人がかなり後半になって登場するのに似ていて、いわゆる『ご都合主義』とみなされます。書いていけない訳ではありません。しかし、編集者の審査通過は難しいでしょうし、何より小説のクオリティを下げる要因となります。もう一度構成を練って頂いた方が良いでしょう。『承句』から『転句』までの繋がりに、無理のない構成に変えましょう。

 
無精ヒゲのナオキがゆっくりと天井とゴミの隙間から顔を見せ、そして手招きをした。意外に元気そうだった。

 中にはコタツ一つ分程の空間があった。

「店は順調だったんだけど、パートナーに持ち逃げされた。信頼してたんだが……」

「そうだったの……。でも、だからって家の中が、こんな風になっちゃう訳?」

「しばらく体調を崩してね。店は大丈夫だけど、家にはゴミが溜まってきて。なんだか面倒になった。最初は精神的なダメージが大きかったんだと思うよ。でも、それが回復する頃には家の中が……」 

 

元夫は、以前から相談なく行動する事があり、色々な事を一人で決めてしまうタイプです。その為、単身になったとしても周囲に心配されるタイプではありません。また、知人からの店舗契約に関する話は短期間で決めてしまう様な、人を信用しやすい性格付けも事前にしています。契約を急がせる知人はビジネスでのトラブルの可能性を秘めていますし、元夫も被害を受けやすいタイプの設定です。

そして、実際にトラブルが起こってしまった結果、精神的なダメージから弱くなってしまう人も多く、『承句』からの流れも自然になる訳です。

 

 

 

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シリーズ第二弾と第三弾であるVol.2、Vol.3は、Vol.1で作り上げた『作家脳』を更に『鍛え』、その作家脳を『持続させる』為の方法です。
様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾

シリーズ第三弾

 

結句

 

『結句』はもちろん『オチ』の部分に当たる訳ですが、単に『伏線』に対する『オチ』が成立すればいいと言うものではありません。良くない例としては、物語のかなり後半部分に無理やり張った伏線に対し、強引に付けたオチ。この様な『ご都合主義』の物語では、読者の方も楽しめません。伏線はかなり早い段階から準備し、ちゃんと読者の方に提示しておかなくてはなりません。そして、オチでそれらを上手に回収するのです。

理想的な物語は、伏線などの仕掛けがしっかりと計算されている為、何度読み返しても楽しむ事が出来る構成になっているのです。

 

「俺一人じゃさ、なんて言うか、やっぱりちゃんと出来なかったんだ。でも、あの『庭』を見ると、ずっと君が一緒に居るようで……」
 ケイコの耳にその話は届いていた。しかし、手の動きは止めなかった。リビング辺りのゴミを袋に詰めている。道中で買っておいた大量のゴミ袋に。
「あの庭はね、『私の庭』なのよ!」
 先々の事は考えていなかった。しかし今は先ずはここを掃除するべきだと思った。
「やはり、私が居なければ……」
 オレンジ色の鍋を手に、ケイコはつぶやきながら、その蓋を探した。
「とにかく、この辺りから片付けましょうよ」
 ケイコは動きを止めない。二人の事はまだ分からないが、今はナオキの為に何かをしよう。ケイコは今、その事だけを心に決めた。

元夫の主人公に対する想いが、離婚前にどれ程であったかについて、作品では触れていません。もし、想いがちゃんとあったとしても、少なくとも主人公に上手く伝わっていなかった事は、話の流れの中で感じていただけると思います。

そして、この句で最も重要なのは、主夫が自分の弱い部分を見せた事、そして主人公である妻の事を『大切な存在だった』と伝えた部分です。これを聞いた妻は、あえてその言葉への反応は見せないようにしますが、遠回しに自分の考えに変化が起きた事を伝えます。

更にラストはどうなるのか。それは読者の方に判断して頂く流れにしました。ショートショートでありながら、最後は数行ではなく、もう少し長い時間をかけて結末を迎える構成にする事で、作品の余韻を残したかったのです。

 

 

そして最後に

 

小説にとって『起承転結』の構成はとても大事な事です。ショートショートの場合、この構成を組まない作品も時々あって、それはそれで作品として成立しています。必ずしも、この形でなければいけない訳ではありませんが、『基本形』としてそれらがあり、作品を上手にまとめるのに適しているのは間違いありません。

しかし、先述の通り形だけを作ればよい訳ではなく、それぞれの『句』にはちゃんとした意味と役割があり、それらを理解したうえで構成を組まなければ、上手く機能しません。著名な作品を、意識しながら読んでみるのも良い勉強になると思いますので、是非お試しいただければと思います。

