ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(小説・ショートショートの書き方ブログ)今回の作品/ごくありふれた殺人

今回の作品/ごくありふれた殺人

 

 

電車で同僚と家路につく中、何気なく見たネットニュース。それはよく見かける殺人事件で、情報が氾濫する中では『ごくありふれたニュース』に過ぎなかったが……。


ショートショート『ごくありふれた殺人』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


【CONTENTS】

 

 


テーマからの発想

 

テーマは『ネットニュース』です。

物騒なお話ですが、最近は本当に『事件』が多いですね。確かに報道されていない事も沢山あるんでしょうけど、昔よりも『怖い事件』が増えている様に思います。ですから『続報』も、一体どの事件の話なんだろうと思ってしまう事もあって、アイデア起点はその辺りですね。

 

 

 発想からのキーワード選出

 

事件、報道、溢れる、紛れる、凶悪事件

 

 

 

POINT1:タイトル

 

タイトルは、『ごくありふれた殺人』です。少々問題のあるタイトルなのですが、あくまで作品内の流れやオチ、そして登場人物の心情など、総合的に考えた時、やはりこのタイトルになりました。

 

 

 

POINT2:書き出し

 

 スマートフォンの検索サイトを開くと、自動的に流れるネットニュース。ワタナベが何気なく読んでいた記事を、会社の同僚であるコジマが横からすうっと覗き込んで来た。

「どうした? 何か面白いニュース?」

「いいや、よくある事件だよ。マンションの部屋の中で人が殺されていたのを、会社の人が訪ねてきて見つけたってやつ」

「ああ、よくあるね。だから、どれがどの事件の事だか、後で聞いても分からない時があるよ」

「そうなんだ。最近は殺人事件が多すぎるから……」

 

今回は、少しスローな展開にしています。既に作品を読まれた方はお分かりだと思いますが、この物語は基本的に登場人物二人の会話で進行します。一応の場面転換はありますが、主として二人のやり取りになっています。そして、その会話の中で主人公の心情に、少しずつ込み上げて来るものがあって、今回はそれがキーになっているのです。

復習を企てた犯人が、怒りを増幅させるものは何か? それは、遺族にとってとても大事だった人の命を軽視された時だと、私は考えました。犯人は自ら触れ出した『ネットニュース』の話題の中で、徐々に怒りを増幅させ、やがて犯行を決意するのです。

 

 

 

POINT3:ユーモア

 

「あれ? どうしたんだい?」

 いつもと違うコジマの行動に、ワタナベが尋ねる。

「今日はこっちに用があるんだ」

「へえ、そうなの?」

「買いたい物があってね」

 コジマが名を挙げたコンビニは、北側には無かった。今日はそこで限定スイーツを買うそうだ。

「男なのに『スイーツ』かよ」

「ああ……」


男性が『スイーツ』を買ってはいけない訳ではありませんが、やはりイメージ的には女性の方が似合いますよね。そして、ここで一瞬ユーモア的な内容が盛り込まれた様な形になりますが、実際には『オチ』に向かっての『ミスリード』であり、最終的な効果を増幅させる為の『仕掛け』なのです。

犯行を決意した時の、最後の一押し。それは被害者である『妹の思い出』でした。そうです。妹の『無念』と共、『二人の気持ち』で犯行に及んだのです。妹がそれを望んだかどうかは、分かりません。しかし、少なくとも残された『兄』は、そう思っていたのです。

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
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シリーズ第二弾と第三弾であるVol.2、Vol.3は、Vol.1で作り上げた『作家脳』を更に『鍛え』、その作家脳を『持続させる』為の方法です。
様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾

シリーズ第三弾

 

POINT4:前半のストーリー

 

電車で帰宅中の主人公が検索サイトを見ていると、一緒に乗っていた会社の同僚がそれを覗き込んで来て、よくあるネットニュースの話題になった。

 

ネットニュースを覗き込んで来た同僚は、よくありがちな記事について掘り下げて来た為、それが『殺人事件』の話題だったので、主人公は話を切り上げようと言う。

 

 

 

POINT5:展開〜オチ

 

電車は二人が普段降りている駅に着いた。駅から自宅まで、二人は反対方向に分かれて帰るのだが、何故か同僚は主人公と同じ方向に歩きだし、その理由を尋ねるとコンビニで『限定スイーツ』を買う為だと答えた。

 

同僚は妹が殺された未解決事件の遺族で、その犯人が主人公であった証拠を掴んだが、警察には届けず自らの手で復讐を実行した。

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

総合的なポイント

 