 


次回は、ショートショート『サンタが来ない日』の創作プロセス公開です。

 

 

 

 

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(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/美人妻の憂鬱、コラム/起承転結のセオリー(前編)

今回の作品/美人妻の憂鬱

 

地味で真面目であまりモテないタイプの夫は、社交的で美人な妻の事を日々心配していた。夫婦は新婚で、街を歩けば妻に熱い視線を向ける男達。そして妻は時折男性と共にいる事もあって、夫の妻に対する疑念はどんどん深くなるのだが……。

ショートショート『美人妻の憂鬱』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

今回のテーマは『浮気』です。このテーマは私にとって大変扱い易く、関連のある物語は何作か書いています。それらの事から書きやすいという反面、他人と物語が似てしまったり、ありきたりな物になってしまいがちなので、注意が必要です。

 

 

 

発想からのキーワード選出

 


浮気、イケメン、美人、遊び人、嘘、裏切り

 

 

 

POINT1:タイトル

 

タイトルは『美人妻の憂鬱』です。『浮気』と言うと、やはり本人は異性にモテるというイメージがあって、容姿についても惹きつけるものがあった方が、そう言った流れを作ってしまい易いと思うのです。そして疑惑についても、例えば美人妻を持つ夫は、何もなくても余計に多く持つ事になるのではないかと思います。

しかし、これらの『疑惑』は、持たれる方にとって迷惑な事で、『憂鬱』になる時もあるのかもしれません。

 

 

 

POINT2:書き出し

 

新婚生活真っ只中の二人は、互いの事をとても愛し合い、幸せな日々を過ごしていた。

 夫は真面目で地味な性格、あまり女性にもてるタイプではない。一方の妻は美人で、明るく社交的な性格は周りの人々、特に男性達にはとても人気があった。

「奥さん綺麗でいいよな」

 友人は決まってそう言うが、その言葉は夫をとても不安にさせた。

 街に出ると、すれ違う男達が振り返って妻を見る。それを感じて妻は軽い笑みを浮かべる。

「大丈夫、浮気なんてしないわよ」

 不安げな表情の夫を気遣って妻はそう言うが、それを鎮める効果は無かった。

 

書き出しで、登場人物の位置関係を明かにするのは勿論ですが、早い段階で性格なども明かにした方が良いでしょう。この段階で細かい部分には触れていませんが、性格的には夫が『陰』で妻が『陽』と言う事が大体わかる様にしています。実はこれも伏線です。『陰』である夫が妻に対して『疑念』を持ち始めるた場合、しばらくそれに執着してしまうのではないかと言う事は、比較的簡単に想像できる流れですよね。

 

 

 

POINT3:ユーモア

 

小説内におけるユーモアの構造として『対比』も定番の方法です。今回で言うならば、夫婦の性格の対比。『心配性』の夫に対し少々『無神経』とも思える妻の行動。本来なら妻は夫の性格を考えると、疑惑を持たれる様な行動を控えるべきなのですが、結構自由に行動します。これは妻の性格もあるのですが、それ以上に『浮気をしていない』と言う『絶対的』な自信があるからです。勿論、これもオチに対する『伏線の一種』ですね。

 

 

 

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POINT4:前半のストーリー

 

新婚の夫は、美人妻と結婚したのは良かったが、その反面、周囲の妻に対する色目が気になって仕方がなかった。

 

一方の妻も、夫以外の男性と一緒に居る様な場面が時々あって、夫の心配を更に深いものにしていた。

 

 

 

POINT5:展開〜オチ

 

そんな夫婦の間にもやがて子供が生まれたが、顔が夫に似ておらず、妻にはもっと似ていなかった。

 

妻は夫と出会う以前に整形しており、生まれた子供は、整形前の妻にそっくりだった。

 

 


総合的なポイント

 

物語は基本的に夫婦のやり取りで進行していきます。その中に他人のエピソードを含めながら展開させていく訳です。基本的に、登場人物二人のやりとりで進行させる場合は、『転句』に向かって徐々に話を盛り上げる必要があります。

今回の物語の場合であれば、夫の妻に対する浮気の疑念を『軽い疑い』から『確信』まで持っていく事で、オチの効果が最大限に引き出される訳ですね。

 

 

 

コラム/起承転結のセオリー(前編)

 

小説を書く上での構成として、通常は起承転結を考えます。これを簡単に言えば、『物事が起こり、それを受け継いだ流れがあって、新たな展開で物語に変化が起こり、そして結末を迎える』と、なる訳ですが、あまり物語を作った事のない方には、実際どのように書けば良いのか、分かりにくい様です。

実際の作品を使って、そのあたりの詳しい説明を、次回コラム/起承転結のセオリー(後編)にてしたいと思います。

 

 

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

 

 

 

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(小説の書き方の基本を公開)コラム/テーマからの発想方法(後編)

コラム/テーマからの発想方法(後編)

 

テーマを設けて小説を書く場合、それに関するキーワードやストーリー展開などを考え、徐々に物語は完成してゆきます。今回は、実際にテーマを元に創作をした作品を、完成作と共にご紹介しながら解説したいと思います。 

記事に関するオススメ書籍はこちら↓↓↓

(小説・ショートショートの書き方)厳選・オススメ本はこれ!(その❶) - R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

 

【CONTENTS】

 

 


超予測変換

 

ショートショート『超予測変換』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

【テーマ:五〇四号室】

【キー】マンション、アパート、ホテル、部屋番号

 

【発想の出発点】

なかなか難しいテーマでしたね。私が出したキーワードは、全てマンションだとかの『部屋番号』みたいなのです。テーマがテーマだけに、それが自然だと言えばそうなのですが、もっと捻りを効かせたかったと言うのが本音です。

そして、少しだけ捻った結果ですが、小説の世界と現実のリンク。

 


【展開】

 ●部屋番号と小説のリンク

(リンクの道具は何か?)

スマホのアプリ


(どんなアプリか?)

→自動で文字変換をして小説をアシスト

 

(部屋番号の設定方法)

→今回の課題を小説世界に流用

 

 

【基本的な流れ】

❶主人公が話題になっている自動変換アプリを使おうと考える

❷五〇四号室と言うタイトルで主人公が小説を書き始める

❸作中に強盗の容疑者が逃走中との内容

❹主人公の居る世界を少しずつ作中に盛り込む

❺オチの直前には小説世界と現実がリンクしている事を示す

❻ラストまでは極力短く、結果を書く

 


【ポイント】

テーマからの発想が限定さてれいたので、何か別の要素が必要だと思いました。そこに加えたのがアプリです。

アプリのような素材は、使い勝手が良くとても便利です。しかし、ネタの方向性が平凡になりがちなので注意が必要です。

小説である以上、作者が結末に向かって物語を進めていく訳ですが、やはりそこは物語として、いわゆるご都合主義的な部分を排除しなければなりません。そこで今回は、変換候補を利用しました。

候補の中から主人公はある言葉を選ぶ訳ですが、この候補自体は自動で用意されたものです。こうする事で、物語が自然に進行するような流れになる訳ですね。

 

 

 

虹色

 

ショートショート『虹色はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

【テーマ:弾ける】

【キー】シャボン玉、破裂、気持ちの上での弾ける

 

【発想の出発点】

当初は気分が弾けるような、明るいお話を考えたのですが、やはりシャボン玉が弾けるような、そちらのイメージが強くなったので、その方向で考える事にしました。

 

  

【展開】

・シャボン玉と写真を結びつける

(何故シャボン玉が弾けるのか?)

→時間が経って自然に弾ける


(時間が経つ理由は?)

→シャボン玉を使った撮影が困難なため


(写真撮影時の環境設定)

→元恋人との撮影と、二人の物語

 

 

【基本的な流れ】

❶主人公はシャボン玉を使った写真の撮影をしたいと考える

❷撮影にはモデルが必要になるが、その相手に元恋人を選ぶ

❸撮影を進める中で、お互いにまだ書いているの思いがある事に気付き、もう一度会いたいと思う

 

 

【ポイント】

 今回の話のスタート地点は、シャボン玉を使った撮影なのですが、それを通じてどのように二人の気持ちがすれ違ったのか、そして、どうやって再燃するのか。その辺をポイントとして書いてみました。ラストは、やはりシャボン玉を使いました。

ショートショートの定番として、アイテムはスタートとラストの二回に登場させる事です。そして多くの場合、スタートに登場したものは、ラストの伏線の役割となっています。



 

 

 

 

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シリーズ第二弾
シリーズ第三弾

 

GIFT

 

ショートショート『GIFT』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【テーマ:贈り物】

【キー】プレゼント、贈答品、お中元、お歳暮、宅配便

 

【発想の出発点】

今回のテーマもストレートに考えると、かなり発想が限定されてしまいます。実際のところ、私も贈り物と言うところから発想が展開できず、今回はその流れで創作し始めました。

 

 

【展開】

●贈り物は通常喜ばれるものだが、それをマイナスのもので創作したい。

(マイナスの要素とは何か?)