過去に何件も起こっている未解決事件。既に逮捕され、その逃亡の様子が明らかになった例もありますが、今も尚逃げ続けている犯人は居て、我々が暮らす平和な世界に紛れています。『犯人が隣に居るかもしれない』という事実は、現実世界での大きな恐怖だと思います。

小説を書くときの手法として、『ギャップ』はとても有効です。今回の様に『恐怖』を扱う場合には、そこに『平穏』をあてがう。つまり、直前の『スイーツ』がそれに当たる訳ですね。

 

 

 

コラム/理由のある動き(前編)


小説を書く場合、作品内で登場人物達には『動き』がある訳ですが、それは単に物語の流れ上である場合と、構成や展開の為に『理由』があって動きをつけている場合があります。その『理由』とは一体どんなものなのか。それは次回の『理由のある動き(後編)』にてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

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(『自動運転』がテーマの作品例)新作ショートショート(17)/安全装置

新作ショートショート(17)/テーマ(自動運転)

 

 

安全装置 

 


 例えば自動車がセンターラインを越えて対向車線にはみ出た場合、そこに相手の自動車があれば、それは正面衝突になる。その場合、双方の出していた速度が合計されるため、相当な衝撃が人体に加わる。事故の中でも正面衝突は死亡率が高い。

 各国の自動車メーカーも安全装置を装備した車種が増えており、衝突を避けるものや車間を一定以上保つものなど様々だった。そんな中、世界で最も安全性が高いと評される車種が登場した。それは、我らが日本のメーカーだった。

 そもそもこう言った装置は高級車から徐々に装備されてゆくが、今回は大衆車にも同時に装備されたので、その売れ行きは抜群だった。

 人は何を置いても、先ず一番に『健康』を手に入れなければならない。多くの財産や高い地位を手に入れても、健康を損ねたのでは元も子もないのである。ましてや命を落とそうものなら、全てがそこで終わってしまうのだ。

 男は『健康』だけが取り柄だった。『還暦』を前にして、多くの財産も高い地位も有していなかった。

 一年前、仕事中に事故を起こした。半月ほど入院したが、命に関わるほどではなかった。後遺症も無かったし、会社での席を空けてくれていたが、結局会社を辞める事にした。運転に対する恐怖心が出来たからである。

 男は全く運転できない訳ではなかった。幅の狭い道路などで対向車を近くに感じると、強い恐怖心が襲って来るのだ。

 これが休日ならば、経路を変えるなり、しばらく休むなりの対処法も考えられる。しかし、仕事で運転が業務に含まれているとなると、そうもいかないのである。優れた安全装置を装備した自動車の登場は、男が再びハンドルを握る大きなきっかけとなった。

 専門誌は皆、このシステムを絶賛していた。しかも価格は極限まで抑えられている。メーカー側の意図としては、高い安全性をアピールし、国内は勿論のこと、海外のユーザーを一気に獲得するのが目的の様で、安価な販売価格はこの車種限定だった。

 販売台数は大幅に記録を塗り替えた。それはメーカー側の想定を大きく上回り、購入者への納車を随分と遅らせる結果となった。

 納車予定日を一カ月ほど過ぎたある日、男の元にも優秀な安全装置を備えた自動車が届けられた。

 営業マンは簡単な操作説明の後、運転中の自動制御は勿論のこと、『キングコングでも開けれないドア』と『マンモスに踏まれても大丈夫なフレーム』と言うのが売りだとつまらない冗談を言ったが、とにかく全力でドライバーを守ってくれる自動車なのだそうだ。

 男は直ぐ車に乗ってみた。先ずは行き慣れた場所で、車の安全性を試そうと思ったのだ。最近凝り始めた『DIY』。マニアックな工具を手に入れたばかりで、更にレアなパーツを見に行こうと思ったのだ。

 車の操作は、なんら既存の車種と変わらない。特別な事をしなくても安全装置は正常に働くのだ。

 対向車が居ないのを確認した上で、故意にセンターラインをまたごうとしてみる。直ぐに車は軌道修正し、状況に応じて減速も勝手にやってくれる。正面に障害物がある場合は、ちゃんとその状況を把握して、安全な状態を保ちながらセンターラインをまたぐ様な操作も出来る。結果的には、優秀なドライバーがサポートしてくれていると言う、そんな環境なのである。

「素晴らしい!」

 男は思わず大きな声をあげた。そして、少しだけ開けていた窓を慌てて閉めた。

 一般道での安全性は見事なものだった。これなら安心して乗っていられる。調子づいた男は、更に別の場所を目指した。普段は近所のショッピングがメインなので、滅多に乗らない高速道路に乗ってみようと思ったのだ。