→女性からの夫あての贈り物

 

(なぜマイナスなのか?)

→女性と夫の不倫の疑い


(その他の夫婦間の問題)

→夫との関係に不安を感じる妻は、自分の気持ちが離れていく事を常に感じていた

 

(夫側の問題)

→妻の気持ちを察していた夫は、贈り物を使って関係を修復しようと考える

 

 

【基本的な流れ】

❶夫の知人の女性から、自宅に贈り物が届く

❷贈り物が夫宛で、しかもそれが誕生日のプレゼントだとわかる

❸夫に対する気持ちの離れていた妻であったが、愛人とおぼしき女性の出現によって、嫉妬心から夫への愛情が再燃する

❹贈り物は、妻との関係を修復したいと思った夫が、知人女性と協力して仕掛けたものだった

 

 

【ポイント】

倦怠期を迎えた夫婦が、離婚を考えてしまう場合の感情の流れ。そして疑惑が生じるためのきっかけなど、現実的に起こりそうな流れを重点的に考えました。

また、嫉妬心から女性の心理がどのように変化していくのか、と言う部分についても、出来る限りリアリティーを追求しました。



 

そして最後に

小説のテーマは、先に設けず書く事も出来ます。特にショートショート作品は、何らかのキーワードなどから書く事も難しくないのですが、新しい発想を生み出すには、先ずテーマを設けて多少の書きにくさなどもあった方が良い場合もあります。テーマは自分で設けず他人から与えられた方が、創作が困難になるケースも多く、書く為の訓練と言う意味ではその方が向いているでしょうし、ご自身で設けるのなら思考とは全く無関係なところからテーマを見つけられる方法をとるのが良いと思います。

 

 
次回は、ショートショート『美人妻の憂鬱』の創作プロセス公開です。

 

 

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(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/落とし物の使い方、コラム/テーマからの発想方法(前編)

今回の作品/落とし物の使い方

 

給料日前、財布の中身が乏しかった男が何気なく路地に入ると路上に銀行の物と思しき封筒が落ちていた。幸いあたりに人影はなく、そのまま封筒を拾って中を確認すると、そこには現金が入っていたのだが……。 

ショートショート『落とし物の使い方』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 


今回のテーマは『落とし物』です。

『落とし物』と言えば、私が最近見た物ではハンカチや手帳、スマホのヘッドホンなどなどですね。財布などは、置き忘れた『忘れ物』の方が多く、コンビニで二回ほどレジに届けた事があります。

ショートショートのネタ的には、やはり『お金』あたりの方が展開がし易く、今回はその流れなのですが、あり得ない様な『落とし物』で考えると面白い物語が出来そうですね。

 

 


発想からのキーワード選出

 


ハンカチ、財布、現金、印鑑、届出、拝借

 

 

 

POINT1:タイトル

 


タイトルは『落とし物の使い方』です。

読者の方が小説を読む時、通常最初に目にするのが『タイトル』ですよね。『落とし物』と来た後に『使い方』となっていた場合、『ああ、拝借しちゃうんだ』ってなると思う訳です。

 

 

 

POINT2:書き出し

 


 男はその日、自分が路地に入った事をとても幸運だと思った。それは給料日を数日先に控えた日曜日、パチンコに負けた午後の事だった。

 路地には何気なく入った。繁華街を少しだけ離れた場所だったが、そこは驚くほど人通りが少なかった。

 路地に入ってすぐさま目に入ったのは、見覚えのある薄い緑色の封筒だった。それが銀行の物であるとすぐに分かったが、中身が入っている筈など無かった。

 

今回の書き出しは、あえて緩やかな展開にしてあります。これは構成上の問題なのですが、既にオチを知っている方はお分かりかと思いますが、かなり後半まで『ミスリード』が続きます。

主人公の男が遭遇した出来事について、徐々に、そして緩やかに展開してゆく様子は、あたかもこの流れの中に、何かしらの事件が起こりそうな雰囲気ですよね? そうです、狙いはそこにあるのです。読者の方に何かしらの期待を持たせつつ、『転句』を迎えて、ガラっと違う『オチ』へと繋ぐ訳ですね。


POINT3:ユーモア

 