 男は『ETC』すら利用した事がない。スタートラインである高速の乗り口でさえも、戸惑っていたかもしれない。しかし、車の安全装置のアシスト範囲は広く、全てがスムーズに進んでいった。

 高速に乗ってからの車内は、実に快適だった。加速に減速、車線変更と、常にスムーズな動きだった。

 夢の様な時間を過ごす中、突如男は不安を感じた。バックミラーに映る外国製の高級スポーツカーが、物凄い勢いで迫って来たのである。

 スポーツカーは危険な車線変更を繰り返して、グングン距離を詰めて来る。真後ろに着いたかと思いきや、一気に男の車を追い抜き、その後も同様の行為を繰り返していた。

 次の瞬間だった。強引な追い越しをかけようとした時、スポーツカーの前方の車も同じ車線に移動したのだ。

 スポーツカーはすぐさま元の車線に戻ろうとしたが、そこに居た低速車に接触し、コントロールを失った。スピンし始めたスポーツカーに、後続車が次々と追突して、男の目前にあるのは車で出来た『恐怖の壁』だけであった。

「駄目だ……」

 男の口から声にならない『声』が漏れた。『避けれない』と思った。

 次の瞬間、強い衝撃と共に男の体は宙を舞った。車から投げ出されたのだ。僅か数秒である筈の空中での時間、男の頭の中に『スローモーション』で想いが巡る。

 何処が安全な車だ。キングコングでも開けれない筈のドアは簡単に開き、マンモスに踏まれても大丈夫だと言っていたフレームは、男を見放したではないか。

 男は『死』を覚悟した。そして同時に、この安全装置を信用した自分が馬鹿だったと思った。

 死の淵で思い出すのが、『あの営業マンの顔』。どこまでも不幸な人生だった。

 気付けば男は、高速道路の安全地帯あたりに居た。体には大きな布の様な物がまとわりついている。

 二十メートルほど後方に、男が乗っていた車が見えた。最初に事故を起こしたスポーツカーと、それに追突した数台と共に、黒煙をあげて激しく炎上しているのだ。

「そう言う事か……」

 男が布の様な物を引き寄せると、端の方に少し大きめのタグがあり、そこには注意書きがあった。

『脱出装置:万が一の事故の際は、この装置がお客様を安全な場所にお運びします』

 

 

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(小説・ショートショート書き方のコツ)コラム/物語のきっかけ(後編)

コラム/物語のきっかけ(後編)

 

小説を書くときに、『これを物語にしよう』と思う『きっかけ』。今回はこれまでブログで掲載したショートショート作品の『きっかけ』についてお話ししたいと思います。

 


【CONTENTS】

 

 

 

『GIFT』の場合

 

ショートショート『GIFT』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

とあるテレビ番組で、別れた相手からのプレゼントを『持っておく』か『捨てる』かと言う質問に対して『捨てる』と答えたのは圧倒的に女性の方が多かったのです。

これはあくまで、この番組の調査結果ですので、どちらが一般的なのか分かりませんが、これがこの物語のきっかけだったのです。

自分自身が持っておきたくない物を、パートナーが持っていたら? これは家庭内での『小さな事件』、もしかしたら『大きな事件』になるかもしれませんね。

 

 

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『マニュアル』の場合

 

ショートショート『マニュアル』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 


ある日、外国製の操作マニュアルを見ていたところ、日本製とは少し違った雰囲気があって、『まるでレシピだな』と思った事がきっかけです。

同時期にテーマが『レシピ』の作品を書いていた影響が大きいとは思いますが、ある物事について考えている最中に、全く別の事をやるのは、発想と言う観点から見れば良い事だと思います。ただ、メインの事が疎かにならない様、注意が必要ですけど。

 

 

 

kindle unlimited1日に1000頁以上読まれた人気の指南書です。

 

『新生物』の場合

 

ショートショート『新生物』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

職場に新入社員がやってきたのですが、中途採用で高学歴、私よりも一回り以上若く、頭の回転も随分早かったと思います。しかし、態度が大きく先輩達への礼儀を欠き、周囲からは敬遠される存在でした。常に自信を持って行動するのかと思いきや、どこか幼い部分があって、女性はどうやら苦手な様子でした。

人の中に存在する『ギャップ』。これは小説において、とても『ネタ』にしやすい要素です。特に構成的には『オチ』に直結させやすいので、普段の生活の中で色んなギャップを探してみるのもいいかもしれません。

 

 

 

『リポート』の場合

 

 ショートショート『リポート』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

 