給料日まであと三日。財布の中身は随分と寂しくなっていた。月の前半での無駄遣いが後々まで響き、ちょうど今日あたりに妻に前借りを打診してみるつもりだった。

『思わぬ臨時収入だな』と、男は思った。

 男はすっかり気が大きくなり、そのままパチンコ台の前に座った。自分の金では無いと言う意識が強かった為か、いつもより早いペースで金が吸い込まれていった。

 

思わぬ臨時収入があった時、どうも財布の紐が緩みがちです。前借りまで考えていたにも関わらず、たまたま入ったパチンコ店で、そのまま打ち始める。男の単純な行動パターンを表現しました。

 

 

POINT4:前半のストーリー

 

パチンコに負けた主人公が何気なく路地に入ると、道に銀行の封筒の様な物が落ちていた。

 

辺りに人の気配が無かったので、その封筒を拾って中身を確認すると、三万円入っていた。

 

 

 

POINT5:展開〜オチ

 

封筒の中身を確認したのがパチンコ店だったので、そのまま台に座ったが、直ぐに一万円を使ってしまったので、後は有効に使おうと、食事をした後ATMに向かい、貯金する事にした。

 

主人公の行動をずっと監視していた二人組の男達が、実は現金入りの封筒を用意した張本人で、現金は偽造紙幣だったので、その精度を確認する為の仕掛けだった。

 

 


総合的なポイント

 


今回の作品は、ミスリードが特に有効な作品です。最終的なオチは、主人公の本来の行動とは無関係なものです。

前半部分で、主人公が遭遇した状況に、いかに集中して読者の方に読んでいただくかと言うのが大きなポイントになります。そこから一気にオチへと進む訳ですね。

 

 

 

コラム/テーマからの発想方法(前編)

 

かつて、ショートショートを投稿サイトに送っていた時は、先ず『テーマ』がありきでの創作でした。現在は自分でテーマを設けてからの創作というスタイルに変えています。

以前の『人から与えられたテーマ』は、時に困難で、随分とアイデアを絞り出した事もあったものです。しかし、発想にはこの様な環境の方が刺激があって、新しい物を生み出すには向いているのかもしれません。

自分でテーマを考えると、どうしても都合の良い方向に向かってしまいそうなので、極力自分の思考とは無関係の物からテーマを探し出せる様、色々と工夫しながら執筆に取り組んでいます。

 更に詳しい内容については、次回のテーマからの発想方法(後編)にてお話ししたいと思います。

 

 

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(小説・ショートショートのタイトルの付け方)コラム/タイトルの付け方(後編)

コラム/タイトルの付け方(後編)

 


小説に付ける『タイトル』は、とても重要なものです。それは間違いなく『作品の一部』ですし、特に文字数の少ないショートショートにおいては、更に比重が重くなります。私は『作品の一部』と言う表現が、『タイトル』を表すのに最も適していると思います。何故なら、どこまで書くかのさじ加減が必要で、実は難しい部分があるからなのです。

【ご注意!】

以降の解説には『オチ』の『ネタバレ』を含んだ箇所があります。まだ作品を読んでいない方、本来のショートショートとして楽しみたい方は、先にリンク先『全文』をお読みになられる事を、お勧めします。

 

【CONTENTS】

 

 

 

ANSWER

 

ショートショートANSWER』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【オチを含んだ物語の内容】

主人公のアキコは、五十歳の女性です。十年以上連れ添った夫と、半年前に離婚しました。夫の浮気が原因だったのですが、何も無ければ離婚の意思もなく、夫に依存していた部分があった為、その後の自立が上手くいっていなかったのです。

ストレスから離婚後に喫煙も始め、挙げ句の果てに『万引き』にまで手を染めます。

どちらも自分で断ち切れない。いつか『誰かに止めて欲しい』と言う思いが心の中にあり、そこに現れたのが小学生の男の子でした。

男の子はアキコの心中など知る由もなく、単に遊び相手として『クイズ』を出しただけだったのですが、そこには『喫煙』をとがめる部分があって、アキコはそれを『万引き』の事と勘違いします。

しかし、これが自分のいけない行為を『止めてくれる』きっかけなのだと感じ、それらを断ち切って『自立』する決意をする訳です。


【タイトルの狙い】

『ANSWER』は、ストレートに『答え』の意味ですが、作中の意味は大きく二つあります。

❶小学生の男の子が出したクイズの答え

❷主人公が今後歩むべき人生の答え


何度かこのブログでも書いた事があるのですが、タイトルに複数の意味を持たせる事はとても有効な方法です。

同じ言葉で二つの意味を持ち、作品全体を表す『ANSWER』をタイトルとしました。

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
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シリーズ第二弾と第三弾であるVol.2、Vol.3は、Vol.1で作り上げた『作家脳』を更に『鍛え』、その作家脳を『持続させる』為の方法です。
様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾

シリーズ第三弾

 

 

アイちゃん

ショートショート『アイちゃん』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

  

【オチを含んだ物語の内容】

主人公のアイちゃんは、展示会などのイベントで、お客さんにパンフレットを配ったりするコンパニオンのような仕事をしています。

名刺をもらった場合はすぐにそれをスキャンして顧客データと照合し、渡すべきパンフレットも選別したりと、真面目な仕事ぶりです。

しかし、この『アイちゃん』。実は『AIロボット』なのです。正確には、『人型パンフレット配布ロボット』で、この会社は自社の製品である『アイちゃん』をPR用に使っていた訳です。

しかし、イベント中の連続運転で、過去にはエラーが発生した事があり、今回はエンジニアがスタンバイした状態での参加となった訳です。

そして、エラーからの復旧時は、その動作確認として正式言葉で呼びかけるのですが、これに対する反応が正常でないと精密検査となってしまうため、アイちゃんはそれを避けようとするのです。

『愛称』と『正式型番』。優秀なロボットなら、当然識別できる筈なのですが、それを人間のように勘違いしてしまう、と言うのは『ユーモア』なのであります。

 

【タイトルの狙い】

 『AI』に関係する物語で、作中に『アイ』と言う言葉が含まれていると、それを連想される方もいるかもしれません。推理小説などでは、真犯人を物語のかなり後半から登場させるのは、一般的にルール違反とされています。

ショートショート』における『オチ』に対する『伏線』も同じ事が言えます。アイちゃんが『人間』であるかの様な物語の運びは、もちろんミスリードです。四号機であるアイちゃんまで、一号機から一貫して『同じ愛称』を付けたり、自社製品を酷使する、この会社の社長に対するアイちゃんの静かな不満も、作中とタイトルに込めています。

一見するとシンプルなタイトルに見えますが、実は多くの意味を含んでいるのです。

 『AI』『愛称』、そして主人公アイちゃんが日頃から気にしている『アイちゃん』。それらの事から、このタイトルを付けました。

 

『タイトル』をヒントに創作開始!ショートショート作家が創作手順を『全公開』‼

 

カメラがある時

ショートショート『カメラがある時』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 

【オチを含んだ物語の内容】

物語は最初から最後まで、主人公の男の『語り』のみで構成されています。男の年齢層は具体的には書いていませんが、カメラについての古い知識があるのでそれなりの年齢の男性と言うことになります。

そして、男の話を聞いている相手については、年齢も性別も特に明らかにしていません。これには一つの狙いがあって、読者の方が、例えば知人や有名人の誰かを想定したり、あるいはご自身がその相手であったり、あえて自由な読み方をしていただけるようにしてあります。

この手法なのですが、この物語の『オチ』が『怖い話』であった場合、実は読者の方は知らず知らずに、話を聞いている相手が『最も恐怖感を感じる人』を想定してしまっているのです。『怪談』を聞いている時など、実は皆さん『怖がりたい』と思っているんですよね。


主人公の男がこの地域で過去に起きた殺人事件について、相手の人に向けて色々と語り続けます。犯人は捕まらず事件は迷宮入りとなり、時効を迎えた訳ですが、その男曰く、事件当日にカメラがあり、目撃者が写真を撮るなど、しっかりとした証拠をつかんでいれば、犯人は捕まったのではないかと言う趣旨の事を話します。そして、話が進むにつれ、相手の人はその男が何故ここまで詳しいのかと、疑問を持ち始めます。そこで男が言います。『犯人は、この私なんです』と。

 


【タイトルの狙い】

この物語の恐怖は、殺人事件について延々と語っていた男が実は犯人であった、と言うだけではなく、既に時効迎えているからと、人を殺した男が『今日はカメラがあるので』と、「一緒に記念写真を撮りませんか?』と言い出す部分です。殺人犯と隣り合わせの恐怖。これは実感しないとわかりにくいかもしれませんが、実は私はあるのです。

詳細については書けませんが、仕事の用事で私はある方と部屋で二人きりになり、約一時間そこに居ました。何事もなく会社に戻ったのですが、そしてそれから半年後にその方はニュースで『殺人犯』として報道されていたのです。

その方と私が二人きりで会っていた時の用事と言うのは、会社に対するその方からの『クレーム処理』だったのです。対応次第で、ひょっとしたら私も危険な目にあっていたかもしれないんですよね……。

 『オチ』が明らかになった後、なお恐怖感を強める効果、そしてカメラの様な確実な証拠を残せる物が無く、時効によって罪から逃れた犯人は、現在皮肉にもカメラを所有している。これらの事から『カメラがある時』をタイトルとしました。

 

 

そして最後に

 

『タイトル』はとても大事でよく考えて付けるべきなのですが、あくまで『作品の一部』であると言う事を意識された方が良いと思います。あまりに表現する幅を広くし過ぎると、特に『ショートショート』の場合は『ネタバレ』にもなりませません。全体を表現しつつ、適度なラインを保つのが良いと思います。

 


次回は、ショートショート『落とし物の使い方』の創作プロセス公開です。

 

 

 

 

 

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(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/優秀な新人、コラム/タイトルの付け方(前編)

今回の作品/優秀な新人

 

新人社員の研修担当だった主人公は、久々に手ごたえを感じた。中途採用の新人が、とても優秀だったのだ。出来るが故に湧き上がる『欲』。もっと成長して欲しいと願う先にあったものは……。

ショートショート『優秀な新人』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 
今回のテーマは『新人』です。新人と言えば、フレッシュで爽やかな印象です。特にそれが新入社員だった場合、どんな仕事も初めての事が多く、長年勤めた人達よりも何かに気付くタイミングが多かったりします。そして先輩達は、改めて『初心』の大事さを感じたりするんですよね。

 

  


発想からのキーワード選出

 
新入社員、フレッシュ、気付き、初心

 

 

 

POINT1:タイトル

 
タイトルは『優秀な新人』です。

既にオチを知っている方は、このタイトルが少し皮肉ったものであると、気付かれた事でしょう。この様にタイトルをつける際の手法として、同じ言葉を使って二つの意味を持たせるのは、よくある事です。そして多くの場合、それは物語の書き出しからスタートしていた意味が、オチの間近まで引っ張られて、最後に別の意味へと変わる。このパターンが定番でしょう。

 

 

 

POINT2:書き出し

 
ーそれにしても、今年の新人は優秀だなー

 新人社員の研修を進めていたナカニシは思った。自分との年齢差が開くほど、やりにくさを感じていた研修だったが、今回は少し事情が違っていた。期待できる新人がやって来たのだ。 


ここまでの段階で、主人公の立場や周辺の環境、その辺りが明らかになります。そして、これまでの簡単な経緯と主人公の心情など、可能な限り情報を明らかにします。

 

 

POINT3:ユーモア 

 

今回は作中に、あまりユーモア的な要素は入れていません。これはオチにも関係があるのですが、製造会社での真面目なやり取りの中に起きてくる問題。これが作品の主題である為、こういう流れにしました。

 

 

 

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POINT4:前半のストーリー

 


製造会社で新入社員の研修を担当していた主人公は、久々に手ごたえのある新人が入社して来たので、その事をとても喜んでいた。

 

  

新人は順調に成長していたが、それが優秀なだけに欲が生まれ、主人公は更なるステップアップを望むようになっていった。

 

 

  

POINT5:展開〜オチ

 


主人公は指導目的で、新人が居る検査工程に不良品を混入させ、それを発見出来るか試したが、結果それを見逃していた。

 



主人公が指導目的で、不良品を混入させたと言うのは口実で、上手く製品を抜き取ってネット販売するのが目的だった。優秀な新人はそれに気付き、工場長に報告する。

 


総合的なポイント 


今回の作品は、いかに上手くミスリードしながら、オチに向かうかがポイントです。主人公と新人は、あくまで真面目なやりとりを続け、新人の教育現場を描き続けます。そして急な展開。ギリギリまで主人公の視点で書き進めたのは、その効果にも関係するものです。

 

 

 

コラム/タイトルの付け方

 

小説に限らず、タイトルを必要とする文章は、それがとても大事です。

私が電子書籍を出版する以前に、いくつかの文芸誌に応募した事があったのですが、初めて雑誌に掲載された入選作のタイトルを、審査員の作家さんにとても褒めていただき、以降の作品もタイトルをとても意識して書くようになりました。

『タイトルが浮かばない』『無題にした』との話を耳にする事があります。『浮かばない』場合は、作品を読み返して『テーマ』や『伝えたかった事』などを、もう一度考えられた方が良いでしょう。