人工知能を搭載したロボットなどが進化したとき、単にプログラムされた動作だけではなく、人間と同じ様に判断なども出来るのではないか、と言うのが思考の起点なのですが、例えばそれが何かしらのサービスに対する顧客を相手にした時、しかも契約解除などを持ち出して、本来なら答えられない様な質問をされた場合、どうなってしまうのだろう? これが今回の物語のきっかけなのです。

 

営業的な仕事についている場合、顧客同士が知り合いである場合もよくあって、それは一方からの紹介ではなく、偶然同じサービスを受けていて、互いにそれを知らない。そして、それを知っているのが営業マンだけというパターンもよくあって、こう言う情報は本来なら話してはいけない事なんですよね。

そして、何かのきっかけで一方がそれを知ってしまい、尚且つ強引な手段で更に情報を引き出そうとする。こんな時、ロボットは一体どうするんですかね? 私ならきっと『フリーズ』してしまうんでしょうね。

 

 

 

そして最後に

 

今回は『発想』ではなく『きっかけ』だったですが、この二つは実は別物で、『発想』を書く為の『思い付き』要は『アイデア』であったとするならば、『きっかけ』は書く為の『動機』とでも言った方がいいかもしれません。『これを物語にしよう』って、そういう事なんですよね。

日常生活の中で、何気なく見ている光景の中にも色んな『きっかけ』が隠れている筈です。後はそれを見た時に、『ああこれだ!』と常に思えるようアンテナを張り巡らせる事が大事なんですよね。

 

 

 次回は、ショートショート『ごくありふれた殺人』の創作プロセス公開です。

 

 

 

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(小説・ショートショートの書き方ブログ)今回の作品/奇病

今回の作品/奇病(テーマ/デキモノ)

 

出勤前に主人公がシャワーを浴びていると、後頭部に『デキモノ』がある事に気付く。良く調べてみるとそれは『口』で、しばらく何の問題もなく日常生活を続けられたが、ある時『後頭部の口』は、厄介な事を引き起こす事実に直面するが……。


ショートショート『奇病』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com


【CONTENTS】

 

 

 

テーマからの発想

 

今回のテーマは『デキモノ』です。『デキモノ』と言えば、昔話では『こぶとりじいさん』の『こぶ』あたりなのですが、人に出来てしまった物が何か良くない事を起こす。シンプルに考えれば、そのあたりでしょうか。

余談ですが『こぶとり』って普通に入力してゆくと、『小太り』って候補が先に出て来て、こういう時ってアイデアが浮かぶチャンスだと、私はよく思います。

 

 

 

発想からのキーワード選出

 

デキモノ、異物、こぶ、奇病

 

 

 

POINT1:タイトル

 

タイトルは『奇病』です。今回は、まさに正体不明の病気なのですね。そして、そこから色んな物語が始まる訳ですが、最初の『掴み』として先ずは『なんだろう?』と読者の方に思ってもらうのが大事なんですね。だから今回は特に具体性を持たせない漠然としたタイトルにしているのです。

 

 

 

POINT2:書き出し

 

 仕事に向かう一時間前、いつもの様に同じメロディがスマホから流れる。マサオはそれを聞きながら、ウトウトと二回目のメロディを待つ。五分後にセットしてあるのは、さっきよりもアップテンポな曲で、これが聞こえたら飛び起きるのがいつもの習慣だった。

 普段はシャワーを浴びてから、軽めの朝食をとるのだが、そのルーティンが乱れたのはシャワーの時だった。

ー後頭部に何かあるー

 少し大きなデキモノの様だが、特に痛みは感じない。とりあえずシャワーを済ませ、鏡でそれを確認する。

 

今回の物語は、特に現実ではあり得ない設定の為、書き出しを長めにとっています。こうする事で、先ずは読者の方に物語の世界に入ってもらう訳ですね。その先は徐々に展開を早める事でバランスを調整しています。

 

 


POINT3:ユーモア

 

 ところが数日後、『後ろの口』がある事をするのが分かった。マサオが悪い事を言おうとすると、『後ろの口』が勝手に喋り始め、その場を丸く収めてしまうのだ。

 最近、ネットで注文した商品に欠陥があって、電話で少し文句を言ってやろうと意気込んでいたのに、まるでこちらが営業マンであるかの如く、実にソフトなやり取りで終わってしまった。全くスッキリした気分にならなかった。

 交換商品は直ぐに届き、ちょっとしたサービス品まで添えられていた。結果的には良かった訳だ。


通常、普段では考えられない様な事が起こると、それは災いの原因になりがちです。しかし、ここでは何も起こらないどころか、むしろ良い方に転じています。『起句』から『承句』への流れで『何も起こらない』から『いい事が起きる』としていますが、これは勿論『オチ』に向かう為の『ミスリード』なのですね。

 

 

 

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シリーズ第二弾
シリーズ第三弾

 

POINT4:前半のストーリー

 

主人公が出勤前の朝にシャワーを浴びていると、後頭部に『口』の様な『デキモノ』があるのに気付いた。

 

病院に行くにも何科に行けばいいのか分からず、結局普段通りの生活を続けて様子をみることにした。

 

 

 

POINT5:展開〜オチ

 

ある日、ネット注文した商品に間違いがありクレームを言おうとしたところ、後頭部の口が代わりに話し出して、その場を丸くおさめてしまう事が分かった。

しかし、この事実は主人公にとって問題があった。現在付き合っている彼女に、近々別れ話をしようと思っていたからだ。

 

開き直って彼女に電話で別れ話を切り出そうとすると、案の定『後頭部の口』が丸くおさめる様な話をしてしまい、それに対する彼女の反応が良かった為に主人公は別れ話について考え直そうとする。実は彼女も同じ『奇病』で、良かった反応とは全て『後頭部の口』の仕業だった。

 

 

 

総合的なポイント

 

先ずは『非現実』な世界から入った物語は、その中ではそれが『普通』である状況を作らなければなりません。そしていち早く、読者の方をそこに招待する訳ですね。

更に『ミスリード』の手法として、主人公の身に起こった出来事が、本来なら災いを起こしそうな物なのに、一旦何も起こらない状況を作っています。そして更に良いことに転じる場面もある。こうなると、読者の方は勿論これが『キー』である事は想定するでしょうが、今回の展開はその焦点を主人公に当てる為の『仕掛け』なのです。

何かの効果を『増幅』させる装置は『引き』にあるのです。

 

 

 

コラム/物語のきっかけ(前編)


物語を書くときの『きっかけ』。これは『発想法』のお話に少し似ていますが、少々内容が異なります。要するに、『何故この物語を書こうと思ったのか』と言う辺りのお話の方になる訳ですね。その詳しい内容については、次回のコラム/物語のきっかけ(後編)にてお話ししたいと思います。

 

 

 

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(『同窓会』がテーマの作品例)新作ショートショート(16)/タイムカプセル

新作ショートショート(16)/テーマ(同窓会)

 

 

 

タイムカプセル 

 

 

 