そして『無題』ですが、特殊な作品に対し『無題』という名のタイトルがベストだったと言う場合であれば、それもありかと思います。

 これまで私がブログ上で発表した作品の中で、特にタイトルに特徴のあったものについて、次回『タイトルの付け方』(後編)にてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

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(小説の書き方の基本を公開)コラム/作家を目指す方へ(後編)

コラム/作家を目指す方へ

 

『作家』を目指す事は、何も悪い事ではないと思います。デビュー時期についても『遅咲き』の方が、他の分野と比べて割合が多い方だと思いますので、チャンスを掴める期間も長いのではないかと思います。

大事なのは『実生活に支障をきたす事が無い範囲での活動に留める』事だと思います。

そして、何処かの段階で『方向転換』を考える時、何を基準にどう判断するのか。

方向を決めるのは本人です。しかし、何かしらその判断を下すための基準のようなものが必要ではないかと思います。

私がこれまでの経験で得た事ついてお話しする事で、少しでも参考にしていただければと思います。

 

 

【CONTENTS】

 

 


作家に必要な才能を把握する

 

『書く事』や『読む事』が好きだと言うのは、作家としてあった方が良いのですが、これは一般の方の趣味などの範囲と同様に考えた方が無難でしょう。

例えば現在、ご自身が何かの職に就いていた場合、先述の様な事が当てはまるでしょうか? 少なくとも私の場合、好きな事と得意な事は同じでありませんでした。

分かり易い例として『読む』ですが、作家としての『読む』は『書く』為の研究であり、通常の『読者』としてのそれとは全く別物なのです。

私は特に気になった本を二回読む事にしています。まず一回目は、普通の読者として、楽しめたところや少し気になった事など、そのあたりを中心に読みます。

二回目は作家として『設定』『構成』『セリフ』『キャラクター』などをチェックしながら読む訳です。

読み返しも多くなり、かなりの時間を要しますので、とても作品を楽しむ事など出来ません。

私の経験上、これは必要だと思う事をまとめた記事があります。

関連記事はこちら↓↓↓ 

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 


どこまで頑張るのかを把握する

 

『作家として何が必要か』という事に対して、今後習得すべき目標を立てる場合、先ずはご自身の立ち位置を把握する必要があると思います。

ある項目に対して、あと少しで到達出来るのか、或いは死ぬ気で努力が必要なのか。最も大事なのは、足りない部分を埋める事が『出来る』か『否』かだと思うのです。

極論を言えば、どちらのタイプの人も到達は可能なのです。足りない部分をちゃんと補う事が出来れば良いのです。

ただし、全ての人に言える事は、使える時間はそれぞれで、なおかつ限りがあると言う事です。この時間の配分こそが、実生活に支障をきたすかどうかの判断基準だと思います。

関連記事はこちら↓↓↓ 

rhirasawanb.hatenablog.com

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出版について把握する

 

原稿は多少手直しがあっても、先ず書いた物がなければいけません。どれだけ技術があっても、書けなければ始まらないのです。こんな事は当たり前だと思われるかもしれませんが、実は作家志望の方に多く見られるのが、この『書けない』人達なのです。

作品に強いこだわりがあったり、書きたいものしか書かない。私は『売れるを作品書いて下さい』などと言う気はないので、それで良いと思います。

私はネット上の、出版権をかけたショートショートコンテストで最優秀賞を逃したのですが、その後出版社に原稿を送り続けて、電子書籍を商業出版する事が出来ました。

その後は、出版社の依頼でコラムを書いたり、編集担当の方から紙媒体の新刊へのトライアルなど、チャンスがあったのに上手くいきませんでした。

どの様な作品を書かれるのかは、個人の自由だと思いますが、『作家』を目指す以上『出版』について知って頂いている方が良いでしょう。

関連記事はこちら↓↓↓  

rhirasawanb.hatenablog.com

 

 

そして最後に

 

『作家』と呼べる線引きは色々ありますが、私は最低限『商業出版』としての出版物を出すラインのクリアは必須だと思います。『自費』や『共同(協力)』も出版ですが、『商業出版』は一般的に出版社が費用の全額を負担するので、基準とされるセールスの見込みが必要となり、一定基準の審査をクリアしなければなりません。

書きたいものを書き、いつの日かそれが認められるとの思いで進められるのも結構ですし、その日が来る場合もあるでしょう。ただし、その方法を選ばれるのであれば、それなりの余裕と覚悟が必要になりますので、どうか慎重にご判断願います。

 

 

 


次回は、ショートショート『優秀な新人』の創作プロセス公開です。

 

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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