「サユリちゃんも来るよ」
 小学校で同級生だったコンドウが言った。同級生と言っても、私達は今年でもう三十二歳になる。街で偶然にあったコンドウが私を見つけて、同窓会に誘ってきたのだ。
 卒業から二十年。このクラスでは初めてになるそうだ。
「僕がみんなに連絡をとった。二十年も経ってるから、君の様に連絡先がわからない人が半分くらい居たよ」
「ああ、それは……」
「でも良かったよ。君には偶然会えたから」
「そ、そうだな」
 私は少し返答に困った。しばらく姿を消していたからだ。
 子供の頃から小遣いを前借りする癖があって、社会人になってからもそれは変わらなかった。気付けば手元の金を使い果たし、キャッシングも利用した。それが『借金』だという意識が薄かった。
 お人好しなところもあって、知人の保証人にもなった。その後、姿を消した知人のせいで、私のところに催促の電話等が増え、会社や家に居づらくなった。
 私はしばらく身を隠し、遅れながらも金利分を消化する生活を続ける事になった。コンドウが私に連絡出来なかった理由である。
 その後、専門の機関を通じて弁護士を紹介してもらい、何とか借金問題を解決する事が出来た。全てを終えて地元に帰る事が出来たのは、今から一年ほど前の事だ。
「なあ、アダチ。とにかく今週中くらいに返事をくれよ」
「ああ……わかった」
 私には少し迷いがあった。
「アダチ、あの『サユリちゃん』に会えるんだぞ!」
 コンドウがもう一度言った。その言葉に、今度はしっかりと心が反応した。やはり『サユリちゃん』には会いたいと思ったのだ。
「週末には、ちゃんと返事するさ。多分……行くと思うから」
 ほとんど返事をした様なものだった。
 『サユリちゃん』はクラスの人気者で、頭が良く成績は常にトップクラス、おまけに女優さんの様なルックスだった。男子からは勿論の事、女子からも人気があった。本当に美人だったので、『カワイイ』よりも『綺麗』の方が合っていた。
 同窓会の出欠確認以外に、コンドウが興味本位で聞いた様だが、既に結婚して子供も二人いるそうだ。
 母親になっても、きっと綺麗なんだろう。そんな想いが同窓会への興味をそそる。そして私には、もう一つ気になる事があった。それは『タイムカプセル』だ。私達が卒業する年から埋められる事になった物で、地下に掘った穴はコンクリートで固められている。コンドウが学校側に許可を得て、今回それが見れると言う。
 コンドウから連絡があってから三週間後、かつて私達が学んだ時と同じクラスの教室で同窓会は行われる事になったが、既に新校舎となり場所も随分違った位置になっていた。
 私は早めに教室に着いた。既に男女一人ずつ居たが、誰だか分からなかった。
「アダチだよね?」
 男性の方が声をかけてきた。本人が名乗ってから、初めて『ああ』と合点がいった。
 二十年も経てば、容姿が随分変わっても不思議ではない。どうやら私は面影がしっかり残っている様で、後から来た者はすぐに私の名を呼んだ。
「ゴメンね、遅れちゃって……」
 開始から十五分ほど遅れること、待ちに待った『サユリちゃん』が登場した。小学生時代から、集合時間に間に合わない時があった。唯一の欠点と言えばこれぐらいだが、私にはむしろカワイイ一面だった。
 入口に立つ『サユリちゃん』は、まるでスポットライトを浴びたかの様、輝いて見えた。
 綺麗だった。やはり綺麗だったのだ。それを嬉しく思う反面、誰かの『妻』であると思うと複雑な心境だった。
「あら、アダチくんじゃない!」
 入口付近に座っていた私は、最初に声をかけられた。当時から周囲にチヤホヤされていたが、それを鼻にかけるタイプではなく、むしろ気さくな性格なのだ。
 そしてサユリちゃんは周囲を見渡し、空いていた私の隣の席に座った。当時の話に花が咲き、私は楽しい時間を過ごした。
 サユリちゃんと、こんなに長く話したのは、間違いなく初めてだった。近くで見たサユリちゃんは、やはり『綺麗』だった。
 コンドウは今日の為に、色々な催し物を用意していて、お陰で同窓会はとても盛り上がり、すっかり小学生に戻った様な気分になった。
「それじゃ、そろそろ『アレ』を開けるか!」
 コンドウは皆に向かって声をかけた。『アレ』とは地下に埋めた『タイムカプセル』の事だ。
「未来の自分へ!」
 コンドウが適当に選んだ順で、名前も告げずに内容を読み始める。直ぐに自分だと気付く者も居たが、大抵はそれを覚えて居なかった。
「将来の夢。私の将来の夢は……」
「あっ、それ私じゃない?」
 サユリちゃんが声をあげると、コンドウは直ぐに『正解!』と返し、その続きを読み上げた。
「私ね、『保母さん』になりたかったの。でもダメだったわ」
 サユリちゃんの小学生時代の夢は『保母さん』だったが、その後の夢は色々と変わったそうだ。多くは語らなかったが、今は専業主婦で幸せに暮らしているらしい。
 私の順番は、なかなか回って来なかった。私は子供の頃からずっとくじ運が悪く、まさかと思ったが、やはり最もインパクトの強い『最後』だった。
 正直なところ、私は自分の『夢』など全く覚えていなかったし、そもそも先の事などあまり深く考えるタチでなかった。
 コンドウは二十年前に私が書いた手紙の封を切り、中の手紙を読み始めた。
「二十年後の『ボク』へ。キミはいつもお小遣いを前借りする癖があるから……」
 かなり恥ずかしい内容の手紙と共、古いデザインの千円札も二枚同封されていた。

 

 

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ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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(小説・ショートショート書き方のコツ)コラム/作品内における『乗りツッコミ』(後編)

コラム/作品内における『乗りツッコミ』(後編)

 

小説を書く場合、作品内にユーモアを含める事がありますが、それは単に『笑い』であったり『リズム』であったり、時として『伏線』であったりと様々です。そんな『ユーモア』について、今回は『乗りツッコミ』と表現していますが、『前振り』から『落とし込み』まで実際の作品で解説したいと思います。

 

 

 【CONTENTS】

 

 


『五点着地』の場合

 

ショートショート『五点着地』の全文はこちら↓↓↓

rhirasawanb.hatenablog.com

戦隊ヒーロー役でテレビに出演中の主人公は、俳優としての将来に不安を感じ、過去に出演経験のある先輩に相談を持ちかけます。しかし、普段からいい加減な所のある先輩から話を聞くうち、更に不信感が増してゆく場面です。

 

 「あのさあ、当時は三枚目のキャラってのもあったから、それを誰かがやらなきゃ」

「じゃあ、その役を買ったって事ですか?」

「そ、そうだな。あの役はヒーローなのにちょっと小太りなんだよ。俺ってさあ、体重自由に操れる方じゃん」

「え? 初めて聞きましたけど」

「ほら、いつだったか病院で会った事があっただろう? あの時、俺すっごく痩せてなかったか?」

「それは多分、病気のせいで……」

「何言ってんだ! 退院してから半年後ぐらいに会った時、また体重増やせてたろ?」

「それは単に体重が戻っただけじゃ……」

「お前は何も分かってないね。更に三ヶ月ぐらい後に会った時には、もっと体重を増やせたんだぜ!」

「それって完全にリバウンドじゃ……」

「とにかく俺みたいに努力してりゃ、その内いい事があるって話だよ」


●体重を自由に操れる

→病気やリバウンド

 
この部分のやり取りは、先輩のいい加減さを表現すると共に、過去に聞いていたであろう話との食い違いについても触れており、この流れこそが『オチ』に繋がっているのです。

 

 

 

 『鍋奉行』の場合

 

ショートショート鍋奉行』の全文はこちら↓↓↓

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四十半ばの主人公が、転職後初めての『寸志』を受け取り、自宅で妻と『すき焼き』を作る場面です。将来に不安を感じる妻と、楽天的で頼りない夫。二人の関係は、静かに悪化してゆきます。

 

 「新人社員って、あなた一体自分が何歳だかわかってんの!」

 今度は、ポットプレートの電気が止まった。向かい側に居た妻が、コンセントを根元から抜いたに違いない。

 俺は仕方なく、お肉専用のトングを置き、妻の方を真っ直ぐ見た。ちなみにこのトングは、アウトドア用品専門の店で三十分以上悩んだ挙句、少ない自分の小遣いで買ったものだ。もちろん俺専用の道具で、出番は半年に一回程度。言うまでもなく、そのチャンスはボーナスの後しか巡ってこない。今回は転職後初めての『ボーナス』ではなく『寸志』が出たので、俺が強引にその出番を作ったのだ。

「四十五歳だよ」

 俺は大事なトングをテーブルに対して真っ直ぐ揃えながら答えた。


●ホットプレートの電気が止まる

→腹を立てた妻がコンセントを抜く

●夫のこだわり

→お肉専用トング

→購入に三十分以上悩んだ

→テーブルに対して真っ直ぐに揃える

 

精神的に幼く、尚且つ神経質で特定の場面で異常なこだわりを持つ。私が描いた『普段は穏やかだが何かのタイミングでキレる』という人物像です。繰り返される妻からの『口撃』の中、何処かに『キレる』キーワードが含まれ、事件は起こります。

主人公の『こだわり』等について触れるとき、ユーモラスな書き方をしているのは、普段の『穏やかさ』を表現する為です。この物語は、夫婦の言葉の掛け合いによって進行するパターンです。

 

 

kindle unlimited1日に1000頁以上読まれた人気の指南書です。

 

 『サンタが来ない日』の場合

 

ショートショート『サンタが来ない日』の全文はこちら↓↓↓

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妻から頼まれていた娘へのクリスマスプレゼントを、主人公が行きつけのスナックに置き忘れてきた事について話している場面です。

いつもはクリスマスイヴの朝に、ツリー近くの靴下に入れてある筈のプレゼントですが、今年は何も無かったので、娘が主人公であるパパに色々と聞く訳ですね。

 

「サンタさん、アミのお家に来るの忘れちゃったのかなあ」

 娘の控えめな一言は、私の心に大きなダメージを与える。

「やっぱり忘れちゃったんだよ。アミのお家」

 忘れた? そう、置き忘れたのだ。いつものスナックに。

「プレゼント、昼ごろ私が届けようか?」

 再びママからメールが来たが、その申し出は全力で断わった。本来は今朝、娘の用意した大きな靴下の中にある筈のプレゼントを、昼間に厚化粧をした怪しい女が届けに来たら、娘は混乱するに違いない。妻への説明となると更に困難だ。


●主人公の周囲との力関係

→娘の一言でダメージを受ける

→妻には知られたくないスナックのママの存在


主人公の性格的なものと、娘や妻との関係性を表しています。そこには単なる関係だけではなく、登場人物同士の力関係なども含めています。

勿論、これらの事柄が『オチ』に深く結びついており、構成的な要素と場面設定の役割の両方を果たしています。

 

 

 

そして最後に

 

今回『乗りツッコミ』と表現した作品内における『ユーモアの取り入れ方』ですが、それは『地の文』、『言葉の掛け合い』と、どちらでも可能です。

先々の構成を考えながら、『前振り』そして『落とし込み』となる訳ですが、そこに『ユーモア』を入れる事で、『リズム』が生まれ『構成』が上手くなされるのです。

単調な文章にならない様、ちょっとした『スパイス』を加えてみては如何でしょうか?

 

 

次回は、ショートショート『奇病』の創作プロセス公開です。

 

 

 

 

 

 

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(小説・ショートショートの書き方ブログ)今回の作品/夢の続き、コラム/作品内における『乗りツッコミ』(前編)

今回の作品/夢の続き

 

夢の中で見た光景は、かつて男が子供時代を過ごした小さな町だった。何度も見た事のある夢。いつも決まって同じタイミングで目が覚め、そこから先が気になっていた。ある日男は、夢に出てくる街を実際に訪ねてみるが……。 

 
ショートショート『夢の続き』の全文はこちら↓↓↓

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【CONTENTS】

 

 

テーマからの発想

 

今回のテーマは『デジャヴ』です。

『デジャヴ』と言えば、比較的『夢』に絡んだお話が多いのですが、今回も例外ではありません。潜在意識の中で記憶にリンクすると言う意味では、構成しやすいからかもしれません。バリエーションを増やす意味では、こう言った比較的多いパターンのものを選んで、且つ違った流れに持ってゆくトレーニングなども良いかもしれませんね。

 

 

発想からのキーワード選出

 

正夢、記憶、繰り返し、思い込み

 

 

POINT1:タイトル

 

タイトルは『夢の続き』です。個人的に『タイトル』については、よくお話させて頂くのですが、今回の場合だと『夢』の様なタイトルをつける方も、おられるでしょう。決して悪くはないのですが、既に物語を読んだ方はお分かりだと思いますが、それでは少し『足りない』のです。

物語は主人公が『何度か見た事がある夢』の話で、『夢の続きがどうなるのか』がメインです。よくありがちなのが、『足りない』ではなく『余分』な方です。『夢の続きは〇〇』など。タイトルは『過不足なく』が一番です。

 

 

POINT2:書き出し

 

「この光景は、確かに見た事がある……」

 男は見覚えのある街の中に居た。それはかつて、小学生時代を過ごした、小さな街に違いなかった。

 記憶にある光景と比べると、ある程度変わった場所もあったが、特徴的な地形と当時からあるタバコ屋が、男の記憶の裏付けとなった。

 

 『夢の中』というイメージで、この様な書き出しにしました。通常、人が夢の中で『夢を意識』する事は、あまり出来る訳ではありません。時としてそれは何となく、そして『不確かな意識』で行われるのです。

 

 

こちらは私の著書である『作家脳シリーズ』です。既にご好評いただいている
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シリーズ第二弾と第三弾であるVol.2、Vol.3は、Vol.1で作り上げた『作家脳』を更に『鍛え』、その作家脳を『持続させる』為の方法です。
様々なテクニックと、サンプルショートショートによる実践的な解説です。是非Vol.1と合わせてお読みいただければ、きっと貴方の『創作』の良き『パートナー』となるでしょう。
 
シリーズ第二弾
シリーズ第三弾

 

POINT3:ユーモア

 

今回は主人公と一緒に、スリルを味わってもらう意味で、特にユーモア的な要素は入れていません。


POINT4:前半のストーリー

 

見覚えのある光景を見ていた主人公は、やがてそれが『夢の中』であると気付くが、そこからどうにも自分の意思で動くことが出来なかった。

 

その夢を見た時はいつも大金手にするが、そこから進めず、先の展開を知りたい願望があった。

 

POINT5:展開〜オチ

 

夢の事が、あまりにも気になった男は、夢に登場する場所に行く事にした。現実世界でも、夢と同じ展開を期待して。

 

夢に出てきた場所では、少し違った展開だったが、店員が近付いて来た事で慌てて店を飛び出し、自分の上着に入れてあってボーナスごと置き忘れる。

 

 

総合的なポイント

 

この物語で主人公が『デジャヴ』となるのを期待していたのは、男が羽織ったジャケットに大金が入っている事だったのですが、オチでは『逆』の事が起こります。つまり、大金が入ったジャケットを置いていったのは、実は主人公だった、という事です。

小説の中で本来あるべき姿や、主人公が期待している事と『逆』の出来事が起こった時、それは『ユーモア』や『オチ』に繋げる事が出来るのです。


コラム/作品内における『乗りツッコミ』(前編)

 

物語の中での『ユーモア』ですが、私は極力作品内に取り込む事にしています。単に『ユーモア』として存在する事もありますが、文章にリズムを付けたり、緊張感を解いたりと、その役割は様々です。

タイトルで『乗りツッコミ』としていますが、単にユーモアだけを書く場合もあります。実際の作品を用いた詳しい内容については、次回のコラム/「作品内のおける『乗りツッコミ』(後編)」にてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

ショートショートの書き方』を、作家の視点で詳しく『超解説』‼

 

 

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